人間ドックや健康診断でのバリウム検査は、大好きだって人はほとんどいませんよね。
飲む前にも抵抗感があるものですが、副作用が気になりますよね。
特にバリウム後は便秘になりやすいとか下痢になるとか、それに伴った腹痛が起きたり・・・。
中には頭痛まで起こる方も・・・。
そこで、今回は『バリウム検査の副作用』について
- バリウム検査の副作用
- バリウムアレルギーについて
- バリウム検査前の注射の副作用
- バリウム検査後に気を付けたいこと
これらについて徹底的にまとめてみました。
バリウム検査の副作用はバリウムのせいだけじゃなかったんです!
ぜひ最後までご覧くださいね。
バリウム検査の副作用は?
この他、重篤な副作用もあります。
- アナフィラキシーショック
- 消化管穿孔(しょうかかんせんこう)
- 腹膜炎
- 腸閉塞(イレウス)
これらの頻度は不明です。
参考:バリコンミール 添付文書
消化器の症状
まずは消化器の症状から見ていきましょう。
便秘
また、バリウム検査後は水分をしっかり摂るように言われますが、バリウムは固まりやすい性質のため、水分が不足すると腸内で固まってしまうこともあります。
そのため、水分が不足していると便秘になりやすくなります。
下痢
バリウム検査後に便秘になりやすい方もいますが、中には下痢になるという方もおられます。
便秘と下痢は全く逆ですが、バリウムは体にとっては異物ですので、それを排出するために体が下痢として反応することもあります。
腹痛
便秘と下痢によって腹痛が起こることもあります。
吐き気・嘔吐
バリウムは味もなく飲みにくいものなのでそれだけで気持ち悪くなってしまいますが、やはりバリウムの添付文書にも副作用として書かれています。
肛門部痛・出血
便秘になったり、バリウムが腸内で固まってしまった場合、固い便を排出する時に肛門が傷ついたりすることで起きる痛みです。
できるだけ便秘にならないようにしっかり水分を摂りましょう。
過敏症について
バリウムは硫酸バリウム製剤と言う造影剤です。
医療用として検査に使用しているものは、安全性の保証はありますが、バリウムは金属です。
アレルギー体質の方の場合、過敏に反応してしまう場合があり、蕁麻疹、痒みなどの症状をもたらす場合があります。
症状がひどい場合は医師に相談しましょう。
重篤な副作用
稀に重篤な副作用も発生しますので、これらの症状が出たらすぐに受診しましょう。
アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックの症状としては以下のものがあります。
これらの症状は命に関わることもありますので場合によってはすぐに救急車を呼びましょう。
- 顔面蒼白
- 四肢冷感
- 血圧低下
- チアノーゼ
- 意識消失
- 潮紅
- 蕁麻疹
- 顔面浮腫
- 咽頭浮腫
- 呼吸困難
消化管穿孔
あまり聞きなれない病名ですが、消化管穿孔とは腸などの消化管に孔(あな)があきます。
症状としては突然強い痛みが起き、腹部を触れるだけで痛み(圧痛)を感じます。
ただし、小腸と大腸の穿孔の場合は症状が比較的軽い場合がありますので注意が必要です。
吐き気・嘔吐・食欲不振も併発します。
腹膜炎
上記の消化管穿孔により、消化管に開いた孔から内容物がもれることで腹膜炎を起こすこともあります。
参考文献:MSDマニュアル家庭版
腸閉塞
腸閉塞とは腸が詰まってしまうことで正常に便が排出されなくなってしまう症状です。
バリウム後の腸閉塞については、バリウムが腸内で固まってしまい、腸が詰まってしまうことで起きてしまいます。
バリウム検査後、便がほとんど出ないという場合はすぐに受診しましょう。
次の章で見ていきましょう。
バリウム前の注射〜ブスコパンによる副作用
ブスコパンとは、バリウムを飲む前に注射する薬剤です(使用しない施設もあります)。
これは、胃液の分泌を一時的に抑え、消化管運動抑制作用をもたらす副交感神経遮断薬です。
せっかくの検査をするときに、胃が動くと綺麗な写真が撮れないので、胃の動きを止めるための薬です。
眼に起こる副作用
眼に起こる副作用として、以下のものがあります。
- 調節障害(0.1〜5%未満)
- 散瞳(頻度不明)
- 閉塞隅角緑内障(頻度不明)
眼のピントが合わなくなったり、瞳孔が過度に開いたりする症状です。
また、閉塞隅角緑内障に関しては目のかすみや痛みと共に激しい頭痛や吐き気、虹視(電灯などを見た時に周りに虹が見える)などの症状が現れます。
目が充血し、瞳が拡大する発作が起こると失明することもあります。
閉塞隅角緑内障の症状が出たらすぐに受診しましょう。
消化器に起こる副作用
- 口渇(5%以上)
- 悪心・嘔吐(0.1〜5%未満)
口が渇いたり、吐き気や嘔吐といった症状も出ることがあります。
泌尿器に起こる副作用
- 排尿障害(0.1〜5%未満)
排尿障害とは頻尿や排尿がスムーズにできないといった症状です。
精神神経系の副作用
- 頭痛
- 頭重感
- 眠気
- めまい
これらの頻度はすべて0.1〜5%未満です。
バリウム検査後、頭痛やめまいがするという方は多く、バリウムの副作用だと思われる方が多いですが、実はこのブスコパン注射の影響の可能性が高いのです。
注射を打ってすぐにめまいが起こることもあり、ふらつきが出ることもあります。
バリウム検査は、検査中に台の上で体の向きを変えたりしなければなりませんので、ふらつきがあると危険です。
検査中にめまいがした場合は、医師に相談し、検査を遅らせてもらいましょう。
循環器系の副作用
- 心悸亢進(0.1〜5%未満)
心悸亢進は、聞きなれに言葉ですが、動悸のような症状です。
普段よりも鼓動が強く早くなり、心臓の鼓動がドキドキと感じます。
過敏症(アレルギー)
- 発疹(0.1〜5%未満)
- 蕁麻疹(頻度不明)
- 紅斑(頻度不明)
- 皮膚のかゆみ(頻度不明)
過敏症はバリウムの章でも述べましたが、アレルギー体質の方に発症しやすく、主に皮膚の症状が出ます。
また、アナフィラキシーショックが起こる場合もありますので、呼吸困難・皮膚蒼白・浮腫などが出たらすぐに受診しましょう。
また、他に顔面紅潮も副作用としてあります。
上記のような副作用が出たら医師に相談しましょう。
また、毎回ブスコパンによる副作用が出てツライという方は、グルカゴンという別の薬剤もありますし、検査前の注射を拒否することもできますのでそういった場合も医師に相談してみてください。
参考:ブスコパン注20mg 添付文書
以下で説明しますね。
バリウム検査後に気を付けたい事は?
バリウムの排泄がスムーズにできない事により、腸内で固まり、便の通り道が塞がれてしまいます。
非常に稀とはいえ、腸閉塞になってしまったり、消化管に穴が開くなどの結果に繋がってしまいます。
検査後、自然に排便されるのが理想ですが、その為に出来る事、又、対処法をご紹介したいと思います。
バリウム検査後に便をスムーズに出すためにするべきこと
バリウム検査後に便秘にならないためのポイントを紹介しますね。
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- 下剤を使用する
- 水を意識してたくさん飲む
- アルコールは禁止
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これらについて説明していきます。
下剤を使用する
これがまず一番大事です。バリウムの検査時に、渡される場合がほとんどですので、必ず検査終了後(直後)に内服してください。
基本的に、内服後5-6時間程度で便が出ることが多いとされます。
早い人だと1時間程度で出ることもありますし、翌朝というケースもあるようです。
また、便はバリウムが混ざっているので白くなります。
1度ですべて出るケースもありますが、基本的に2〜3回に分けて出ることが多いです。
もし、服用された後、翌朝になっても排便できない場合は、もう一錠内服し、それでもでない場合は、医師に相談しましょう。
ただし、普段から便秘傾向の場合は、下剤に対する反応が遅い場合もあります。
それでも、出ない場合は、より強力な下剤であるラキソベロン®などが処方されることがあります。
食後など関係なく、できるだけ早く内服してください。
水を意識して沢山飲むようにする
これも非常に重要です。
バリウムは水を吸う物質ですので、腸管内の水分は不足します。
ジュースやお茶でなく水が一番です。できるだけたくさん水を飲むようにしてください。
アルコールは禁止
アルコールにより体内のバリウムを固める原因になったり、胃や腸の粘膜を傷つける原因になる様です。
検査前、検査後も最低2日間は禁酒として下さい。
最後に
- バリウムの主な副作用は便秘・腹痛・吐き気・嘔吐・肛門部痛
- 重篤な副作用はアナキラフィシーショック・消化管穿孔・腹膜炎・腸閉塞
- バリウム検査前の注射の副作用は口渇・目の調節障害・心悸亢進・顔面好調・めまいなど
- アレルギー体質の方はアレルギー症状が出る場合もある
- バリウム検査の後はできるだけ早くバリウムを排出する
バリウム検査の副作用にはバリウム自体の副作用とバリウム検査前の注射によるものがあります。
アナフィラキシーショックを起こすこともありますので、副作用の症状が重い場合はすみやかに受診しましょう。