
ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓・腎臓・小腸・骨など多くの臓器に含まれているリン酸化合物を分解する分解酵素のひとつです。
このような臓器に異常が発生すると、ALPが血液中に増えやすくなりますので、血液検査などの臨床検査において、肝臓や胆道、骨の状態を調べる指標として検査されます。
今回は、ALP(アルカリフォスファターゼ)(読み方はそのままエーエルピーと読むことの方が多いです)について
- 検査をする意味
- 基準値
- 異常な場合に考えられる病気
- 注意点
などをまとめました。
参考にされてください。
先に結論:ALPの基準値と見方
- 基準値の目安は38~113 U/L(IFCC法。日本臨床検査医学会の学生用共通基準範囲2025・JCCLS共用基準範囲に準拠)。測定法や施設で異なり、旧法(JSCC法)の値とは大きく違います
- 高い:胆汁の流れの悪さ(胆汁うっ滞)や肝臓の病気、骨の病気、成長期、妊娠などで上がります
- 低い:問題になることはまれです。気になるときは他の検査と合わせて確認します
- γ-GTPも高ければ肝臓・胆道系、γ-GTPが正常でALPだけ高ければ骨・成長期・妊娠などが考えられます
- 黄疸、濃い尿、白い便、右上腹部の痛み、発熱があれば早めに受診しましょう
ALP(アルカリフォスファターゼ)とは?
ALP(アルカリフォスファターゼ)は、多くの臓器の細胞に含まれているリン酸を分解する酵素であり、血液にも微量に放出されています。

ALPは肝臓、胆管、骨、小腸、腎臓、胎盤などでつくられ、血液中のALPの多くは肝臓と骨に由来します。肝臓や胆管では、胆汁の流れが悪くなる(胆汁うっ滞)とALPが血液中に増えます。
これらの臓器に異常があると血液中のALPが増えるため、検査によって肝臓・胆道・骨などの異常の手がかりを得ることができます。

ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値は?
検査の結果、
IFCC法で38〜113 U/L
であれば基準範囲内です(日本臨床検査医学会 2025、JCCLS共用基準範囲に準拠)。
ALPは2020年度ごろから、従来のJSCC法からIFCC法へ測定法が切り替わりました。以前の参考書籍にある「比色法で50〜350 U/L」1)など旧法の数値とは大きく異なるため、結果票に書かれた測定法と基準範囲を確認してください。基準値は施設によっても多少異なります。
日本人間ドック・予防医療学会は、ALPが血液型や閉経の影響を受けることから、ALPの判定区分を設けていません(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。
ALPが基準範囲より高い場合は、原因の確認が必要です。低い場合は問題にならないことが多いものの、他の検査と合わせて確認します。
肝臓の検査の種類や何科を受診するかは、肝臓の検査の種類と方法は?血液検査の基準値・画像検査・何科を受診するかで解説しています。
異常のときに考えらえる病気は?
高値の場合に考えられる病気
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 肝臓がん
- 胆管結石
- 膵臓がん
- 原発性胆汁性肝硬変
- 原発性硬化性胆管炎
- 総胆管結石
- 骨折
- くる病
- ページェット病
- 骨軟化症
- 骨肉腫
- 甲状腺機能亢進症
- 副甲状腺機能亢進症
- 慢性腎不全
- 潰瘍性大腸炎2)
などの異常が懸念されます。このうち頻度が高いのは、肝臓・胆道の病気と骨の病気、そして成長期や妊娠による生理的な上昇です。
どの原因かは、ALPと一緒にγ-GTP、AST、ALT、ビリルビンなどを見て考えます。
| 一緒に高い検査 | 考えやすいこと |
|---|---|
| γ-GTP、ビリルビンなども高い | 胆汁うっ滞・肝臓や胆道の病気 |
| AST・ALTが高い | 肝細胞の障害(肝炎など) |
| γ-GTPは正常でALPのみ高い | 骨の病気、成長期、妊娠、血液型や閉経の影響など |
低値の場合に考えられる病気
甲状腺機能低下症3)
が考えられますが、ALPが低いことで問題になる場合はまれです。
尿ビリルビンが陽性の場合に考えられる病気は、尿ビリルビンが陽性の場合考えられる病気は?基準値は?で解説しています。
胆汁の流れが悪くなる急性胆管炎については、急性胆管炎の症状・原因・治療は?発熱・腹痛・黄疸があればすぐ受診で解説しています。
ALP(アルカリフォスファターゼ)の検査で注意すべき点は?

- 検査の数時間前に脂質分の高い食品を食べると、高い数値が出るので注意が必要
- 血液型B型・O型の一部の方は食後(とくに脂肪食)に高い値を示すことがあるため、空腹時に採血を
- 小児から思春期までの成長期には、骨の成長のため成人よりも高い値を示します4)
- 妊娠後期から分娩後数週間の血中濃度は、基準値を大きく上回る傾向にある
- 薬の種類によっては肝臓に影響してALPが上がることがあるため、服用中の薬やサプリメントは検査の前後に医師へ伝えてください
ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)

参考文献:
今日の臨床検査 2011ー2012 P190・191
最新 健康診断と検査がすべてわかる本P31
よくわかる 検査数値 基本としくみP58・59
1)4)今日の臨床検査 2011ー2012 P190・191
2)3)最新 健康診断と検査がすべてわかる本P31
日本臨床検査医学会標準化委員会. 学生用共通基準範囲の考え方と利用時の留意事項-2025年改定(原本)
日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分(2026年4月1日改定)(原本)
最後に
ALPについて、ポイントをまとめます。
- ALPは、多く臓器の細胞に含まれているリン酸酵素
- ALPの含有量から肝臓・胆嚢・十二指腸の異常の有無を調べることが可能
- 基準値の目安は38〜113 U/L(IFCC法。測定法・施設で異なる)
- 高い場合は、肝臓・胆道・骨などの病気や、成長期・妊娠などが考えられる
- 小児期〜思春期前までは高値となる
- 妊娠時にも高値となる
ALPの検査値で異常があると診断されると、他の肝機能検査・・・とくにAST・ALT・LAP・γ-GTPなどの検査値も合わせて、総合的な診断が下されます。
また、GOTやGPTと同時に検査すれば、病気の箇所をより明確にする事ができます。
たとえば、GOT・GPT・ALPの3つが基準値よりすべて高い値になっている場合には、肝臓に何らかの問題のある可能性が高くなります。
GOTとGPTが正常でγ-GTPも正常なのにALPだけ高い場合は、骨の疾患や成長期、妊娠などの可能性が考えられます。ALPのアイソザイム(由来を調べる検査)で肝臓由来か骨由来かを調べることもあります。
ALPのよくある疑問
Q. 再検査はいつ受ければよい?
脂肪の多い食事の直後は値が高くなることがあるため、再検査では指示された条件(空腹など)で受けましょう。時期は結果の程度や他の検査値で変わるため、医師の指示に従ってください。
Q. 何科を受診すればよい?
肝臓や胆道が心配なら内科・消化器内科、骨の痛みがあれば整形外科や内科が目安です。黄疸、濃い尿、白い便、右上腹部痛、発熱があれば早めに受診してください。気になる症状や結果があれば、医療機関へご相談ください。





