大腸がんの患者数は、2010年地域がん登録全国推定値によると12万人近くで、大腸がんによる死亡数は、4万7千人程度と言われています。
大腸がん患者は、年々増加の一途であり、この30年で約5倍も増えています。男女合わせた大腸がんの患者数はすべてのがんでも肺がんを抜いて一番多くなっています。
今回は急増する大腸がんの
- 症状
- 5年生存率
- 検査方法
についてまとめました。どうしても大腸カメラを受けたくない人のための検査も紹介します!
大腸がんは痛いの?
粘膜から発生したがん細胞が徐々に大きくなり、深く大腸の壁に食い込んできます。
しかし、大腸がんには痛みを伴わないことが多く、余程進行しないと自覚症状が出てきません。
症状がないからといって、大腸がんがないとは言えないということです。
大腸がんの症状は?
そんな症状が出にくい大腸がんですが、症状が出るとすれば以下のようなものがあります。
がんがある程度大きくなると、
- がんから出血を起こす→血便となる。
- がんにより大腸が狭くなる→便通の異常、腹痛をきたすようになる。
ということです。
血便とは?
血便は、
- 目で見てわかる肉眼的な血便(便に血が混じる)
だけではなく、
- 目では見えずに便潜血検査でのみ引っかかる血便
もあるので注意が必要です。大腸がんのスクリーニングとして、便潜血検査が実施されているのも、大腸がんがからじわじわと目には見えない出血を起こすことがあるためです。
便通の異常、腹痛とは?
大腸がんは大腸の壁に深く浸潤していくと同時に、管腔側にも大きくなっていきます。すると、本来便が通る通り道である、大腸が狭くなってきますので、便が細くなったり、便秘と下痢を繰り返すような症状が出てくることがあります。
また、大腸が細くなると、腸閉塞を起こすことがあります。腸閉塞とは、腸管内のものが進まない状態ですので、圧が消化管にかかり、拡張して、痛みを伴うようになります。
関連記事)大腸がんの自覚症状について詳しく!
大腸がんの症状は場所により違うって本当?
症状の現れ方は、がんができた場所により少し異なり、結腸の右半分(肛門から遠い大腸)にできたがんは症状が現れにくいと言われています。
結腸の右半分 | 結腸の左半分 | 直腸 | |
出血 | わかりにくい。 | ややわかりやすい。 | わかりやすい。 |
便通異常・腹痛 | 起こしにくい。 | 起こしやすい。 | やや起こしやすい。 |
というふうになります。
大腸がんの5年生存率は?
大腸がんが判明した時のがんの進行度によりステージに分けられます。ステージ0、Ⅰは早期がんと言われます。当然早期がんほど生存率は高くなります。
早期がん
- ステージ0:94%
- ステージⅠ:90%
このように早期がんの場合は、実に9割以上の人が5年生存しており、高い治癒が見込めます。
進行がん
- ステージⅡ:85%
- ステージⅢa:78%
- ステージⅢb:60%
- ステージⅣ:19%
ところがステージが上がると徐々に生存率は落ちていきます。(参考:2000-2004年大腸癌研究会データより)
因みに、
- ステージⅢはリンパ節転移がある。
- ステージⅣは他の臓器に遠隔転移がある。
という状態です。
このように他のがんと同様に早期発見が非常に重要であることがわかります。
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早期発見するために、大腸がんの検査は?
大腸がんの検診としては、便潜血検査が行われています。
便潜血検査とは?
先ほど述べたように、便の中の目に見えないわずかな血液を検出してくれる優れて検査です。目に見えないレベルとは1ml中に1000万分の1gでわかるレベルです。
便を少量取ってきて調べるだけですので、非常に簡単です。
2日法といって、違う日に2回検査をするのがポイントです。この2回検査をしてどちらか一方でも潜血が出れば陽性としてカメラといった精密検査を受けることになります。
また、費用は無料〜数百円程度と非常に安価なのも魅力です。
スクリーニングである便潜血検査で陽性であったり、自覚症状がある場合は、下のように大腸カメラかバリウム検査といった精密検査を受けることになります。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは?
大腸カメラとは肛門から大腸に内視鏡カメラを入れて、小腸の終わりであるバウヒン弁というところまで大腸を全域にわたって観察していく検査です。
費用は処置の内容によっても異なりますが、3割負担の場合、6000円〜2万円かかります。
便潜血検査と異なり、大腸を直接見に行く検査ですから、大腸がんの発見率もかなり高くなります。また、バリウム検査などと異なり、がんが怪しいところがあれば生検といって怪しい部位の組織を採取して病理検査を行い(結果が分かるまでには数日かかります。)、がんであるかどうかの検査をできる点で他の検査よりも遥かに優れた検査なのです。
関連記事)便潜血検査で陽性の場合、癌の確率は?次の精密検査は?
にもかかわらず、便潜血検査で陽性となった人の実に半分近い人が、大腸カメラを勧められても受けていないいないという現状があります。
ではなぜこのように受診率が高くないのでしょうか?
- 痛そう。痛いと知り合いから聞いた。
- 過去にやって痛かった。
- 下剤を飲むのが辛そう。
といったことが受ける障壁となっています。
関連記事)大腸癌の検査、大腸カメラのギモン5選!
大腸カメラの痛みの対策は?
ディプリバンといった鎮静薬を注射することにより、軽減することができます。
おおよそ30分間寝てもらって、その間に検査をします。
下剤を飲むのが辛いことの対策は?
根本的には、下剤は飲まなくてはいけませんが、以前使われていたニフレックという量が多いものではなく、モビプレップという量が少なくなった下剤が最近では使われたり、錠剤も出てており、負担が軽くなっています。
それでも大腸カメラを受けたくない!代替の検査は?
それでも大腸カメラを受けたくないという方には、CT colonography(コロノグラフィ)といって、大腸に二酸化炭素を入れた状態でCTを撮影して、大腸がんを見つけに行く検査が普及してきています。
最後に
年々増加する大腸がん。早期発見ほど生存率が上がることがよくわかりました。
痛くて、二度と受けたくない!と言われる大腸カメラですが、自覚症状があったり、スクリーニング検査である便潜血検査で陽性である場合、早期発見のためには、欠かせない検査です。
最近は、以前ほど負担は大きくありません。また代替の検査として、CT colonographyも普及しつつあります。どうしても大腸カメラを受けたくない場合などはこちらの検査をしている病院を探すのも一つの手ですね。