ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓・腎臓・小腸・骨など多くの臓器に含まれているリン酸化合物を分解する分解酵素のひとつです。
このような臓器に異常が発生すると、アルカリホスファターゼが血液中に流出しやすくなりますので、血液検査などの臨床検査において、肝臓機能の状態を調べる指標として検査されます。
今回は、ALP(アルカリフォスファターゼ)(読み方はそのままエーエルピーと読むことの方が多いです)について
- 検査をする意味
- 基準値
- 異常な場合に考えられる病気
- 注意点
などをまとめました。
参考にされてください。
ALP(アルカリフォスファターゼ)とは?
ALP(アルカリフォスファターゼ)は、多く臓器の細胞に含まれているリン酸酵素であり、血液にも微量に放出されています。
この酵素は肝臓で作られ、胆汁の成分として胆管を通って、胆嚢に貯蔵された後、十二指腸に排出されるのが通常です。
しかし、これらの臓器に異常があると血液中に流出されるため、検査においてALPの含有量から肝臓・胆嚢・十二指腸の異常の有無を調べることが可能となります。
ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値は?
検査の結果、
比色法で50〜350U/L1)
であれば正常です。
ALPがこの基準値よりも、高値となっても、低値となっても問題です。
異常のときに考えらえる病気は?
高値の場合に考えられる病気
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 肝臓がん
- 胆管結石
- 膵臓がん
- 原発性胆汁性肝硬変
- 原発性硬化性胆管炎
- 総胆管結石
- 骨折
- くる病
- ページェット病
- 骨軟化症
- 骨肉腫
- 甲状腺機能亢進症
- 副甲状腺機能亢進症
- 慢性腎不全
- 糖尿病
- 潰瘍性大腸炎2)
などの異常が懸念されます。
低値の場合に考えられる病気
甲状腺機能低下症3)
が考えられます。
ALP(アルカリフォスファターゼ)の検査で注意すべき点は?
- 検査の数時間前に脂質分の高い食品を食べると、高い数値が出るので注意が必要
- 血液型B型・O型の一部の方は食後(とくに脂肪食)に高い値を示すことがあるため、空腹時に採血を
- 小児から思春期までの成長期には、成人よりも高い値を示す(成人の約3〜4倍・ピーク時には約4〜6倍)4)
- 妊娠後期から分娩後数週間の血中濃度は、基準値を大きく上回る傾向にある
- 常用薬の中でも利尿、睡眠剤を使用している場合は、検査の前に医師に伝える必要がある
参考文献:
今日の臨床検査 2011ー2012 P190・191
最新 健康診断と検査がすべてわかる本P31
よくわかる 検査数値 基本としくみP58・59
1)4)今日の臨床検査 2011ー2012 P190・191
2)3)最新 健康診断と検査がすべてわかる本P31
最後に
ALPについて、ポイントをまとめます。
- ALPは、多く臓器の細胞に含まれているリン酸酵素
- ALPの含有量から肝臓・胆嚢・十二指腸の異常の有無を調べることが可能
- 基準値は50〜350U/L
- 高い場合・低い場合、何らかの病気が考えられる
- 小児期〜思春期前までは高値となる
- 妊娠時にも高値となる
ALPの検査値で異常があると診断されると、他の肝機能検査・・・とくにAST・ALT・LAP・γ-GTPなどの検査値も合わせて、総合的な診断が下されます。
また、GOTやGPTと同時に検査すれば、病気の箇所をより明確にする事ができます。
たとえば、GOT・GPT・ALPの3つが基準値よりすべて高い値になっている場合には、肝臓に何らかの問題のある可能性が高なります。
GOTとGPTが正常値であり、ALPのみ高値ならば、骨の疾患の可能性が高いなどが推測できます。