人間ドックでも腫瘍マーカーの1つして、測定されることが多いSCC。

どのような病気や、癌で数値が上昇するのでしょうか?

今回は、腫瘍マーカーのSCCについて

  • 正常値
  • 異常な場合の病気
  • 注意点

などをまとめました。

参考にされてください。


腫瘍マーカーのSCCとは?

SCC

体の中の腫瘍などに反応する腫瘍マーカーの中の1つで、扁平上皮癌(肺がん・気管支・食道・子宮頸がんなど)で陽性率が高いので、その補助診断として役立ちます。

また、血中濃度の変化が早く、腫瘍の進行・治療効果の判定・再発や転移の早期発見などに有用です。

その他、難治の皮膚病の治療効果の判定などにも利用されることがあります。

SCCの読み方はそのまま「エスシーシー」で、英語表記で「Squamous cell carcinoma-related antigen」その頭文字をとってSCCといいます。

SCCの正常値は?

SCCの正常値は1.5ng/ml以下です。

つまり、これ以上になると異常であるといえます。

SCCが高い場合、どんな病気?

以下のような疾患がある場合、異常値を示します。
  • 子宮頸癌
  • 膣・外陰部癌
  • 卵巣癌(成熟嚢胞性奇形腫が扁平上皮がん化したもの)
  • 膀胱癌
  • 膀胱移行上皮癌
  • 皮膚癌
  • 頭頸部癌
  • 食道癌
  • 肺癌:非小細胞癌、扁平上皮癌
  • 肛門癌
  • 皮膚疾患:乾癬・アトピー性皮膚炎・天疱瘡・多形滲出性紅斑
  • 呼吸器疾患:気管支喘息・気管支炎・肺炎・結核・サルコイドーシス
  • 腎疾患:腎不全・透析患者
  • 胸腺腫瘍

このように扁平上皮がんを来すたくさんの疾患で陽性となります。

ただし、初期の状態では陽性率が低く、ある程度進行したものでないと引っ掛けることができないことが多く、早期発見を目的としたスクリーニングとしての意義は認められません。

子宮頸癌

子宮頸癌で発見されたように、代表的な疾患です。

病期が進行するにつれて陽性率は上昇します。

また治療後の効果判定や再発の有無をチェックするモニタリングとしてこのSCCが使用されます。

SCCの取り扱いの注意点は?

採血や測定時に、本人もしくは他人のフケ・皮膚組織・毛髪・爪などが混入すると、異常な高値として認められますので、取り扱いには十分な注意が必要です。

また、このSCCは1日の中で値が変わります。

日内変動が25%程度あると言われ、1回高値を認めた場合でも、再度検査をすることもあります。

これらは問題なく、異常高値の場合は、全身検索をすることになります。

どこかにがんが隠れていないかを探すためです。

胸腹部の造影CTや、PET検査が一般的です。

それでも、癌を疑うものが見つからなければ、良性病変の可能性を考えます。

ただし、経時的にこのSCCが上昇していくようですと、やはりどこかにがんが隠れている可能性があるので、フォローが重要です。

参考文献:今日の臨床結果2011 2012P482
参考文献:改訂新版 検査と数値を知る事典P288・289
参考文献:検査結果なんでも早わかり事典P34・35・36
参考文献:最新 病気の検査がよくわかる医学百科P129・130

最後に

人間ドックでも項目に入っていることが多い腫瘍マーカーの一つである、SCCについてまとめました。

扁平上皮がんの組織を示すがんで陽性となることがありますが、良性病変でも陽性となる点や、異物混入で陽性となる点、また、日内変動がある点は覚えておきましょう。

他の腫瘍マーカーと同様に、がんの早期発見には向いていない検査ですので、他の検査との組み合わせが重要です。




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