腫瘍マーカーといっても様々な項目がありますが、特に女性の人間ドックでも項目に入っている腫瘍マーカーの1つであるCA125は、どのような時に数値が高くなるのでしょうか?
今回は、腫瘍マーカーのCA125について
- 基準値
- 数値が高くなる病気
- 注意点
- CA130・CA602
などをご説明したいと思います。
腫瘍マーカーのCA125とは?
癌が出来ると、腫瘍細胞が作り出す物質や、腫瘍に反応して体が作り出す物質が血液中に増加します。
腫瘍マーカーは、体のどこかに出来ている癌を検出する検査ですが、癌の発見だけでなく、進行状況の診断、治療効果の判定、再発や転移の早期発見などにも役立ちます。
画像診断や内視鏡検査・細胞診などをおこなった上で、それらを補助する検査として有用です。
その中でCA125は、糖タンパクの一種で、婦人科系腫瘍の指標になる検査とされています。
腫瘍マーカーでCA125の基準値は?
CA125の正常値は、35.0U/ml以下です。
ただし、年齢や性差によって変動があります。
腫瘍マーカーでCA125の数値が高い場合、何の病気?
- 卵巣がん(特に漿液性腺癌)
- 子宮がん(子宮体がん、子宮頸部腺癌)
- 良性卵巣嚢腫
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 炎症・腸閉塞・骨折など
特に卵巣癌を調べるのに有用とされていますが、それ以外にも、子宮内膜性疾患においても高値を示すことがあります。
100U/ml未満が要注意、それ以上であれば癌があると推定されます。
ただし、卵巣癌の場合500U/mlを超えていれば確率は極めて高くなります。
CA125の評価の注意点
卵巣癌だけではなく、子宮内膜症や子宮筋腫といった、頻度の高い良性病変でも陽性となることがある点で注意が必要です。
また、健常女性であっても月経周期により影響を受けるので、評価には注意が必要です。
その他妊娠早期にも高くなりますが、経過とともに数値は戻ります。
閉経後は男性と同レベルへと向かいますが、その際に異常に数値が高くなると、卵巣癌が疑われます。
さらに、炎症・腸閉塞・骨折・子宮や卵巣とは関係がないところでも高値となることがあるため、この腫瘍マーカーだけで判断しないよう注意が必要です。
腫瘍マーカーでCA130やCA602とは?
CA125と似た腫瘍マーカーにCA130やCA602があります。
CA130
肺がん、卵巣がん(こちらも特に漿液性腺癌)、胆嚢がん、膵臓がんなどで陽性となります。
正常範囲は、35.0U/ml以下です。
CA602
CA602は漿液性腺癌で陽性率が高く、その陽性率はCA125と同程度といわれています。
病気の病勢と相関するため、卵巣がんの漿液性腺癌の治療効果の判定に用いられることもあります。
ただし、この腫瘍マーカーもCA125と同様に、子宮内膜症・卵巣嚢腫・子宮筋腫など良性病変でも陽性となることがあるので注意が必要です。
参考文献:改訂新版 検査と数値を知る事典P282・286
参考文献:検査結果なんでも早わかり事典P34・35
参考文献:最新 病気の検査がよくわかる医学百科P126〜129
最後に
CA125は卵巣癌、特に頻度が高い漿液性腺癌に特異的に上昇する腫瘍マーカーです。
そのため、30歳代から女性の人間ドックで項目に入ることが多い検査です。
ただし、高値だから癌とは限らず、頻度の高い子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症でも陽性となることがあるので、婦人科受診・経膣超音波検査(エコー検査)・骨盤MRIなどによる精密検査が必要となります。