健康診断などで行われる血液検査は、さまざまなことがわかりますが、その中のひとつで赤血球数(せっけっきゅうすう)というのがあります。

さまざまな理由から異常値となることも多い赤血球数ですが、どのような場合に異常値となるのでしょう?

今回は、赤血球数(RBC)について

  • 正常値
  • 多い場合・少ない場合
  • 注意点

などをまとめました。

参考にされてください。


赤血球数(RBC)とは?

まず赤血球は、円盤状の中央が凹んだ形をしていて、内部はヘモグロビンという蛋白質で満たされていて、全身の組織細胞に酸素を運び、不要な炭酸ガスを運び去る働きをしています。

そのため、赤血球が不足すると酸素を運ぶ能力が落ちてしまい、各細胞は酸欠状態となります。

赤血球数(RBC)とは、体積当たりの赤血球の数を意味します。

つまり、上の図のように単位体積の中に、赤血球が何個あるか、その数が赤血球数(RBC)です。

このようなことから、赤血球数を知ることで、酸欠状態ではないか異常な疾患はないかと知る指標となります。

また、赤血球数は、ヘモグロビン・ヘマトクリットと密に関係しています。

 

赤血球数(RBC)の基準値は?

正常値は、年齢に応じて異なります。

男女それぞれ、年代別に説明します1)

20〜39歳

  • 男性:431〜566(×10万/μL)
  • 女性:382〜487(×10万/μL)

40〜49歳

  • 男性:421〜548(×10万/μL)
  • 女性:369〜493(×10万/μL)

50〜59歳

  • 男性:410〜544(×10万/μL)
  • 女性:380〜496(×10万/μL)

60〜69歳

  • 男性:399〜542(×10万/μL)
  • 女性:376〜507(×10万/μL)

 

赤血球数(RBC)が正常値より多い・少ないと問題?

正常値より多い場合も、少ない場合も問題となり、なんらかの原因が考えられます。

赤血球数

正常値より赤血球数(RBC)が多い場合

正常値よりも高値の場合には、

  • 多血症
  • 脱水
  • ショック

などの可能性があります。

また、多量の嘔吐や、下痢・発汗による脱水症状、喫煙やストレスによっても高値となります。

赤血球が多い場合、血栓ができやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくなる危険があるのです。

正常値より赤血球数(RBC)が少ない場合

一方で、正常値よりも低値の場合には、

  • 鉄欠乏性貧血
  • ビタミンB12欠乏性貧血
  • 溶血性貧血
  • 再生不良性貧血
  • 腎不全

などの可能性があります。

赤血球数(RBC)の検査は、主に貧血かどうかを調べる検査です。

そして、正常値よりも低いと、貧血の可能性があるというわけです。

しかし、赤血球数だけで判断されるのではなく、ヘモグロビンやヘマトクリットの検査結果と合わせて総合的に判断します。

赤血球数やヘモグロビンの量が減少すると、血液が酸素を全身に送る機能が低下するため、あらゆる臓器や組織が酸素不足の状態となり、

  • 疲れやすい
  • 息切れ
  • 頭痛

をはじめとしたさまざまな貧血症状が現れます。

赤血球数(RBC)の検査で注意すべき点は?

1回の検査で、完璧な数値を期待するのは不可能とされます。

何度か検査を受けて、正確な数値を出すのが大切です。

また、病気以外でも、月経異常妊娠中の場合でも正常値よりも低くなることがあります。

参考文献:
1)今日の臨床検査 2011ー2012 P47・48
よくわかる検査数値の基本としくみP36・37
最新 健康診断と検査がすべてわかる本 P72・73
検査結果なんでも早わかり事典 P190・191
ちょっと心配な健康診断の数値がすぐにわかる本P36・37

最後に

赤血球数(RBC)について、ポイントをまとめます。

  • 赤血球が不足すると、酸素を運ぶ能力が落ちてしまう
  • 赤血球数を知ることで、酸欠状態ではないか、異常な疾患はないかと知る指標となる
  • 基準値は、年齢により異なる
  • 赤血球数が多い場合、多血症・脱水・ショックなどの可能性がある
  • 赤血球数が少ない場合、鉄欠乏性貧血・ビタミンB12欠乏性貧血・溶血性貧血・再生不良貧血・腎不全などの可能性がある
  • 赤血球数の正確な数値を知るためには、何度か検査を受ける必要がある

 

赤血球数の血液検査で異常が判明したら再検査で正確な赤血球の数値を出し、それでも赤血球数の異常が認められれば精密検査を受けて貧血の原因を明確にするのが大切です。

鉄欠乏性貧血の場合、栄養バランスをしっかりとり、鉄分の多い食品(レバー・アサリ・赤身肉・豆腐など)積極的にとり入れるようにして食生活から見直す必要があります。

他にも貧血は、悪性貧血・再生不良性貧血・溶血性貧血・白血病などの悪性の病気である可能性もありますので、白血球数・血小板数・白血球分画・骨髄穿刺などの検査を行なう事もあります。

貧血は軽く見られがちな事も多いですが、放置すると大事に至ることもありますので、たかが貧血とお考えにならずに、しっかりと検査をされるのが大切です。




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