健康診断の尿検査で「尿蛋白(±)」「尿潜血(+)」と書かれていると、尿からいったい何がわかるのか、どの項目が大事なのかと気になる人は多い。
結論からいうと、尿検査は、腎臓や尿路(尿の通り道)、血糖、肝臓・胆道などの状態を、尿を提出するだけで調べられる検査である。ただし、尿の濃さや採尿のしかたで結果が変わることもあるため、1回の結果だけで病気とは決められず、他の検査や症状とあわせて判断する。
この記事では、健診でよく使われる尿検査の項目(尿蛋白・尿潜血・尿糖・ケトン体・ウロビリノーゲン・pH・比重・沈渣)を一覧にして、それぞれでわかること、判定区分、受診の目安を整理する。項目ごとの詳しい記事も案内する。
- 尿検査は、色や濁りを見る検査、試験紙で調べる尿定性検査、顕微鏡などで調べる尿沈渣に分けられる。
- 人間ドック学会の判定区分(2026年)には、尿蛋白・尿潜血・尿糖・尿沈渣の区分があり、尿蛋白と尿潜血が両方(+)のときは尿蛋白をD判定とする。
- 前日の水分や運動、生理中の採尿などで、結果が変わることがある。
- 陽性が続く、または複数の項目に異常があるときは、内科や腎臓内科・泌尿器科で調べる。
尿検査とは
尿検査は、尿そのものの見た目を見る検査、試験紙(ディップスティック)で化学的な成分を調べる検査、顕微鏡で尿の中の細胞などを調べる検査から成る(Am Fam Physician 2022)。健診では、このうち試験紙で調べる尿定性検査が中心で、必要に応じて尿沈渣(尿の中にある赤血球・白血球・円柱などを数える検査)が加わる。
尿定性検査は、「陰性(−)」「±」「(+)」「(2+)」のように、段階で結果が示される。尿沈渣は、顕微鏡の視野あたりの個数(/HPF)などで示される。試験紙の結果が陽性でも、その場で診断が決まるわけではなく、確認の検査を行うことが多い(Am Fam Physician 2022)。

尿検査でわかること(項目一覧)
健診や外来でよく使われる項目を、基準の例と、わかることとともにまとめた。基準は検査施設ごとに少し異なるので、あくまで一例(日本赤十字社和歌山医療センター 検査部 2025)である。

項目ごとの意味は、次のとおりである(日本赤十字社和歌山医療センター 2025、Am Fam Physician 2022)。
- 尿蛋白:腎臓や尿路に障害があると陽性になる。健康な人でも陽性になることがある。くわしくは健康診断で尿蛋白が陽性と言われたら?(±)(+)の意味・原因・再検査と受診の目安
- 尿潜血:腎臓や尿路に障害があると、赤血球が尿に出て陽性になる。くわしくは【図解】尿潜血の原因は?陽性ならどんな病気の可能性がある?
- 尿糖:血糖が一定の限度を超えると陽性になる。糖尿病でよくみられる。くわしくは尿検査で糖が出る原因は?尿糖の基準値と陽性になる病気・再検査の目安
- ケトン体:糖の代謝の異常の目安になる。病気や栄養不足のときにも出る。くわしくは尿ケトン体が陽性とは?原因・基準値・糖尿病や食事制限との関係を解説
- ウロビリノーゲン:肝臓や胆道の状態を調べる項目で、健康な人でもわずかに出るため、基準は(±)とされることが多い。くわしくは尿検査のウロビリノーゲンとは?基準値(±)の意味と陽性・陰性の原因
- pH:尿が酸性かアルカリ性かを調べる。食事・運動・呼吸などで変わる。くわしくは尿検査のpHとは?正常値(基準値)と酸性・アルカリ性で考えられる病気
- 尿比重:尿の濃さを表す。腎臓が尿を濃くしたり薄くしたりする力と、体の水分の状態の目安になる
- ビリルビン:胆汁の排泄に障害があると陽性になる
- 白血球反応・亜硝酸塩:尿路系の炎症や細菌の増加があると陽性になることがある
- 尿沈渣:赤血球や白血球、円柱などを数える。くわしくは尿沈渣とは?基準値・HPFの意味・異常で考えられる病気を解説
基準値と判定の区分
日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)では、尿蛋白・尿潜血・尿糖・尿沈渣の区分が定められている(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。

尿蛋白と尿潜血は、A判定が(−)、B判定が(±)、C判定が(+)、D判定が(2+)以上である。尿蛋白と尿潜血がともに(+)のときは、尿蛋白をD判定とする。尿糖は、A判定が(−)、(±)以上でB判定とされている。
尿沈渣は、項目ごとに区分があり、たとえば赤血球と白血球は、どちらも1視野(HPF)あたり5個未満がA判定である。赤血球は5〜9個でC判定、10個以上でD判定とされ、白血球は5〜9個でB判定、尿路の症状があるときはD判定とされる(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。
異常が出たときに考えられる原因
尿検査の異常は、1つの項目だけでなく、複数の項目の組み合わせで見ることが大切である。
- 尿蛋白・尿潜血が陽性:腎臓や尿路の障害が考えられる。尿蛋白では、あらためて尿中のアルブミンとクレアチニンの比などを測り、量を確かめる(Am Fam Physician 2022)
- 尿糖が陽性:糖尿病でよくみられるため、血糖やHbA1cなどの血液検査を受ける(Am Fam Physician 2022)。HbA1cについては健康診断でHbA1cが高いと言われたら?基準値・糖尿病との関係・受診の目安を参考にしてほしい
- ケトン体が陽性:病気や栄養不足のときにも出る(Am Fam Physician 2022)
- ウロビリノーゲン・ビリルビンの異常:肝臓・胆道の病気や、赤血球がこわれる病気が手がかりになる(Am Fam Physician 2022)
- 白血球反応・亜硝酸塩が陽性:尿路感染症の可能性がある。症状があるときは、亜硝酸塩のほうが細菌感染を示しやすい(Am Fam Physician 2022)
- 尿比重・pHの異常:水分の状態、食事、代謝、結石の手がかりになる(Am Fam Physician 2022)
尿ビリルビンが陽性のときに考えられる病気は、尿ビリルビンが陽性の場合考えられる病気は?基準値は?で解説しています。
数値がずれる・一時的に変わる場合
尿検査は、体の状態だけでなく、採尿のしかたや前日の過ごし方でも結果が変わる。
- 水分のとり方:水分をたくさんとると尿が薄くなり、少ないと濃くなる。尿比重は、体の水分の状態を示す(Am Fam Physician 2022)
- 食事・運動:尿のpHは、食べ物や運動などで変わる(日本赤十字社和歌山医療センター 2025)
- 女性の生理中:生理中の尿検査は、測っても結果が意味を成さないため、特定健診では「測定不可能」の扱いでもよいとされている(厚生労働省 2026)
- 採尿のしかた:尿路感染症を調べるときは、はじめの尿を捨てて途中の尿を取る「中間尿」を使う(Am Fam Physician 2022)
前日の食事・お酒・水分・運動・薬の注意点は、尿検査前日の食事・アルコールは影響する?水分・運動・薬の注意点を解説にまとめている。
尿検査の結果が1回だけ陽性でも、すぐに病気とは言えない。再検査では、水分のとり方や採尿のタイミングをそろえて測り直すとよい。

尿検査のやり方と正しい判定のための注意点は、尿検査のやり方や出ない場合は?正しい判定のための注意点で解説しています。
再検査・受診の目安(何科か)
次のような場合は、再検査や受診を考えてほしい。
- 尿蛋白・尿潜血が(+)以上(尿蛋白と尿潜血がともに(+)のときは、D判定)
- 尿糖が陽性(血糖・HbA1cの確認が必要)
- 複数の項目(蛋白・潜血・白血球など)が同時に陽性
- 測り直しても同じ異常が続く
- 排尿時の痛み・頻尿・発熱・むくみ・血尿(目に見える血の色)などの症状がある
受診する科は、まず内科(かかりつけ医)でよい。尿蛋白や腎機能の低下が疑われるときは腎臓内科、血尿や排尿の症状があるときは泌尿器科、糖が出ているときは内科や糖尿病内科が選択肢になる。
自分でできること
- 前日から、普段どおりの水分と食事にする:極端に水分を控えたり、とりすぎたりしない
- 採尿のしかたを守る:案内に従い、中間尿をとる
- 結果は前年と並べて見る:同じ項目が毎年陽性か、今年から出たかで意味が変わる
- 自己判断で薬やサプリをのまない:異常の原因を調べてから、医療機関で相談する
よくある疑問(Q&A)
Q1. 尿検査で(±)と出たら、再検査が必要ですか?
A. 人間ドック学会の区分では、尿蛋白と尿潜血の(±)はB判定(軽度異常)で、尿糖は(±)以上がB判定である。すぐに精密検査という扱いではないが、次の健診で変化がないかを見るとよい。(+)以上になった場合や、他の項目と一緒に異常がある場合は、受診を考えてほしい。
Q2. 尿検査で、がんはわかりますか?
A. 尿沈渣には、がんを疑う細胞(異型細胞)を見る項目があり、見つかった場合はD判定とされている(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。ただし、尿検査はがん検診の代わりにはならないので、がんの心配がある場合は、別の検査について医師に相談してほしい。
Q3. 生理中でも、尿検査を受けてよいですか?
A. 生理中の尿検査は、測っても結果が意味を成さないとされている。特定健診では、生理中の女性の尿検査は「測定不可能」の扱いでもよいとされている(厚生労働省 2026)。予定日と重なるときは、受診する医療機関に相談して、日を変えるかどうかを決めるとよい。
気になる症状や結果があれば、医療機関に相談してください。
参考文献
- 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分(2026年4月1日改定). https://www.ningen-dock.jp/ningendock/wp-content/uploads/2026/02/2026hanteikijun.pdf
- 日本赤十字社和歌山医療センター 検査部. 尿定性(基準値と説明). https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/department/kensabu/qnk2b3000000ayhl-att/sainyou202504.pdf
- Office-Based Urinalysis: A Comprehensive Review. Am Fam Physician. 2022. PubMed 35839369
- 厚生労働省. 特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版). 2026年3月. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001496685.pdf





