
ヘマトクリット(Ht)とは、一定量の血液中に含まれる赤血球の割合を調べる検査です。
通常、赤血球数が減るとヘモグロビン量は減り、ヘマトクリットの値も下がりますので、これら3つの値は密接に関係しています。
そこで気になる
- そもそもヘマトクリット(Ht)とは何なのか
- ヘマトクリット(Ht)の基準値(正常値)
- ヘマトクリット(Ht)が高い場合、低い場合、それぞれの原因
など、ヘマトクリット(Ht)について図(イラスト)を交えてわかりやすくまとめました。
ヘマトクリット(Ht)とは?
ヘマトクリットは、赤血球容積値とも呼ばれ、血液中の赤血球の容積の比率を表す数字です。
検査にあたっては、まず赤血球が固まらないようにしてから遠心分離器にかけ、血漿(液体)と赤血球(重いので下に沈む)に分離します。
この沈んだ赤血球の赤い層が血液全体の何パーセントにあたるかを測定して数値をもとめます。

ヘマトクリット値(Ht)の基準値(正常値)は?
ヘマトクリット値(Ht)の基準値(正常値)は
- 男性の場合:40.7~50.1%
- 女性の場合:35.1~44.4%
なら基準値(正常値)と判断されます。
逆にこの範囲に入っていない場合は、異常値ということになります。
なお、年齢や測定法、施設によって基準範囲が少し異なることがあるため、実際の判定は検査結果に記載された基準範囲を確認してください。
(JCCLS 共用基準範囲 2022年版)
ヘマトクリット値が高い場合の原因は?
ヘマトクリット値が高い場合はどのような原因が考えられるのでしょうか?
ヘマトクリット値が高ければ、血液の濃度が濃く流れにくくなり、血栓などができやすい状態です。
この場合では、多血症(赤血球増多症)の可能性が高くなります。
多血症には、
- 血液を作る骨髄に異常があり赤血球が異常に増殖する「真性多血症」
- 下痢や嘔吐などの脱水症状で血液の液体成分が少なくなり赤血球の濃度が高くなった「相対性多血症」
の2つがあります。また、たばこや睡眠時無呼吸症候群などで体が酸素不足ぎみになり、赤血球がふえる「二次性多血症」もあります。
相対性多血症とは?

「相対性多血症」は赤血球が増加したわけではなくて、循環血漿量が減った結果、相対的に赤血球の割合が増えた状態です。
つまり、見かけ上血液が濃くなっているという状態です。
下痢などによる脱水が原因となりますが、明らかな原因がわからないストレス多血症もここに含まれます。
そしてそのストレスが原因となる多血症が増えて来ている様で、肥満で煙草を吸う男性にその割合は多いとされます。
ヘマトクリット値が高い場合の治療は?
「真性多血症」の場合は、病院での治療を必要としますが、「相対性多血症」の場合は、脱水状態が緩和されれば正常値に戻ります。

ヘマトクリット値が低い場合の原因は?
ヘマトクリット値が低ければ、血液が薄いということを意味しているので、貧血の可能性が高くなります。
この場合、いちばん多いのは鉄欠乏性貧血です。ほかに、出血、ビタミンB12や葉酸の不足による貧血(悪性貧血など)、慢性の病気にともなう貧血、骨髄の病気(再生不良性貧血・白血病など)が原因になることがあります。

貧血の原因のひとつである胃切除後の貧血は、胃切除後の貧血の原因は?鉄欠乏とビタミンB12不足、症状・検査・治療で解説しています。
貧血と低血圧の違いは、低血圧と貧血の違いは?症状は似ていても原因・検査・治療が異なる理由で解説しています。
ヘマトクリット(Ht)の検査で注意すべき点は?
検査の数値は、年齢や季節、時間帯などでも変動し、夏は冬より下がります。
そのため、1回の結果だけでなく、前回の値やヘモグロビン・赤血球数とあわせて判断します。
なお、生まれたばかりの赤ちゃんは高め(50〜60%前後)ですが、その後いったん下がり、思春期ごろに大人の値に近づいていきます。
関連記事)
ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)
参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P47-49
参考文献:病気がみえる vol.5:血液 P11
最後に
今回はヘマトクリット(Ht)についてまとめました。
今回の記事のポイントは、
- ヘマトクリット(Ht)は、血液中の赤血球の容積の比率を示す。
- ヘマトクリット(Ht)の基準値は性別により異なる。
- ヘマトクリット(Ht)が高い場合には、多血症(赤血球増多症)の可能性が高くなる。
- 多血症には、真性多血症・二次性多血症(たばこ・睡眠時無呼吸など)・相対性多血症(脱水・ストレス多血症)がある。
- ヘマトクリット(Ht)が低い場合は貧血のサイン。原因でいちばん多いのは鉄欠乏性貧血。
ということです。
検査の値には個人差もあります。
これを書いている私も毎年、正常値より若干低めです。
検査の値を見る上で、大事なのは、前回と比較してどうかということです。
前回よりも大きく上昇していたり、低下している場合は、何か病気が隠れている可能性が高くなります。
参考になれば幸いです( ^ω^ )





