大腸内視鏡検査をする際は、事前に下剤を飲んで腸を空っぽにする必要があります。これを前処置と言います。
前処置の方法は検査する病院によって様々なのですが、2日前ぐらいから下剤を飲み、当日病院で腸内洗浄液を2Lほど飲むのが一般的です。
しかし、便秘体質の方は
- 他の人と同じ前処置だけで本当に腸内がきれいになるのか?
- もし便が残ってしまっていても、ちゃんと検査ができるのか?
- 病院に相談するとどのような対処をされるのか?
・・・など、とても不安に思われますよね。
ちゃんと検査ができるのかしら?と、一人で思い悩みすぎて夜も眠れず体調を崩してしまうような方もいらっしゃいます。
そこで今回は極度の便秘体質の方へ、上記のお悩みに対する回答と、大腸内視鏡検査の前に便が出ない場合の対処法をお教えします!
大腸内視鏡検査前に便が出ない!検査できる?
大腸内視鏡検査は大腸の粘膜を見る検査なので、大腸の粘膜がきれいに見える状態でないと正しい検査はできません。なので腸内をできるだけ空っぽにする必要があります。
なので少しでも便が残っていたら検査ができないのではないか?と不安に思われるのも当然かと思いますが、それでも、検査が全くできないというわけでもありません。
少量の便が残っている場合
便が出きっていない、なんとなく少し残っている気がする・・・程度でしたら、カメラの先から水が出るようになっているので、水で洗い流しながら検査は実行されます。
大量の便が残っている場合
大量の便が残っている場合は浣腸などで前処理をやり直すこともあります。それで便が出たら検査は継続されますが、それでも出なかった場合は再検査となる可能性もあります。
2,3日全く排便が無かった場合
大腸内視鏡検査では当日の前処置では2Lの下剤を飲むのですが、2,3日の間全く排便が無い状態でこの下剤を飲むと危険です。(詳しくは下の項目「こんな時は注意!死亡のリスクも!」でご説明いたします)
ですので、その場合は検査自体が中止、延期となります。
極度の便秘の場合はどうすればいい?対処法8つ!
自分でできること
水分をたくさん取る
便秘の解消には水分摂取はかかせません。いつもよりも多めに水分を摂取するようにしましょう。
炭酸水を飲む
水でも炭酸水を飲むと便秘には更に良い効果が期待できます。
- 腸の動きを活発にする
- 胃酸の分泌が良くなる
- 硬くなった便をやわらかくする
炭酸水には薬のような副作用もありませんので安心です。
乳酸菌+オリゴ糖
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌が腸内環境に良いことはもうご存知ですよね。更にオリゴ糖を一緒に摂取すると、オリゴ糖が乳酸菌のエサとなるため乳酸菌の数が増えるのでとても良い効果を得られます。
マヌカハニーは逆効果
ここで1つ注意したいのが、大腸内視鏡検査を受けられる方は胃腸疾患に効くといわれる「マヌカハニー」をヨーグルトに入れているという方も少なくないと思います。
しかし、マヌカハニーは抗菌作用があるためヨーグルトの乳酸菌も殺してしまいますので、マイナスの影響を与えてしまいます。ヨーグルトとマヌカハニーを一緒に摂取するのは辞めましょう。
オリーブオイルを飲む
オリーブオイルは自然界の下剤とも言われています。オリーブオイルに含まれるオレイン酸が腸のぜん動運動を促進してくれるのです。飲み方は朝食時に大匙1杯飲むだけです。オリーブオイルだけでなく、食事と一緒に摂取することで効果がありますのでご注意ください。
運動する
わき腹をひねったり、つま先歩き、腹筋運動が便秘に即効性があります。
便秘にきくツボを押す
おへその左右、指3本分のところにあるツボ「天枢(てんすう)」を押すと、腸のぜん動運動を活発にしてくれます。副作用もなく気軽に押せるので、こまめに押してみましょう。
便秘薬を飲む
市販されている便秘薬を試してみるのも手ですが、一気に解消しようとして自己判断で強力な薬を服用してはいけません。
また、薬の種類によっては腸内に残りやすいものもあり、逆に検査の邪魔になってしまう場合もあります。下剤が必要な場合は病院に相談してみましょう。
繊維質の多いものは大腸内視鏡検査前に限ってNG
ここで1つ注意しておきたいのが、大腸内視鏡検査をする上では食べ物の残渣(残りかす)が腸に残ると検査の邪魔になります。なので「便秘に効くだろう」と繊維質の物を食べ過ぎるのは良くないです。
検査前の便秘解消に限っては、繊維質の多い食べ物を積極的に取ることについては病院の指示を仰いでください。
関連記事:大腸内視鏡手術の前日の食事は?食べてはいけないものはコレ!
事前に病院に相談して対策を
普段から便秘対策は頑張っているけどずっと便秘体質が治っていないので、自分でできることはもう無い、お手上げ状態・・・私はもう大腸内視鏡検査はできないのかも・・・と、一人で悩みこんで体調を崩してしまう方もいらっしゃいます。
出ない、出ない、と悩めば悩むほどストレスになり、さらに便秘を悪化させることにもなりかねません。せっかく健康になりたくて検査を受けるのに、本末転倒ですよね。
早めに病院に相談することで一人で悩むストレスから開放されますし、自分に合った対処法をしてくれるので安心です。
一週間ほど前から下剤を処方してくれる
市販の薬を買うよりも、今の自分に合った薬を処方してもらえるので安心です。
食事指導をしてくれる
体の状況に合わせて、検査前にどんなものを食べれば良いかを指導をしてくれます。
前処置に下剤(腸内洗浄液)や高圧浣腸を追加する
事前の対策が万全でなくても当日の前処置の段階でも対処法はありますので、「当日、便が出きらなかった場合はどんな処置をされるのか?」その方法を病院に確認しておくだけでも気持ちがずいぶんと楽になるはずです。
関連情報:大腸内視鏡当日の検査の流れは?注意点を要チェック!
こんな時は注意!死亡のリスクも!
大腸内視鏡検査前に処方される下剤(大腸洗浄液)で死亡事故が起こった例があります。それは、便が詰まった状態の所に前処置で使う2Lもの大量の液体を流し込むことにより、腸に溜まってしまい腸が破れるという死亡事故に至った次第です。
実は、検査前2,3日から全く便が出ないほどの極度の便秘症の人は、便秘の原因が腸閉塞の場合があるのです。その場合は、どんなに下剤を飲んでも便秘は解消しませんし、その状態で大腸内視鏡検査に臨むのは大変危険です。
市販の下剤を飲んでも、どんな対策をしてみても便がほとんど出ないような便秘の方は、必ずお早めに病院へご相談ください。
まとめ
- 便の残りが少量なら、カメラの先から水で洗い流しながら検査できる
- 検査中でも前処置のやり直しをしながら継続できる
- 便秘解消法であっても繊維質の多い食べ物はNG
- 不安な場合は病院に相談すると前もって下剤を出してもらえる
- 極度の便秘の場合は、その原因により危険が伴う検査となるので、必ず事前に病院に相談する
大腸内視鏡検査の際に病院で処方される下剤は、ある程度の便秘の人でもちゃんと効果があるお薬です。ですので、必要以上に「便秘だから検査ができないのでは?再検査になるのでは?」と思い悩む必要はありません。
逆に不安な事を病院に黙っておくのは危険を伴いますので、心配な場合は一人で思い悩まず、検査をする予定の病院へご相談ください。
病院に相談すれば必ず対策を考えてくれます。腸内も気持ちもすっきりして、リラックスした状態で検査に臨みたいものですね!