
骨密度は、骨の密度(骨量)が低下しているかどうか、その程度を調べる検査です。
人間ドックや健康診断でも受けることができますが、実際この骨密度検査について詳しくご存知ない方も多いと思います。
そこで今回は、骨密度検査(英語表記で「bone mineral density」略語でBMD)について
- 骨密度の検査方法
- 正常値
- わかること
- 受けるべき人
- 検査料金
など、詳しくご説明したいと思います。
- 骨密度検査はDEXA法・MD法・超音波法の3つが主で、標準的なのはDEXA法(腰椎・大腿骨近位部)です。
- 基準値は「若年成人平均値(YAM)の何%か」で見ます。診断基準(2012年度改訂版)では、脆弱性骨折がない場合、YAMの70%以下(または-2.5SD以下)で骨粗しょう症とされます。
- YAMは、腰椎では20〜44歳、大腿骨近位部では20〜29歳の若年成人の平均値です。
- 市区町村の骨粗しょう症検診は、女性の40・45・50・55・60・65・70歳が対象です。
- 検査費用の目安は下に示しましたが、施設や制度により異なります。
- 骨密度が低いと言われたら、整形外科・婦人科・内分泌代謝内科などで相談してください。
骨密度の検査の方法は?
骨密度とは、骨の強さを判定するため1つの目安となるもので、検査の方法としては、主に以下の3つが行われています。
- DEXA法
- MD法
- 超音波法

DEXA法(Dual-energy X-ray Absorptiometry:デキサ法)
もっとも標準的な骨密度の検査方法が、このDEXA法です。
エネルギーの異なる2種類のX線を骨に照射し、骨と他の組織との吸収率の差で骨密度を計算する方法です。
一般には代謝が盛んな脊椎の一部や腰椎(腰の骨)で骨量の変化を測定しますが、大腿骨近位部(太ももの付け根)、手の骨など、ほぼ全身の骨密度を測定することが可能です。
- 腰椎
- 大腿骨近位部
の骨密度を測定します。複数の部位で測定した場合は、低い方の値を判定に使います(診断基準2012年度改訂版)。
これらの部位での測定が困難である場合は、前腕の骨である橈骨骨幹部(1/3遠位部)の骨密度を用います。
橈骨骨幹部(1/3遠位部)の骨密度を測定する動画はこちら。
ただし、前腕の骨は治療による変化が表れるのが遅いため、治療後の経過をみる目的には向かないとされます。
MD法
X線を使って、手の第2中指(甲側)の根元の骨と厚さの異なるアルミニウム板を同時に撮影して、骨とアルミニウムの濃度を比べる方法です。
上記のDEXA法に比べて簡単かつ安価な測定法ですが、正確性に欠けるという難点があります。
超音波法(QUS)
かかとの骨で調べます。
測定部位は主に踵を対象としており、超音波の伝播速度と減衰率により骨を評価する方法であり、骨密度を測定しているわけではありません。
しかし、自治体が実施している骨粗鬆症検診では、
- 特殊な施設が不要なこと
- 簡単に検査が行えること
に加え、
- X線を使用しないので、放射線被爆の心配がなく妊娠中の人も受診が可能
などの理由でこの方法が多く行われています。

骨密度検査の正常値は?
日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会の診断基準(2012年度改訂版)では、DEXA法などで測定した骨密度が、若年成人平均値(YAM)の何%に相当するかを目安にします。従来の基準では、次のように区分されていました。
- YAMの80%以上 正常
- YAMの70%超〜80%未満 骨量減少
- YAMの70%以下 骨粗しょう症の診断基準に該当
現在の診断基準(2012年度改訂版)では、次のとおりです。
- 椎体骨折または大腿骨近位部骨折がある:骨密度にかかわらず骨粗しょう症
- その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満:骨粗しょう症
- 脆弱性骨折がなく、骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下:骨粗しょう症
※脆弱性骨折とは、立った高さからの転倒など軽い外力で起こる骨折のことです。他の病気が原因の骨粗しょう症(続発性)を除いて判断します。
YAMとは?
若い健康な成人(腰椎は20~44歳、大腿骨近位部は20~29歳)の骨密度の平均を100%として、現在の自分の骨密度が何%であるかを比較した数値のことです。
ちなみに、YAMは「Young Adult Mean」の略で「若年成人平均値」を意味します。
骨は成人に近づくほど丈夫になり、20代をピークに密度が減少しはじめますので、最も骨密度が高い年齢層を基準に用いています。

上の図は60歳代の女性の橈骨遠位で測定したDEXA法の結果です。
若い健康な女性の平均を100%として、62%であることがわかります。
70%以下は、骨粗しょう症の診断基準に当てはまります。治療を始めるかどうかは、年齢や骨折のリスクなどを含めて医師が判断します。
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骨密度の検査で何がわかる?
検査することで、骨量(骨の中身としての組織が十分あるか、組織に隙間がないか)が低下していないかを調べることが出来ます。
骨を構成しているカルシウムなどの量を測り、骨の強度を調べる検査ですが、骨の強度には、骨密度だけでなく骨質(骨の質)も重要となります。
カルシウムなどのミネラルが十分にあることが骨の強さの土台ですが、骨中のコラーゲンの量や質も大切です。

加齢に伴って骨密度が低下すると、骨粗しょう症という骨の中がスカスカな状態になり、骨質が低下することで、骨折しやすくなりますので、骨密度を定期的に測定することが大切です。
女性の年齢別の骨量の変化と骨密度との違いは、骨量の平均は女性でどれくらい?年齢別の変化と骨密度との違いを解説で解説しています。
骨密度の検査は何歳から?
骨粗鬆症は、男性に比べ、女性に多い特徴があります。
女性は40歳を過ぎたら定期的に検診を受けるのがオススメです。
市区町村の骨粗しょう症検診(厚生労働省の健康増進事業)は、女性の40・45・50・55・60・65・70歳が対象です(実施内容は自治体で異なります)。閉経後の女性は、検診以外にも、医師と相談して定期的に測定するとよいでしょう。
とくに、50歳を過ぎたら女性は定期的に骨密度測定を受けるのは大切です。

骨密度の検査はどんな人が受けるべき?
また、以下に該当する方も、骨粗鬆症のリスクが高いとされていますので検査を受けられることをオススメします。
- 閉経後の方、または治療により生理を止めている方
- 若年期生理不順であった方
- 運動不足、または若年期に過度の運動をされていた方
- 常習喫煙、過度のアルコール摂取をされている方
- 甲状腺機能亢進症と診断された方
女性は50歳を過ぎ閉経を迎えると、丈夫な骨をつくり、それを保持する役割を担っている女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下し、それに伴って骨の量が急激に減少してしまい、骨粗しょう症になりやすいとされています。
この骨粗しょう症は、自覚症状が無く知らないうちに進行することがほとんどです。
自分の骨がもろくなっているかどうかは、外見からでは判断できませんし、進行すると軽い転倒でも骨折する危険性が出てきます。
骨折を起こし、寝たきりになってからでは遅いので、定期的に骨密度測定を受けて、自分の骨の状態を常に意識しておくのは重要です。
若いころの生理不順と関係する無月経の原因や受診の目安は、無月経の原因は?生理が3か月来ないときの検査・治療法と受診の目安を解説で解説しています。
骨密度検査の料金は?
- DEXA法・・・3,600円
- MD法・・・1,400円
- 超音波法・・・800円
上記は目安で、施設や制度の改定により異なります(保険外の場合は施設ごとの設定です)。精度の高い標準的な検査方法は、DEXA法です。
骨粗しょう症の疑いがあり、医師が必要と判断した場合は、保険適用(3割負担)で検査を受けられます。
DEXA法の料金〈保険適用〉
腰椎のみ
- 自費総額=3,600円
- 1割負担=360円
- 3割負担=1,080円
腰椎+大腿
- 自費総額=4,500円
- 1割負担=450円
- 3割負担=1,350円
前腕
- 自費総額=1,400円
- 1割負担=140円
- 3割負担=420円
※初診の場合、その他使用する薬剤や機器により料金は多少変わります。
現在の料金は施設にお問い合わせください。
また、市区町村の骨粗しょう症検診は、女性の40・45・50・55・60・65・70歳が対象で、自己負担の額は自治体により異なります(厚生労働省)。
骨折のリスクは骨密度だけ?
骨密度が低いことは骨折のリスクであることはお分りいただけたと思います。
実は骨密度以外にも骨折のリスクは以下のものがあります。
該当する場合は、そうでない方に比べて骨折のリスクが高いことを認識して、予防に努めたいものです。
- 加齢
- 女性
- 骨折の既往がある人
- 両親に大腿骨近位部の骨折歴がある人
- 低体重
- 喫煙している人
- 過度なアルコール摂取をしている人
- ステロイド薬を使用している人
- 関節リウマチの人
- 続発性骨粗鬆症
- 身体活動が少ない人
※続発性骨粗鬆症とはベースに別の疾患があり、それが原因で骨粗鬆症になるものです。
ベースにある疾患は甲状腺機能亢進症・性腺機能不全・摂食障害・原発性副甲状腺機能亢進症などがあります。
便利な骨折のリスク評価ツールFRAX
WHOが発表した骨折リスク評価ツールがFRAX(Fracture risk assessment tool)です。
- 年齢
- 性別
- 体重
- 身長
- 骨折歴
- 両親の大腿骨近位部骨折歴
- 現在の喫煙
- 糖質コルチコイド(ステロイド薬の使用)
- 関節リウマチ
- 続発性骨粗鬆症
- アルコール
- 骨密度
を入力すると、個人の今後10年間の骨粗鬆症性骨折と大腿骨近位部骨折の骨折確率を計算することができます。
骨密度の値がわからなくても、リスク因子のみで推定してくれます。
骨折高リスクのスクリーニングに有効と言われており、治療をするかどうかを決める指標として利用されています。
ぜひ一度お試しください。
ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)
参考文献:四訂版 病院で受ける検査がわかる本P148・149
参考文献:よくわかる検査数値の基本としくみP216・217
参考文献:検査のしくみ 検査値の読み方P134
参考文献:きょうの健康 検査でわかることP139
参考文献:新 検査のすべてがわかる本P199
参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P182・183
骨密度検査の結果の見方と再検査の目安
- YAMが70%以下、または脆弱性骨折がある場合は、整形外科・婦人科・内分泌代謝内科などで精密検査(DEXA法など)と治療の相談をしてください。
- YAMが70%超〜80%未満(骨量減少)の場合は、食事・運動・禁煙などの生活習慣を見直し、検査間隔は医師と相談してください。
- 超音波法やMD法で低めと言われた場合は、DEXA法で確認することが勧められます。
- 治療中の経過をみる検査の間隔は、治療の内容や骨密度の値により医師が決めます。
骨密度検査のよくある疑問
DEXA法は被ばくが心配ではありませんか?
DEXA法で使うX線は微量です。妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、事前に伝えてください。
超音波法の結果だけで骨粗しょう症と診断されますか?
超音波法は骨密度そのものを測る検査ではなく、診断基準や治療開始基準が確立していません。低めと言われた場合は、DEXA法で確認することが勧められます。
気になる症状や結果があれば、医療機関へ相談してください。
最後に
骨密度が低下することで、骨粗しょう症になり、尻もちなどの軽い転倒でも骨折しやすくなります。
上記でも述べましたとおり、女性は閉経による女性ホルモン分泌の低下に伴って、骨の量が減りやすいことから、男性より骨粗しょう症になる人が多いとされています。
骨折をきっかけに歩けなくなり、寝たきりにつながることもあるため、注意が必要です。
その様な事にならないためにも早期に発見して、治療を始めることが重要になり、その意味でも骨密度を検査されるのは大切です。





