難病指定されている病気の一つに、クローン病があります。
実はこのクローン病、10歳代後半〜20歳代の若い世代に多い病気なんですが、子供に起こることも・・・。
そうなると、うちの子は大丈夫なのか?
どのような症状が出るものなのか?
どんな検査が必要なのか?
気になってきますよね。
そこで今回は、クローン病について
- 原因
- 症状
- 検査方法
など、子供の場合とくに気になるあれこれを、わかりやすく解説したいと思います。
クローン病とは?原因は?
腸内にできる、原因不明の慢性非特異性肉芽腫性炎症で、根本的な治療法が見つかっていないため、難病指定されている疾患です。
簡単にいうと、消化器官のすべての部位で、炎症や潰瘍が発生してしまう病気です。
その消化管の中でもとくに多いのが、回盲部で、非連続性に病巣を形成する特徴があります。
原因も明確にはされていませんが、日本では近年増加しており(1976年には128人だったが、2013年には39,799人に増加)食の欧米化などとの因果関係も疑われています。1)
主に10代後半~20歳代の若年層に多く見られますが、子供から高齢者まで全年代で起こる可能性があり、約2対1と男性に多い傾向です。
クローン病について、詳しくはこちら→クローン病の原因や診断基準、治療法のまとめ!
クローン病の症状は?
- 腹痛
- 腹部腫瘤触知
- 下痢
- 発熱
- 体重減少
などがあります。
とくに右下腹部(もしくは臍下部)の腹痛や腹部腫瘤が触ると感じられます。
同じ炎症でも、潰瘍性大腸炎との違いは、血便症状が比較的少ない特徴です。
そして、これらの症状は徐々に進行していき、合併症を伴うこともあります。
合併症
- 関節炎・・・(関節の炎症が起こること)
- 結節性紅斑・・・(皮膚の下に赤い隆起ができる病気で、見た目はかぶれたようにも見える)
- アフタ性口内炎・・・(黄色や灰色などに変色した、5~6mm未満の口内炎のこと)
- 虹彩炎・・・(虹彩に炎症が起こり、腫れたり、充血したりすること)
- 胆管炎・・・(胆管に炎症が起こってしまう状態)
- 血栓性静脈炎・・・(静脈の中で炎症がおきる)
など、様々な病気が合併症として、再熱と寛解を繰り返します。
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子供の場合、クローン病特有の症状はある?
- もともと腸が弱い
- 身長の増加や体重の増加が悪い
- 発熱が続く
- よく下痢をする
- 口内炎を繰り返す
- 肛門の周囲の腫れや痛みがある
- 関節を痛がる
- 皮膚の紅斑
症状的には、上記で説明したようなものですが、子供の場合、うまくこの症状を訴えることができないこともあります。
また、大人と異なる点は、成長期であり本来なら身長や体重が増加するはずなのに、その成長が著しくないといった特徴も・・・。
その他では、クローン病に気づかず、すでに合併症が出ている場合もあります。
また、小児科などを受診してもなかなか診断がつかないままに、「精神的なものもあるかも」などと言われ、症状は一向によくならないことも・・・。
クローン病の検査は?子供の場合どうする?
クローン病は、臨床症状の他
- 便培養検査
- 血液検査
- 内視鏡
- X線検査
- 超音波検査
- CT
- MRI
などを行い診断しますが、子供の場合、安全性と苦痛緩和のため、麻酔を行い詳しい検査をすることになります。
とくに内視鏡やMRIなどは、子供が暴れると大変です。
そういったことから、麻酔下で行われることが考慮されているというわけです。
参考サイト:
クローン病の君へ
1)難病情報センター
参考文献:
病気がみえる vol.1:消化器 P156〜167
消化器疾患ビジュアルブック P100〜104
最後に…
ポイントは以下の通りです。
- クローン病は若年層に多く発症する
- 下痢や腹痛、発熱などを伴う
- 多くの合併症を伴う
- 子供の場合、うまく症状を訴えられないことも
- 子供の場合、安全性と苦痛緩和のため、麻酔を行い検査をする
なかなか改善しない下痢や発熱、腹痛といった症状が続くものの、診断がつかない場合、一度大きな病院での検査をオススメします。
もちろん、クローン病でないことの方が多くありますが、中にはクローン病もあり得るということを頭に置き、不安材料を一つでも取り除くことが大切です。