あらゆる慢性肝疾患の週末像である肝硬変は、治療だけでなく、日々の食事の見直しも大変重要になります。
ですが・・・
「好きなものを食べれない?」
「食事に制限がある?」
と考えると、それだけで気が重くなります。
では、肝硬変の場合、どのような食事に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、肝硬変の食事について
- 食事療法
- 注意点
- オススメレシピ
- 看護
を説明したいと思います。
参考にされてください。
肝硬変の食事療法とは?
肝硬変の場合、肝機能低下に注意する必要があります。
そのため
- カロリー制限
- 栄養バランス(タンパク質・脂肪・糖質・塩分の制限)
- 魚介類の生食摂取禁止
- 断酒
を徹底することが大切です。
しかし、肝硬変には代償期と非代償期があり、より症状が進行した非代償期では特に注意する必要があります。
カロリー制限
- 代償期では、25〜30kcal/kg(標準体重)/日
を目安とするのに対し
- 非代償期では、35〜40kcal/kg(標準体重)/日
とします。
ですが、合併症の種類によってはこの目安数値も異なり、特に肝性脳症がある場合は、上記以下におさえる必要があります。
栄養バランス
栄養代謝異常が生じるため、良質のたんぱく質やビタミンやミネラルを含む食事が大切で、タンパク質・脂肪・糖質・塩分の制限も必要です。
- タンパク質・・・1日80gの高タンパク食としますが、肝性脳症の場合は20gに
- 脂肪・・・1日50gに抑え、肝性脳症の場合はさらに抑えた20gに
- 糖質・・・1日300gとし、肝性脳症の場合は120gに
また、腹水や浮腫をともなう場合、塩分は1日5gとします。
というのも、塩分とむくみや水のたまりやすさは大きく関係し、特に味噌汁や漬物等の塩分にも注意する必要があります。
魚介類の生食摂取禁止
肝硬変患者は免疫力も低下しているため、魚介類を生食摂取することにより、菌感染が致命的となることもあります。
そのため、魚介類は十分に火を通して食す必要があります。
断酒
アルコールは肝臓にとって大敵です。
飲酒によってさらに症状を悪化させてしまうことにもつながりますので、断酒を徹底しましょう。
肝硬変の食事の注意点
上記でご説明したことに加え、特に肝硬変の場合は様々な合併症が怖く、病状によって食事内容も見直す必要があります。
特に、その中でも肝性脳症をともなう場合は注意が必要です。
肝性脳症は、便秘になると蓄積したアンモニアが脳に上がり、脳症を引き起こし、様々な重篤症状をも引き起こします。
そのため、アンモニの発生を抑えるべく、
- タンパク質の少ないものを摂取
- 肉・魚・卵を減らす
- 便秘に注意
する必要があります。
肝硬変の食事レシピ!オススメをご紹介
晩御飯のメニューとして
- ご飯
- オクラ納豆
- ナスのはさみ焼き
- サラダ
- フルーツ
というのはいかがでしょう?
野菜を多く摂取でき、制限食とは感じない満足のいく組み合わせになっています。
用意する材料
- ナス
- 鶏ひき肉
- 豆腐
- パン粉
- 椎茸
- 片栗粉
- ケチャップ
作り方
- ナスを0.5cmほどの厚みに縦切りする
- ボールに鶏ひき肉・水切りした豆腐・みじん切りした椎茸・パン粉を入れよく混ぜる
- ナスに片栗粉を軽くまぶして、2の肉ダネを挟む
- 皿に並べ、ラップをしてチンする
- 薄く油を敷いたフライパンで、4を焼く
- 裏返して蓋をして焼く
- ケチャップをからめる
- 完成
鶏ひき肉200gに対し、3個パックの豆腐1個が目安となります。
(後はお好みで)
味付けをケチャップのみにしているものの、野菜や肉の甘みを十分に感じることができます。
チンすることで、余分な油を落とし、火の通りも良くします。
肝硬変の看護は?
代償期では、適度な運動を勧め、筋萎縮予防をおこなうことが重要ですが、非代償期では安静が必要です。
その重症度を見逃さないように注意し、症状にあった食事指導をする必要があります。
また、食後30分〜1時間は肝臓の血流量を増やすためにも臥床安静を指導しましょう。
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P301
参考文献:パッと引けてしっかり使える 消化器看護ポケット事典[第2版] P127
参考文献:肝臓病これで安心 改定新版P104 〜111・140〜213
最後に
いかがでしたでしょうか?
1回の食事で量を多く摂るのではなく、カロリー計算をし、その中で回数を分けて食べるのも良いでしょう。
また、制限しすぎると便秘になる可能性もあるため、制限食の中でも、バランスのとれた食事内容に気をつけ、お通じを良くすることも大切です。
また、先日までは良かったのに、検査後に今までと逆のことを注意されることもあります。
それだけ病状によって食事療法も変わってくるということなので、医師の指示に従い、その時の病状に合わせた食事管理をおこないましょう。