私の祖母は肝臓癌から肝硬変、肝性脳症となりました。

徐々に進む症状や昏睡度の進行により、本人はもちろん、家族も大変苦労し悩まされました。

肝性脳症は意識障害が主なんですが、ふと我に返る時もあり、その時には想像以上の後悔や失望が本人にも襲ってきます。

また、それを支える家族も心身共におかしくなりそうなほど大変です。

今回は、そんな肝性脳症(英語表記で「Hepatic encephalopathy」)となった祖母を見てきた私の看護体験談も踏まえ、

  • 症状
  • 原因
  • 治療法
  • 余命

についてお話したいと思います。


肝性脳症とは?

高度の肝機能障害や門脈-大循環シャントにより、腸管の中で生産された毒性物質が肝臓で解毒されずに、脳に伝わることで生じる疾患です。

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肝性脳症の症状は?

昏睡度によって以下のような症状があらわれます。

肝性脳症の昏睡度

昏睡度 症状
睡眠リズムの逆転・気分の浮き沈み・自分に無頓着になる
場所を認識できない・異常行動・傾眠状態・羽ばたき振戦あり・トイレの失敗はない
興奮やせん妄状態を伴い反抗的になる・羽ばたき振戦あり
昏睡状態(痛みや刺激には反応)
昏睡状態(痛みや刺激にも反応しない)

 

祖母もこの通りの症状が段階的にあらわれました。

昏睡度Ⅱになった時、祖母の様子がおかしいと、救急車を呼んだことがあります。

起こしても起きず、少し喋っても発言がおかしかったりしたため恐怖を感じたんですが、このような症状は認知症とも似ている為、受け入れ先がなくどの病院にも拒否されました。

その後救急隊員の方のすすめで、自家用車に乗せるまで手伝ってもらい、救急へ連れて行きました。

病院で主治医に診てもらったところ、病院に連れてきて正解だった。

しかし、症状だけでは担当医以外に伝わらないため「肝性脳症による症状で」と伝え、救急車を呼ぶことをすすめられました。

肝性脳症の原因とは?

肝性脳症の原因について説明します。

肝臓の病気、急性・慢性肝不全や門脈-大動脈シャントなどで、肝機能がうまく作用しなくなり起こります。

尿素を処理できず、アンモニアが大量に発生してしまい、尿素サイクル欠損症などで起こることもあり、急性・慢性・時々起こる場合とあります。

そのアンモニアが脳に上がると神経伝達障害や機能障害などが起こります

またこのアンモニアが臭いの原因ともなり、私が最初に祖母の異変に気付いたのは口臭の変化で、このアンモニアが原因でした。

アンモニアが上がってきたかどうかは、血液検査で診断することができます。

肝性脳症の治療は?

基礎疾患の治療が主となります。

また、肝性脳症の場合、アンモニアコントロールが重要になってきます。
治療法について説明します。
処方される薬
  • 下剤
  • 抗生剤
  • 栄養剤

参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P256•257
参考文献:新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P196~198

便はアンモニアをためてしまうので、便のコントロールがカギです。

薬としては、下剤が処方されるため、水便となり便の回数を毎日チェックする必要があります。

また、アンモニアの腸内細菌を抑える抗生剤を処方されます。その他、アミノバランスを整えるアミノレバンなどの栄養剤を処方されます。

とにかく便をきちんと出すことが大切で、便の出なかった日は薬の量を調整し、しっかり毎日出すことが大切で、便が出ないと症状の悪化につながります。

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その他、食事の内容を見直すことも大切です。

肝性脳症の場合の食事

  • 高タンパク・高脂肪の食事を控える
  • 食物繊維を多く摂る
  • 塩分・水分量を考える
  • 禁酒

 

家族の看護としては、とにかく便のコントロールが大事なので、便秘にならないよう食物繊維を多く摂るべく食事を用意のが大切です。

特に塩分は控えめに、水分量は少なすぎてもいけませんし、摂り過ぎてもいけず1日1L以内くらいが基本です。

とにかく定期的に通院し、医師の指示に従うことが大切です。

肝性脳症の場合の余命は?

うちの祖母もこれが一番気になっていたようで、診察の度に主治医に聞いていました。
説明します。

急性の肝性脳症や、薬物が原因の場合は、原因を除去すれば治る場合もあります

肝硬変などによって肝性脳症になった場合は、徐々に症状が進んでいきます。

ですが、余命はどれくらいと言われることは、ほとんどありません。

祖母の場合も担当医に「ちゃんと便を出してたら大丈夫。僕より長生きしますよ」と言われていたほど。

実は、肝性脳症で余命を宣告されることはほとんどありません

何故ならばアンモニアが上がらないよう、便のコントロールで調整できるからです。

ですが、肝硬変が原因で余命などを宣告される場合もあります。

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私の祖母の場合について説明します。

私の祖母の場合

最初に異変に気付き、肝性脳症と診断され、祖母は入退院を繰り返し、亡くなるまでは3年ほどでした。

ですが、同じ肝性脳症だった知人は10年だったそうです。

祖母の場合は、症状がひどくなっては入院・・・風邪をひいたらまた入院・・・といった具合に。

とにかく入退院を繰り返し、アンモニアの数値が下がれば退院といった感じでした。

そして、最期の方は、昏睡度ⅢとⅣを行き来するような状態に。

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ですが、同じ病院に3カ月以上続けて入院できない現状です。

とにかく、受け入れ先の病院を調べ、転院するしか方法がありません。

点滴も必要だったため、自宅でみるのは不可能な状況でした。

祖母が急激に悪くなったのは、転院してからです。

病院の方針によっては治療内容も異なるのです。

祖母は血管ももろくなり、点滴を入れる場所がなくなり、足から人工血管を入れる処置を行いました。

その後点滴のみの生活となり、深い昏睡状態になっていき、最後の1カ月は眠ったままでした。

肝性脳症の症状や体験談はこちらをご覧ください→肝性脳症の症状とは?家族の体験談

最後に

  • 肝硬変などによる肝機能障害が原因
  • アンモニアが脳に上がり、症状が悪化する
  • 便のコントロールが大事
  • 下剤・抗生剤・栄養剤などが処方される
  • 肝性脳症による余命は宣告されない

 

実は、肝性脳症の症状は認知症とも似ている為、肝性脳症に気付かず、症状がひどくなって気付くという場合もあるのです。

肝臓の病気の場合、特に便の回数は気にして、症状と共に注意しておくことが大切です。

下剤、浣腸を使うと症状が緩和されるほど便の出はそれくらい影響を及ぼします。

これは認知症だと決めつけず、医療機関を受診することが重要です。




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