尿を採取して提出するだけで済む簡単に行える検査なため、様々な場で行う機会の多い尿検査。
しかし、その尿検査でどんなことが分かるのかご存知ですか?
自分の体から排出される尿には、色々な成分が現れます。
身近なとこでいえば、幼稚園や学校等の尿検査・妊娠中に行う尿検査・泌尿器科・内科等でも頻繁に行われます。
今回は、この尿検査について
- 分かること
- 分かる病気
- 尿検査の見方
などをご説明したいと思います。
尿検査でわかる項目は?
尿検査では大きく分けて尿定性検査と、定量検査とがあります。
尿定性検査
尿定性検査の中でも
- 尿量や外観を見る検査
- 試験紙を用いて検査する方法
- 試験紙法以外の定性検査
- 機能検査
- 尿沈渣
とに分けられます。
試験紙でわかる項目
試験紙を用いて検査する場合、以下の項目の陽性か陰性かが分かります。
試験紙以外の定性検査でわかる項目
試験紙以外の定性検査の場合は、以下の項目の陽性か陰性かが分かります。
- 蛋白
- 糖
- ウロビリノーゲン
- ウロビリン
- ケトン体
- インジカン
- ポルフィリン
- アミノ酸
- ヘモグロビン
- ミオグロビン
- メラニン
- ベンス・ジョーンズ蛋白
- VMA
尿定量検査
- 赤血球の量
- 白血球の量
- 扁平上皮細胞
- 尿細管上皮細胞
- 移行上皮細胞
- 各結晶成分
- 円柱
などが数値として分かり、異常値を示す場合は何らかの原因が疑われます。
また、以下のようなホルモンやその代謝産物・非蛋白性窒素化合物・酵素活性値などが分かります。
- 17-KS
- 17-OHCS
- カテコールアミン
- VMA定量
- セロトニン
- アルドステロン
- プレグナントリオール
- 総窒素
- 尿素
- 尿酸
- クレアチン
- レアチニン
- アミノ酸
- ナトリウム
- カリウム
- クロール
- カルシウム
- 無機リン
- マグネシウム
- 鉄銅亜鉛
- アミラーゼ
- N-アセチルβ-Dグルコサミニダーゼ
- β2-マイクログロブリン
- α1-マイクログロブリン
- ベンス・ジョーンズ蛋白
- 免疫学的妊娠反応
関連記事)
尿検査でわかる病気は?
定性検査で分かること
- 肝炎
- 肝硬変
- 閉塞性黄疸
- 糖尿病
- 腎盂腎炎
- 膀胱炎
- 酸性尿
- 飢餓
- フェニルトケン尿症
- アルカプトン尿症
- 急性腎炎
- 慢性腎炎
- 慢性糸球体腎炎
- 腎硬化症
- 腎不全
- 腎臓がん
- 尿管結石
- 尿管がん
- 膀胱結石
- 膀胱がん
- 前立腺炎
- 前立腺がん
- 尿道炎
- 甲状腺機能亢進症
- クッシング症候群
定量検査で分かること
赤血球・白血球の量・扁平上皮細胞・尿細管上皮細胞・移行上皮細胞・各結晶成分・円柱などの数値で分かる病気は以下の通りです。
赤血球
赤血球の形によって出血が予測される部位が分かります。
- 膀胱炎
- 尿路結石
- 糸球体腎炎
- 腎盂腎炎
- 前立腺炎
- 膀胱がん
- lgA腎症
白血球
白血球で炎症反応が分かります。
- 腎尿路系疾患全般
- 急性炎症
- 尿路変更術後
- 慢性炎症
- 悪性リンパ腫
- アレルギー性膀胱炎
- 間質性腎炎
- 尿路結石
- 腎移植後拒絶反応時尿路系結核
- 薬物性腎障害による腎炎
- 白血病
扁平上皮細胞
扁平上皮細胞は女性ホルモンの1つであるエストロゲンの作用で増えます。
膣トリコモナスや細菌感染で尿道炎や尿道結石症となったりします。
また、エストロゲン治療中や放射線治療中にみられることがあります。
尿細管上皮細胞
急性や慢性の尿細管障害により、尿細管上皮細胞が剥がれ落ち、尿に混じったと考えられます。
移行上皮細胞
炎症性疾患・結石・腫瘍などが考えられます。
また、カテーテル挿入で機械的に損傷したことなどが考えられます。
各結晶成分
結晶が出たから結石というわけではありませんが、シスチン・チロジン・ロイシン・ビリルビンなどの結晶が現れた場合には病気が潜んでる可能性があります。
円柱
円柱の数で病変の広がりが予測され、円柱の形により以下のような病気が考えられます。
- ガラス円柱の場合→尿蛋白
- 顆粒円柱の場合→慢性腎炎・ネフローゼ
- 赤血球円柱の場合→急性腎炎・腎出血
- 白血球円柱の場合→腎盂腎炎
- 上皮円柱の場合→尿細管病変
- ロウ様円柱の場合→腎炎・ネフローゼ
- 脂肪円柱の場合→ループス腎炎・糖尿病性腎炎
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尿検査の結果の見方は?正常値は?
蛋白・尿糖・潜血・ウロビリノゲン・pHの正常値をご説明します。
正常 | 経過観察が必要 | 精密検査が必要 | |
蛋白 | -~± | + | 2+ |
尿糖 | – | ± | + |
潜血 | -~± | + | 2+ |
ウロビリノゲン | ± | + | 2+ |
pH | 4~8 |
参考文献:よくわかる検査数値の基本としくみP18・19
参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P28〜37
参考文献:新 検査のすべてがわかる本P29・133〜139
参考文献:検査のしくみ検査値の読み方P50〜55
最後に
尿検査では、
- 腎臓・尿路系の機能や感染や炎症
- 肝機能・膵機能
- 糖代謝
などが分かります。
しかし、尿は体内の排出物であるため、色々な成分が含まれ、病気の発見にもつながります。
他の血液検査と違い、痛みを伴わない簡便な検査で、何度でも繰り返し検査することができるのも1つのメリットです。