腫瘍マーカーの結果で分かるNSEですが、異常だとどんな病気の可能性があるのでしょう?
また、そもそもNSEとは何なのか?
今回は腫瘍マーカーのNSEについて
- 基準値
- 高値な場合の病気
- 注意点
を説明したいと思います。
腫瘍マーカーのNSEとは?
NSEは神経特異エノラーゼともいい、英語表記で「neuron specific enolase」、その頭文字をとってNSEで、読み方はそのまま、エヌエスイーとなります。
NSEは
- 小細胞がん
- 小児の神経芽細胞腫の臨床病期の推定
- 治療効果のモニタリング
- 再発判定の指標
- 予後因子
として有用とされています。
NSEについてより詳しく!
NSEは、解糖系酵素エノラーゼのうち、神経細胞と神経内分泌細胞が産生するγサブユニットを含むγγまたはαγ型アイソザイムです。
- 脳下垂体前葉
- 副腎髄質クローム親和性細胞
- 甲状腺傍濾胞細胞
- 膵Langerhans島細胞
- 末梢神経
- 赤血球
- 血小板
- リンパ球
に存在します。
NSE含有細胞の破壊により上昇する細胞逸脱酵素であり、腫瘍が増殖しターンオーバーが激しい場合や治療によるがん細胞の破壊により上昇します。
腫瘍マーカーのNSEの基準値は?
NSEの正常値は10ng/ml以下です。
これ以上になると異常値となります。
NSEが高値だと考えられる病気は?
- 成人の肺小細胞癌
- 網膜芽細胞腫
- 甲状腺髄様癌
- インスリノーマ
- ガストリノーマ
- 褐色細胞腫
- カルチノイド
- 一部の脳腫瘍
- 小児の神経芽細胞腫
- 一部の腎芽腫
- 食道癌
- 胃癌
- 大腸癌
- 腎癌
- 乳癌
- 卵巣癌
- 肺非小細胞癌
- 重篤な低酸素血症を呈する呼吸不全
- 人工透析後
- 脳血管障害
- 頭部外傷
- 髄膜炎
神経内分泌腫瘍の1つである、肺小細胞がんで高値を示すことが多いですが、それ以外の癌や、呼吸不全など癌ではない病態でも高値を示すことがあるので注意が必要です。
NSEの取り扱い注意点は?
溶血により赤血球のγ-エノラーゼが放出され高値を示しますので、採血は速やかに、採血後は直ちに血清分離し-20℃で凍結保存します。
血漿は血清より高い傾向にあり、繰り返す凍結、融解で下降する傾向があります。
小児の場合は健常児でも15ng/ml程度の数値がみられる事もあります。
参考文献:今日の臨床結果2011 2012P482・483
参考文献:検査結果なんでも早わかり事典P36
参考文献:改定新版 検査と数値を知る事典P288・289
最後に
NSE(神経特異エノラーゼ)の特徴は神経細胞に対し高い特異性があることで、神経内分泌腫瘍の性格を持つ小細胞がんには高い陽性率を示し、それはがんの進行と共に高まるという点にあります。
NSEは、早期がんにも有効とされますが、治療効果や再発の確認にも効果がありますので、抗がん剤治療や放射線治療の効果測定、再発率の測定などにも大きな役割を担っています。
小細胞がんは早期発見が何より重要とされる病気ですので、NSEなどの腫瘍マーカーを有効に使用する事が必要となっています。