人間ドックや健康診断でも行われ、大腸がんのスクリーニングでもある大腸内視鏡(大腸カメラ)。
同じく大腸がんのスクリーニングとして手軽に行える便潜血検査と異なり、お尻の穴にカメラを挿入することに抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。
しかし、便検査では潜血反応を知ることにより病気の疑いを知ることができますが、大腸内視鏡ではさらに詳しく、実際に目で病気を確認・検査することが可能です。
では、実際大腸内視鏡でどのような病気が発見できるのか?
今回は、大腸内視鏡について
- わかる病気
- 何歳から受けるべきか
- 受けるべき症状
などを解説したいと思います。
ぜひ参考になさってください。
大腸内視鏡検査でわかる病気はこれ!
大腸内視鏡検査では、肛門からカメラを挿入し、肛門→直腸→S状結腸→下行結腸→横行結腸→上行結腸→盲腸→虫垂と、大腸の内部を見ることができます。
などがわかります。
大腸がん・大腸ポリープ
そもそも、何のために大腸内視鏡を行うかといえば、大腸がん発見のための検査でもあります。
大腸がんの多くは、ポリープ(腺腫)から成長し、いつの間にかがん細胞になってしまいます。
そのため、ポリープ(腺腫)の状態の時に切除しておくことで、大腸がんのリスク軽減にもつながります。
大腸内視鏡検査と同時にポリープを切除できるケースが多く、切除したポリープを生検に出して、がん細胞かどうかの判断をします。
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クローン病
クローン病は難病指定されており、炎症によって腸内に潰瘍ができる病気です。
原因が解明されていないものですが、以下のような症状が現れます。
- 腹痛
- 下痢
- 血便
- 体重減少
若年層に発症するケースが多く、男性では20~24歳、女性では15~19歳が最も多くみられ、男性に多く発症するとみられています。
潰瘍性大腸炎
消化器官に炎症を起こし、びらんや潰瘍ができてしまう病気です。
こちらも原因はわかっておらず、主な症状は
- 下痢
- 血の混ざった軟便
- 腹痛
- 微熱
などで、ひどい下痢が特徴です。
まれに腸が破れたり、出血多量になり死亡するケースもある怖い病気です。
炎症なので、主に薬での治療が一般的です。
関連記事)潰瘍性大腸炎の症状や原因は?食事制限があるってホント?
大腸憩室症
比較的高齢者に多い病気で、大腸粘膜が腸内の圧力により上昇し、嚢状になって腸の壁の外に飛び出したものをいいます。
自覚症状がない場合も多いのですが、中には
- 下痢
- 軟便
- 便秘
- おなかの張り
- 腹痛
などを引き起こします。
原因は、食生活の欧米化によるものだと考えられています。
治療方法は薬による治療が一般的です。
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虚血性腸炎
腸の動脈がふさがって起きる腸梗塞が、虚血性腸炎です。
不整脈や動脈硬化が原因になっている病気で、高齢者に多い傾向です。
しかし大腸は心臓や脳と違い、血管がいたるところにあるので、時間が立つと周りから血がめぐってきて後遺症などもなく治ります。
多くは数日で収まりますが、腸が狭くなったり、腸に穴が開いたりする場合もあります。
腸を安静にしてあげることで1~2週間程度で自然に治ります。
このように大腸内視鏡検査では、大腸がんだけでなく、様々な病気を発見することができるため、意味のある検査ということがおわかりいただけたかと思います。
- 色素内視鏡
- 拡大内視鏡
- 画像強調観察内視鏡
- 超音波内視鏡(EUS)
などの機能もあり、病気があるかないかのスクリーニング検査としてだけではなく、精密検査としても有用というわけです。
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大腸内視鏡検査は何歳から受けた方がいい?
厚生労働省による大腸がん検診の推奨年齢は、40歳以上です。
日本でのがん部位別年間死亡数で大腸がんは、肺がんに次いで第2位1)となっております。
そして、人間ドックで発見した臓器別がんの症例数で見ると、男女共、大腸がんが第2位2)となっております。
この結果からどういうことが言えるかというと、大腸がんは検査をすると多く見つかる病気なものの、発見が遅れるとそれだけ死亡率も高くなるというわけです。
以上のことから、推奨年齢は40歳からとなっていますが、
- 気になる症状がある
- 家族歴がある
などがある場合はとくに、40歳よりも前に受けて損はないということです。
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大腸内視鏡検査をうけるべき人の症状とは?
- お腹が張ったような感じ(腹部膨満感)
- お腹にしこりを感じる
- 急に体重が減少しはじめた
- 便に血や粘液が混じったりする(血便)
- 下痢や便秘が増えた
- 腹痛
- 下痢や便秘を繰り返す
- 排便の回数が増えた
- 便の形状が細くなった
- 排便をしてもすっきりしない
など、下腹部に気になる症状があるか場合、何らかの異常を抱える可能性があります。
症状を放置し、不安を抱えたままでいるよりは、検査をして安心を手に入れることをオススメします。
またこれらの症状がない場合であっても、大腸ガンの初期には症状がないことが多いので、一度は内視鏡検査を受けられることをオススメします。
ただし、毎回何もないと言われるのに毎年など受ける必要はありません。
大腸内視鏡(大腸カメラ)を受ける頻度の目安としてはこちらにまとめました。→大腸がんの検査方法とは?精密検査の大腸カメラの頻度は?
参考 サイト・文献:
1)2015年厚生労働省の発表
2)2015年日本人間ドック学会より
プレジデントムックPRESIDENTαプレミアム人間ドックP7〜9
胃腸の検査・手術で困ったときに読む本P63 〜70
見てわかる消化器ケア―看護手順と疾患ガイド P158〜160
最後に
大腸内視鏡検査は、大腸がんを発見するのに有用な検査ですが、もちろんそれだけではありません。
また、検査だけではなく、同時に治療も兼ね備えたものなので、がんだけでなく様々な病気にも対応した検査です。
そして、大腸内視鏡検査で最も抵抗を感じるのが、医師や看護師の前で、お尻を突き出すというスタイルかもしれません。
しかし、ほとんどの医療機関では、検査用トランクス(肛門部にのみ穴の空いたズボン)が用意されています。
その検査用トランクスを履いて望むと、パンツを脱いでお尻を突き出すわけではないため、幾分かリラックスして望めますよ。