ノロウイルスの嘔吐物の処理方法|準備するもの・手順・消毒液の濃度

ノロウイルスに感染してしまうと、ツライ嘔吐や下痢の症状が出てきます。

人から人へと感染(二次感染)するため、感染者の嘔吐物を処理する際には十分に注意する必要があります。

え?
嘔吐物はただ触らないように拭き取って、アルコール除菌しておけばいいんじゃないの?
んな・・・あなたの間違った行動が、感染を広げていることに繋がっている可能性も・・・。
え〜!!!

 

そこで今回は、ぜひ覚えていただきたい、ノロウイルスの嘔吐物の処理方法について

  • 処理する際に、準備しておきたいもの
  • 処理方法
  • 間違い方法
  • 感染経路

などを、まとめました。

先に結論(ノロウイルスの嘔吐物の処理)

  • 使い捨てのガウン(エプロン)・マスク・手袋を着け、嘔吐物はペーパータオル等で静かに拭き取ります。ウイルスが飛び散らないようにします(厚生労働省 2026)。
  • 拭き取ったあとは、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm、0.02%)で浸すように床を拭き、その後に水拭きします(厚生労働省 2026)。
  • 拭き取りに使ったペーパータオルなどは、ビニール袋に密閉して捨てます。このとき、袋に廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約1,000ppm、0.1%)を入れることが望ましいとされています(厚生労働省 2026)。
  • 消毒用エタノールなどの一般的な消毒薬だけでは、ノロウイルスを失活させることはできません。有効なのは次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、加熱です(厚生労働省 2026)。
  • 嘔吐物は乾燥すると空気中に舞い、口に入って感染することがあります。乾燥する前に速やかに処理し、処理後は換気をします(厚生労働省 2026)。
  • 処理のあとは、石けんと流水で手を洗います。

ノロウイルスの嘔吐物の処理に準備するものは?

ノロウイルスの嘔吐物を処理する際、何を用意していたらいいのでしょう?
処理する際の服装、準備する物は以下の通りとなります。

処理する際の服装

厚生労働省は、使い捨てのガウン(エプロン)、マスク、手袋の着用を挙げています(厚生労働省 2026)。以下はそれに加えて、あると安心なものです。

  • マスクとゴーグル・・・ウイルスを吸い込んでしまわないよう、マスクはとくに重要
  • エプロン・・・処理後、脱ぎ、洗濯を
  • 手袋・・・使い捨ての手袋を着け、手指からの二次感染を防ぐ(2枚重ねにすると外すときに安心)
  • ヘアゴム・帽子・・・髪が嘔吐物に触れないように束ね、帽子などをかぶる
  • 靴カバー・・・床に付着した嘔吐物に、直接触れないようにする

準備する物

  • 塩素系漂白剤・・・主成分は次亜塩素酸ナトリウム。家庭用の塩素系漂白剤でも代用できます(製品の濃度表示と使用上の注意を確認)(厚生労働省 2026)
  • ペットボトルなどの容器(薄めた液を作る用。誤飲を防ぐため、中身が分かるよう「消毒液」と書いておく)
  • ビニール袋(大) 2枚以上
  • ビニール袋(小)
  • ペーパータオル
  • 新聞紙など

*全て使い捨てのものを準備し、使用後は処理して下さい。

手袋とマスクを着けて床を拭く女性のイラスト

ノロウイルスの嘔吐物の処理方法は?

ノロウイルスの嘔吐物の処理方法を教えてください。
以下の手順に従い、処理をしましょう。
  1. 換気
  2. 処理前の準備(着替え・装着)
  3. 塩素系漂白剤を水で薄め、溶液を作る
  4. 嘔吐物の除去
  5. 溶液で床を掃除
  6. ビニールにゴミをまとめる
  7. 床を水拭き
  8. 着用していた物を脱ぎ、処理
  9. 手洗い
これを詳しく解説していきます。

STEP1:換気

窓を開けて、空気中に浮遊するウイルスと塩素による刺激臭を、外に出すようにします。ウイルスが屋外に出て行くよう、空気の流れに注意しながら十分に換気します(厚生労働省 2026)。

※嘔吐物の処理には塩素系漂白剤を薄めて使います。お子さんの手が届かない所に置くなど、取扱いには十分注意してください。金属を傷めることがあるため、拭いたあとは水拭きをしてください(厚生労働省 2026)。

STEP2:処理前の準備

手袋、マスク、エプロンなどをしっかり着用して、処理前の服装にも気をつけてくださいね。

STEP3:溶液を作る

濃度の違う2種類の次亜塩素酸ナトリウム溶液を用意します(厚生労働省 2026)。

  • 床などを拭く用:塩素濃度約200ppm(0.02%)
  • ごみの袋に入れる用:塩素濃度約1,000ppm(0.1%)

市販の塩素系漂白剤の濃度は製品ごとに異なります。薄める倍率は「製品の塩素濃度÷作りたい濃度」で計算できます。たとえば製品の濃度が6%(60,000ppm)なら、200ppmにするには約300倍(水1Lに約3.3mL)、1,000ppmにするには約60倍(水1Lに約17mL)です。製品のラベルで濃度と薄め方を確認してください。

ペットボトルにウイルスが付着しないよう、ビニール袋をかぶせてください。

つまり、塩素系漂白剤を水に薄めるだけですが、泡タイプなど製品によって成分や濃度が違うので、使用上の注意に従ってください。

STEP4:嘔吐物の処理

ペーパータオル等で、嘔吐物を静かに拭き取ります(市販の凝固剤を使うこともできます)。ウイルスが飛び散らないよう、外側から内側へ集めるように回収し、準備しておいたビニール袋(大)に入れてください(厚生労働省 2026)。

STEP5:床掃除

拭き取ったあと、約200ppm(0.02%)の次亜塩素酸ナトリウム溶液で浸すように床全体を拭き、その後に水拭きをします(厚生労働省 2026)。

スリッパや靴の裏に嘔吐物が付いた場合も、同じ溶液で拭き取り、ペーパータオルはビニール袋(大)へ入れます。

STEP6:ビニール袋に入れる

1枚目の手袋を裏返しながらはずし、ビニール袋(大)へ入れます。

ビニール袋(大)に、中身が十分に浸る量の約1,000ppm(0.1%)の次亜塩素酸ナトリウム溶液を入れることが望ましいとされています(厚生労働省 2026)。そのうえで、空気がのこらないように固く縛ってください。

もう片方の手袋を裏返しながらはずして、もう一つのビニール袋(大)へ入れます。

STEP7:着替え

嘔吐物の入ったビニール袋を片方の手袋を入れたビニール袋に入れ、帽子・マスク・エプロン・もう片方の手袋などをはずして入れます。

この時、汚れている面に触れないように十分に注意してください。

最後に空気を抜いて固く縛り、ゴミ袋に穴があいたりしないように、何枚かゴミ袋を重ね、お住まいの自治体の分別ルールに従って出しましょう。

嘔吐物が服や布団などのリネン類に付着した場合は、ウイルスが飛び散らないように汚物を取り除いたあと、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。このとき、しぶきを吸い込まないよう注意してください。

下洗いしたあとの消毒には、85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。熱水洗濯ができない場合は、次亜塩素酸ナトリウム(約200ppm)による消毒が有効ですが、漂白作用があるため色落ちに注意し、十分にすすいでください。高温の乾燥機を使うと殺菌効果が高まります(厚生労働省 2026)。他の洗濯物とは分けて洗うと安心です。

STEP8:手洗い

嘔吐物処理をした後は、手袋をしていても手洗いをしてください。爪を短くし、石けんを十分泡立てて洗い、温水の流水で十分にすすぎ、清潔なタオルやペーパータオルで拭きます。石けん自体にウイルスを失活させる効果はありませんが、汚れと一緒にウイルスを手から剥がれやすくします(厚生労働省 2026)。

嘔吐物処理の消毒の使い分けの表

ノロウイルスにアルコール消毒は効く?嘔吐物の処理で避けたい方法

ノロウイルスには、アルコール消毒って効かないのでしょうか?
とりあえず、アルコール除菌をしておけば、除菌できていると考える方が多いですよね?

消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)は一般的な感染症対策で使われますが、厚生労働省は、ノロウイルスを失活させる方法として次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、加熱を挙げています。手指でも、消毒用エタノールは石けんと流水の手洗いの代わりにはならず、すぐに洗えないときの補助として使うものとされています(厚生労働省 2026)。

アルコールが効きにくい理由の1つに、エンベロープがあります。

エンベロープとは、ウイルスを包む脂質の膜のことで、インフルエンザウイルスやRSウイルスなどがこの膜を持っています。この膜はアルコールに触れると壊れやすい性質があります。

一方、ノロウイルスは、このエンベロープという膜を持たないため、アルコールで壊れにくいと考えられています。

ちなみに、ノロウイルス同様にエンベロープが無いウイルスとしては、ロタウイルスやアデノウイルスなどもあります。

ノロウイルスの感染経路は?

ノロウイルスの感染経路を教えてください。
ノロウイルスの感染経路として、以下の3つの経路が知られています。
  • 患者のふん便や吐しゃ物から、人の手などを介して二次感染した場合
  • 家庭や共同生活施設など、人同士が接触する機会が多い場所で、人から人へ飛沫などで直接感染する場合
  • 感染した食品取扱者(調理をする人を含む)を介して汚染された食品を食べた場合
  • ノロウイルスに汚染された二枚貝(牡蠣など)を、生または十分に加熱しないで食べた場合
  • 汚染された井戸水などを、消毒が不十分なまま飲んだ場合

(厚生労働省 2026)
ノロウイルスは、人から人へ感染していきます。

  • 汚染された食品や便・吐しゃ物に接触した手指を介して感染する「接触感染」
  • 人同士の接触が多い場所で、飛沫などから直接感染する「飛沫感染など」
  • 吐しゃ物や下痢便の処理が不十分だったために、残ったウイルスが乾燥して空気中に漂い、それが口に入って感染する場合もあります

 

ノロウイルスについて、詳しくはこちらをご覧ください。

ノロウイルスに感染しないために!家庭でできる予防法は?

家族がノロウイルスに感染している場合、家族が感染しないよう気をつけることはありますか?

多くの場合、手を介して感染が拡大します。

そのため、手洗いをしっかり行うことです。

しっかり石鹸をつけ

  • 指先や爪の間
  • 指の間
  • 親指の周り
  • 手首
  • 手のシワ

などを注意して洗う必要がありますが、爪の長い人はとくに注意が必要です。

手洗いは、アルコール消毒で済ませるのではなく、石けんと流水でしっかり洗いましょう(厚生労働省 2026)。

また、手洗い以外にも以下のような場所の除菌が必要です。

  • 洗面所の蛇口
  • 電気のスイッチ
  • ドアノブ
  • トイレのレバー
  • 手すり
  • 子供が触れたおもちゃ等
  • 椅子
  • 机

感染者が嘔吐した後に使用した洗面所の蛇口・電気のスイッチ、下痢をした後に使用したトイレのドアノブ・電気スイッチ・流すレバーなどは、次亜塩素酸ナトリウム(約200ppmが目安)で拭きます。金属を傷めることがあるため、拭いたあとは水拭きをしてください(厚生労働省 2026)。

ノロウイルスの症状・治療・受診の目安

  • 感染から発症までの時間(潜伏期間)は24〜48時間です。
  • 主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度です。通常、これらの症状は1〜2日続いて治ります。
  • ノロウイルスに効く抗ウイルス薬はなく、治療は対症療法です。特に乳幼児や高齢者は、水分と栄養を十分にとって脱水に注意します。
  • 脱水症状がひどい場合は、病院で輸液などの治療が必要です。
  • 下痢止め薬は回復を遅らせることがあるため、使用しないことが望ましいとされています。

(厚生労働省 2026)

症状が重い場合や、子ども・高齢者でぐったりしている場合は、医療機関を受診してください。

ノロウイルスの初期症状や大人と子供の違いは、ノロウイルスの初期症状は?大人と子供の違い・潜伏期間・受診の目安を解説で解説しています。

ノロウイルスのときに使う薬の考え方は、ノロウイルスの薬は?処方薬と市販薬の考え方、受診すべき症状と脱水対策で解説しています。

ノロウイルスの嘔吐物処理のよくある疑問

Q. アルコール除菌スプレーで嘔吐物を処理してもよいですか?
A. おすすめしません。消毒用エタノールなどの一般的な消毒薬だけでは、ノロウイルスを失活させることはできないとされています。次亜塩素酸ナトリウムなどを使ってください(厚生労働省 2026)。

Q. 塩素系漂白剤の濃度はどのくらいですか?
A. 床などを拭くときは塩素濃度約200ppm(0.02%)、拭き取ったごみを入れる袋に使うときは約1,000ppm(0.1%)が示されています(厚生労働省 2026)。製品の濃度は異なるため、ラベルで確認してください。

Q. 処理が終わってから時間が経っても、うつりますか?
A. 12日以上前にノロウイルスで汚染されたカーペットから感染が起きた事例が知られています。時間が経っても、吐しゃ物や汚染された床、手袋などにウイルスが残っていることがあるため、処理が必要とされています(厚生労働省 2026)。

Q. 汚れた服は、どう洗えばよいですか?
A. 汚物を取り除いたあと洗剤を入れた水で静かにもみ洗いし、85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。熱水洗濯ができないときは、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です(厚生労働省 2026)。

参考文献:
INFECTION CONTROL 11 2016P39
ノロウイルス現場対策 その感染症と食中毒P135〜140

最後に

ノロウイルスの嘔吐物処理方法について、ポイントをまとめます。

  • 嘔吐物の処理方法は、
  1. 換気
  2. 処理前の準備(着替え・装着)
  3. 塩素系漂白剤を水で薄め、溶液を作る
  4. 嘔吐物の除去
  5. 溶液で床を掃除
  6. ビニールにゴミをまとめる
  7. 床を水拭き
  8. 着用していた物を脱ぎ、処理
  9. 手洗い
  • 消毒用エタノールなどの一般的な消毒薬だけではノロウイルスを失活させられない。次亜塩素酸ナトリウムを使う
  • 床などは約200ppm、ごみの袋には約1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム
  • 予防には、手洗いが重要

 

ノロウイルスの予防には、手洗い、食品の十分な加熱、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒が重要です。

また、二次感染を防ぐためにも、嘔吐物を処理する場合は、手袋・マスク・エプロンを着用することはもちろん、処理の手順をしっかり把握して周りを汚染させないように十分に注意してください。

参考文献:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」 (2026年閲覧) 原本URL