健康診断や人間ドックなどで行われる尿検査。
その中で、尿pHという項目を目にしたこともあると思います。
今回は、この尿検査のpHについて
- 検査で分かること
- 基準値
- 異常な場合
- 病気
- 注意点
をご説明したいと思います。
尿pHとは?分かることは?
尿に含まれる水素イオン濃度のことをpHといい、読み方は「ペーハー」といいます。
この水素イオン濃度は、尿が酸性なのか、アルカリ性なのかが分かります。
腎臓や尿路系疾患などのスクリーニング検査として行います。
検査方法としては、尿を採取し(採尿)、試験紙に尿をつけることで、色の変化を見て判定します。
尿検査のpHの基準値は?
弱酸性で、pH6.0程度が基準値となります。
しかし、食事内容によってpHが4.5〜7.5程度に変わることもあるので、この範囲も基準値内となります。
尿検査のpHが異常な場合は?
基準値よりも高くなれば、アルカリ性に傾きます。
また、基準値よりも低くなれば、酸性に傾きます。
つまり、基準値の弱酸性尿でなければ、アルカリ尿・酸性尿となり、何らかの病気が考えられます。
尿検査のpHの異常で考えられる病気は?
病気かどうかは、その他の検査と組み合わせて検討されますので、これだけで病気と判定されるわけではありませんが、考えられる病気として以下のようなものがあります。
尿pHが酸性の場合考えられる病気
代謝性アシドーシス・呼吸性アシドーシスとなると酸性に傾き、
- 腎炎
- 糖尿病
- 痛風
などが考えられます。
また、発熱・脱水・飢餓などでも酸性尿となります。
その他、尿が酸性状態だと、腎結石や尿管結石などができやすい状態ともなります。
尿pHがアルカリ性の場合考えられる病気
代謝性アルカローシス・呼吸性アルカローシスとなるとアルカリ性に傾き、腎臓から尿道までの
- 尿路感染
- 腎盂腎炎
- 膀胱炎
- 尿道炎
などが考えられます。
また、過呼吸・嘔吐・制酸剤服用などでもアルカリ尿となります。
尿pH検査の注意点は?
食べ物に左右されることもあるため、検査前の食事内容にも注意する必要があります。
- 酸性食品の摂取(肉類を摂取による有機酸などの増加による)によって尿が酸性化することも
- アルカリ性食品の摂取(野菜や果物類などの過剰摂取)によって尿がアルカリ性化することも
しかし、他の検査と違い、尿検査は体に負担がなく、誰でも手軽に行える検査なので、そこまで過剰に気にする必要はありません。
もしも基準値から外れた場合は、再度検査をして問題なければ、この食事内容が原因のこともあるというのを頭に入れておくと良いでしょう。
参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P32
参考文献:最新 尿検査 その知識と病態の考え方 第2版P38〜40
参考文献:最新 検査のすべてP128
参考文献:新版 検査と数値を知る事典P180
最後に
- 尿に含まれる水素イオン濃度のことをpHという
- 弱酸性で、pH6.0程度が基準値
- 基準値より高ければアルカリ性
- 基準値より低ければ酸性
- 酸性ならば、腎炎・糖尿病・痛風などの可能性もある
- アルカリ性ならば、尿路感染・腎盂腎炎・膀胱炎・尿道炎などの可能性もある
- 食事内容によってもpHは左右される
尿検査は最も簡単に行える検査なため、多く行われますが、この検査だけで病気の確定診断となるわけではありません。
一度異常が出ても、再検査を行い異常がなければ問題ありませんし、再検査でも問題となれば、尿沈渣などより詳しい検査や、血液検査・画像検査など、さらなる検査を行い原因を追求することになります。