昨今耳にするニュースから、がん検診の重要さが問われていますが、女性特有のがんである子宮頸がんも同様です。
2005~2015年の年齢調整死亡率の推移によると、子宮頸がんは死亡率が最も増加しているがんに該当します。
若くてもなる可能性のあるがんなので、心配されている親御さんも多いと思います。
今回は、子宮頸がん検診について
- 受けるべき年齢
- 方法
- 頻度
などについて、お話ししたいと思います。
子宮頸がん検診は何歳から?
厚労省の発表によると、
20歳以上の女性は子宮頸がんの検診を受けるべき
と推奨されています。
子宮頸がんは、10代後半から増えはじめ、30代後半でピークを迎え、その後徐々に減っていきます。
(1)を参考に作成。)
しかし、1985年から2005年の子宮頸がん患者数を見ると、50代以上では減少してきているのに対し、20代で急激に増加しているのがわかります。1)
この統計からわかることは、年齢が進むにつれ患者数が増加する他のがんとは異なり、性活動が活発な若い世代でも患者数が増加しているので、若い世代も子宮頚がん検診を受けるべきということです。
関連記事)子宮がん検診とは?費用は?生理なら?
そもそも子宮頸がんとは?
子宮頸がんは、子宮の入り口付近(子宮下部の管状の部分)にある子宮頸部に出来るがんのことです。
子宮の入り口の場所という事もあり、検査や観察が比較的容易に出来る為に、発見されやすいがんです。
早期に発見出来れば、治療が比較的しやすいですが、進行してしまうと逆に治療は困難になるため、その点からも早期発見が大変重要なカギとなります。
子宮頸がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染が原因で発症されると分かっています。
これは、性交渉で感染する事が知られていますが、たとえ感染しても90%の人は2年以内に自分の免疫力によって、このウイルスを排除する事が可能です。
しかし、10%の人は感染した状態が長く続いてしまい、子宮頸がんへと進行してしまう可能性があるとされています。
子宮がん検診ってよく聞きますが、子宮体がんもありますよね?
何が違うんですか?
子宮体がん(しきゅうたいがん)とは違うの?
子宮頸がんは子宮頸部にできるがんで、子宮体癌は子宮体部にできるがんですので、同じ子宮がんではありますが、異なるものです。
上の画像はMRI(T2強調像・矢状断像)の画像です。
子宮体部と頚部は連続していますが、どこでがんが発生するかで名称は異なります。
子宮体がんの場合は、細胞診などで検診としてのがん検診は一般的には行われません。
したがって、一般的に子宮がん検診といえば子宮頸がん検診のことを指します。
ただし、子宮頸がんの内診過程で子宮体がんが見つかることもあります。
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子宮頸がんの検診の方法とは?
子宮頸がんの検診は、婦人科の専門医師による、
- 問診
- 視診
- 内診
- 細胞診
により行われます。
細胞診はパップテスト(Pap test)とも呼ばれ、子宮の頸部の細胞を擦り採って、顕微鏡で細胞が正常(Grade1)なのか、がん(Grade5)が疑わしいのかを検査します。
子宮頸がん検診を受ける頻度は?
2年に1回の検診が勧められています。2)
また、アメリカなど欧米先進国では3回連続して異常が確認できなければ、その後3年ごとの検診でも問題ないといわれています。
しかし、月経時以外の出血など、いつもと違う症状がある場合は、この期間を待たずして検診を受けることをオススメします。
参考サイト:
1)国立がん研究センター がん情報サービス 子宮がん検診の勧め
2)国立がん研究センター がん情報サービス 子宮がん検診のQ&A
参考文献:
よくわかる検査数値の基本としくみP134・135
病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科 第3版P142
最後に
今回は子宮頸がんのがん検診についてお話ししました。
ポイントをまとめます。
- 20歳以上の女性は子宮頸がん検診を受けるべき
- 子宮がん検診といえば、一般的に子宮頸がん検診のこと
- 子宮頸がん検診は、婦人科の専門医により、問診・視診・内診・細胞診という方法でおこなわれる
- 2年に1回の検診が勧められている
子宮頸がんは発展途上国に多い傾向にあり、日本などの先進国には少ないのが現状ですが、日本においてこの10年で死亡率が上昇しているという数字は見過ごせません。
当然、早期発見が重要です。
デリケートな場所でもありますし、不安も強いかと思いますが、ぜひ子宮がん検診を受けられることをオススメします。