腎臓で形成された結石が、尿管に落ちたものを尿管結石といいます。
明け方に症状を発症しやすいと言われる尿管結石ですが、具体的にどのような症状が起こるのでしょうか?
また、
- 尿管結石の種類
- 診断方法
- 再発するのかどうか
などについてまとめました。
尿管結石の症状は?
尿管結石の症状は以下のものが挙げられます。
- 突然の激しい腰背部痛
- 鼠径部や外陰部への放散痛
- 血尿
- 嘔気嘔吐
このように、腰や背中の痛みだけではなく、鼠径部や外陰部への痛みがあったり、嘔気嘔吐といった消化器症状が出るので、診断に苦慮することもありますが、何より腰背部痛が激烈で診断が容易なことが一般的です。
尿管結石は、男女比は2:1で男性に多いとされます。
尿管結石の種類は?
- カルシウム主体:シュウ酸カルシウム(最多で7割を占める)、リン酸カルシウム
- 尿酸
- シスチン
- リン酸マグネシウムアンモニウム
全体の70%を占める。金平糖状でひっかかりやすく排石されにくい
尿酸カルシウム
全体の5%を占める。
尿が酸性の時にできやすい。レントゲンに写らない
リン酸マグネシウムアンモニウム
尿路感染が原因で女性に多いのが特徴。
尿管結石の予防は?原因になる食事は?
- 尿が濃縮しないように、水分をしっかりとる。1日2L以上!
- 塩分の多い食事は控える
- 動物性蛋白を控える。但し乳製品は問題ない
- Caを制限する意味なし
- 尿酸結石の原因となる、尿酸値を上げないための食事をする。ビール(飲酒)は控えめに!
尿管結石の好発部位は?
- 腎盂尿管移行部
- 総腸骨動脈交差部
- 尿管膀胱移行部
これらの3箇所は、尿管の生理的狭窄部と言われ、正常でもやや狭くなっています。
狭くなっているところに、結石は嵌頓(はまる)しやすいと言われます。
尿管結石の診断方法は?
中年の男性が明け方、のたうちまわって痛みを訴えて救急外来に運ばれてきた場合、尿管結石の可能性があります。
特に過去に尿管結石と診断されていればよりその可能性は高くなります。ただし、それで確定はできません。
以下の検査を組み合わせます。
- 尿定性検査:潜血が陽性であるかどうか
- 超音波検査(エコー):水腎症があるかどうか
- レントゲン検査(KUB)
- 最後の手段で単純CT
レントゲンに比べて、CT検査は被ばく量が非常に多いのですが、レントゲンに写らない尿管結石があるのでレントゲンだけで尿管結石がないとはなかなか言えないのです。
- 尿酸結石
- キサンチン結石
- シスチン結石
その点CT検査では、エコーでわかる腎臓の腫大や水腎症と言って尿路に圧がかかっている状態も見ることができ、レントゲンに写らない尿管結石もほぼ100%写り、非常に優れた検査と言えます。
尿管結石の治療は?
つまり、今痛いのを和らげる・取り除くという治療が主体です。痛みを取る薬は、
- NSAID(ボルタレン坐薬®25mg or 50mg)
の坐薬が有名です。他には、漢方である、
- 芍薬甘草湯®2包(お湯でといて飲む)
も良く効きます。
- ブスコパン((コスパノンカプセル®(40)2CP or 1CP))
も尿管の攣縮緩和のために出されることもありますが、効きはイマイチなことが多いです。
今日落ちるかもしれませんし、1週間、1ヶ月後かもしれません。
じゃあそれまで、はいつ痛みが来るかわからないということですか?
ただし、直径1cm以上とサイズが大きい結石の場合など特別な場合は話は別です。
入院での加療が必要となる場合は?
- 尿路の上の方で1cmを超える尿管結石
- 腎盂腎炎など感染症を合併している時
- ボルタレン坐薬で痛みが引かない時
- 飲水ができないほど嘔気嘔吐がひどい時
- 腎臓が片方しかなく、腎不全のリスクがある時
手術を必要とする場合は?
- 尿路の上の方での閉塞が強い場合
- 腎盂腎炎など感染症に対して抗生物質が効かない時。
- 痛みをコントロールできない時。
- 腎機能障害が出現してきた場合。
他の治療は?
特別な部屋に入り、衝撃波を与えて石を砕くという方法があり、これを体外衝撃波砕石術(ESWL)と呼びます。
尿酸結石って飲み薬で溶かすことはできる?
ただし、
- 尿酸結石
- シスチン結石
は尿をアルカリ化させることで溶かすことが可能なケースがあります。
尿酸結石は尿管結石全体の5%程度、シスチン結石は1%程度ですので、かなりその可能性は低いことがわかります。
尿管結石は再発するの?
尿管結石という病気は、過去に尿管結石にかかったことがあるかどうかが非常に重要です。
つまり、再発する可能性がかかったことがない人よりも高くなります。
15%は1年以内に、50%が5年以内に再発するといわれています。
一度石が流れたからといって、食生活などを変えなければ、再発する可能性があるということです。
最後に
今回は尿管結石についてまとめました。
基本的に治療は痛みを抑える対症療法が主体となりますが、場合によっては手術などが必要となることもあります。
また、再発することが非常に多いので、既往がある人は食生活や飲水など注意が必要です。