慢性肝炎と診断されると、次にその治療方法をお考えになると思います。
「どの様に進めていくの?」、「薬を使用するの?」、「薬の副作用は?」と、心配される事は多いと思います。
そこで、その様な心配を和らげる為に、『慢性肝炎の治療法』などをまとめました。
慢性肝炎の治療方法は?
ここでは、慢性肝炎で最も多いとされるC型慢性肝炎の治療法をご説明します。
C型慢性肝炎の治療法には2つの方法があります。
① 原因療法(インターフェロン療法)
―C型肝炎ウイルスを体内から排除し、感染からの治癒を目的とする療法の事です。
インターフェロンには、ウイルスの増殖を抑える働きがあり、現在の薬物治療の中で、唯一治癒が望めるの治療法です。
この療法を行う目的のウイルスを排除する事で、肝炎から肝硬変、さらに肝がんへと進行する危険を阻止する事が可能となります。
このインターフェロン療法(INF)ですが、実はC型肝炎には効きにくかったのですが、PEGインターフェロン(PEG-INF)とリバビリンの併用により著効率が高くなりました。
治療を行う時には、遺伝子型とウイルス量を調べます。厳密には下の表のように治療を行います。
遺伝子型1a,1b | 遺伝子型2a,2b | |
高virus量 | PEG-INF+リバビリン(48-72週) | PEG-INF+リバビリン(24週) |
低virus量 | INF(24週),PEG-INF(24-48週) | INF(8-24週),PEG-INF(24-48週) |
② 対処療法(肝庇護療法)
―肝機能を回復させて、肝炎の進展や悪化を予防する為の療法の事です。ウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤が使用されます。
この療法では、ウイルスを排除する事は出来ませんが、病気の進展を予防し、肝炎の沈静化を目的として、肝機能を改善させます。B型でもC型でも肝酵素(トランスアミナーゼ)の改善を認めます。
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インターフェロンが効きやすいのはどんな人?
私達がウイルスに感染すると、そのウイルスに反応して細胞が分泌するたんぱく質でウイルスの増加を阻止したり、免疫や炎症の調整を機能させるのがインターフェロンです。
主な効果として、以下のものがあります。
*肝機能の数値が治療終了後も長期にわたり正常化を保つ。
*将来の肝がんへの発生率が下がる。
以上のように、慢性肝炎の治療法として、大変有効とされていますが、それが効き易いか、そうでないかは、血液中のウイルスの量、ウイルスの型、病状により違いがあります。
血液中のHCV量は、HC-RNA定量検査で調べられます。
その数値には個人差があり、多い人は少ない人の1億倍とされています。
HCVが多い人よりも、少ない人がインターフェロン療法で治る確率は高いとされています。
又、ウイルスの型としては、インターフェロンを投与して、C型肝炎ウイルスが消滅しにくいセロタイプ1型としやすい2型があります。
日本での感染患者の約7割は、消滅しにくい1型というデータもあります。
インターフェロンでの副作用は?
インターフェロンでの治療は、副作用が強く出るのも特徴です。
ほぼ100%の患者が、頭痛、発熱、筋肉痛、食欲不振、全身倦怠感、と言った風邪の様な症状を訴えます。しかし、これらの症状は、インターフェロン投与から数日後には自然に無くなるのが一般的です。
頻度の高いものとしては、これらの風邪様症状のほか、重要なものとして血小板・顆粒球減少が見られる事があります。
又、治療の後期に脱毛症状が出て来る患者もいますが、これは療法終了後、3ヶ月程で回復してきます。
稀ではありますが、重篤な副作用として間質性肺炎が発症することがあります。
間質性肺炎とは、肺胞と肺胞と仕切る壁(間質)に炎症が起きた状態で、運動時の息切れやから咳、等が特徴です。
この病気は発見が遅れると死にいたることもありますので、症状が出たらすぐに受診されるようにして下さい。
この間質性肺炎は漢方の小柴胡湯と併用するとみられやすいとされており、併用は禁止されています。
その他、重篤になりやすいものは、間質性肺炎以外に、うつ病、不整脈、脳出血があります。
最後に
C型肝炎治療の特効薬とされているインターフェロンですが、その副作用は避けられないようですね。
その副作用の心配や効果への疑問、等により療法が必要にも関わらす、それを拒否されている患者もいるようです。
その様な事態を避けるためにも、インターフェロン療法について、医師からしっかり説明を受け納得される事が大切ですね。