食生活の変化に伴い、日本でも男女ともに増加している大腸がん。
早期発見・早期治療が重要であり、大腸がん検診は受けておきたい検査です。
しかし、
「大腸がん検査は、どんな検査方法でおこなわれるのか?」
「大腸がん検診で、再検査となった場合は?」
など、気になることも多いと思います。
そこで今回は、大腸がんの検査について
- 検査方法
- 精密検査
- 受ける意味
- 検査頻度
などをお話ししたいと思います。
大腸がん検査の方法は?
早期発見のための検査として、
- 便潜血検査
- 直腸診
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
があります。
これに加えて問診も行われます。
便潜血検査とは?
便潜血検査は手軽で、簡便に行える検査です。
便に目に見えない血液(これを潜血と言います)が混じっていないかをチェックする検査です。
大腸がん検診の最初に行うスクリーニングに用いられます。
大腸がん検診で用いられる便潜血検査は、免疫学的方法と呼ばれる方法であり、ヒトヘモグロビンを特異的に検出できます。
便潜血検査には1回だけ検査する「1回法」と2日に分けて2回検査する「2回法」があります。
当然2回行ったほうが検査の精度は上がります。
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なかなか検査を受けられない忙しい方にとっては、自宅で簡単にでき、郵送するだけで結果が届くので助かりますよね。
便潜血検査で陽性となるのは大腸ガンだけではない
便潜血検査は非常に簡便で重宝される検査ですが、注意点として、大腸がん以外の場合でも陽性と出てしまうことがあるので注意が必要です。
具体的には以下のような場合です。
- 大腸ポリープ
- 大腸憩室
- 痔
- 食道静脈瘤
- 食道がん
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 胆石
- 膵臓がん
そのため、この検査で再検査(陽性)となれば、大腸がんというわけではなく、さらに詳しい以下のような精密検査がおこなわれます。
大腸がんの検査で再検査となった場合の精密検査は?
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 下部消化管X線検査(大腸バリウム)
- 超音波内視鏡検査
- 腫瘍マーカー(CEA)
- 組織検査
- 遺伝子検査
などがあります。
ただし、最も一般的なのは、やはり大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。
組織検査や遺伝子検査は、必ずしもおこなわれるものではなく、必要に応じて(組織検査は病変組織採取のため・遺伝子検査は家族性大腸ポリポーシスの検査として)おこなわれます。
また、下部消化管X線検査(大腸バリウム)は、大腸がんが内視鏡検査で見つかった後の術前の評価として施行されるのが一般です。
ただし、どうしても大腸カメラを受けたくないという人に便潜血検査の次の検査として、下部消化管X線検査(大腸バリウム)をおこなうこともあります。
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大腸がん検査を受ける意味は?効果はある?
デンマークで行われた研究で、14万人の人を対象に、便潜血によるがん検診をした群としなかった群で、大腸がんによる死亡率を比較したものがあります。
これによると、大腸がん治療を伴う合併症も含めた大腸がんの死亡率は、検診をした群の方が有意に低下していたのです。(Lancet.1996 Nov 30;348(9040):1467-71)
つまり、便潜血検査でさえ、大腸がん検診を受けた方が早期発見につながり、結果として大腸がんによる死亡率を下げたということです。
日本においても、人間ドックで発見された臓器別がんの症例数としては、
- 男性の場合、胃がんについで、第2位(受診者数1,794,817名・がん症例数5,139例のうち)
- 女性の場合、乳がんについで、第2位(受診者数1,210,576名・がん症例数3,166例のうち)
とされています。
このことからも、他のがんに比べ見つかりやすいがんでもあり、受ける意味はあるといえます。
大腸がん検査の頻度は?
スクーニングである便潜血検査は特に40歳以上の方は、年に1回は受けたいものです。
ただし、大腸内視鏡検査を毎年となると負担も大きいものです。
大腸内視鏡検査の頻度の目安
大腸内視鏡検査を受けて、
- 問題がない。小さなポリープのみの場合。→5-10年後
- 小さなポリープ(10mm以下)を1-2個切除した場合→3-5年後
- 大きなポリープ(10mm以上)もしくは3個以上切除した場合→1-3年後
- ポリープが多数見つかった場合→1年後
に再検査というのを一つの目安とするのが良いでしょう。
ただし、あくまで目安であり、何年後に受けるかは主治医の先生と相談してください。
参考文献:よくわかる検査数値の基本としくみP204・205
参考文献:最新 検査のすべてP72・73
参考文献:新版 検査と数値を知る事典P132〜137
参考文献:ひと目でわかる健康診断P56
参考文献:プレジデントムックPRESIDENTαプレミアム人間ドックP8・9
最後に
この検査を受ける前に、まずは自分の便を日頃からチェックすることも大切です。
- 茶褐色・・・通常
- 黒色・・・鉄剤やビスマス剤服用中
- タール便・・・上部消化管出血の疑い
- 鮮紅色・・・肛門に近い部位からの出血
- 白色・・・胆道閉塞・バリウム服用後
通常の便の色は茶褐色ですが、いつもと違う便(真っ黒い便や血が混じっていると感じられる便)が出た場合には、検査頻度に関係なく、一度病院を受診し相談してみることをオススメします。
ただし、大腸がん検診の便潜血検査では目には見えない血液に反応します。
普段の便の色が大丈夫だから、大腸がんは大丈夫だなんてことはありません。
特に40歳を過ぎたら、1年に1度は便潜血検査をしてスクーニングをしましょう。