アレルギー体質だと色々気を遣いますが、バリウム検査で用いるバリウムにもアレルギーが出ることがあります。
バリウムは正式には「硫酸バリウム」と言います。
天然の鉱石として存在していて、「重晶石」とも呼ばれています。
医療用の硫酸バリウムは合成のものです。
x線を吸収する作用があるため、造影剤に用いられます。
この造影剤でアレルギー反応の出る方がいらっしゃいます。
今回は
- バリウムアレルギーの症状
- アレルギー体質の方は注意が必要
- バリウムアレルギーが出た場合の治療法は?
これらについてまとめてみました。
バリウムアレルギーの症状は?
2005年11月、厚生労働省は医薬品安全情報の中で「重要な副作用」があるとして注意喚起しています。
厚労省によりますと1954年以降、消化管に穴が開く「消化管穿孔」や「腸閉塞」が27例、そのうち4例が死亡、ショックの副作用が18例あったと報告しています(厚生労働省 医薬品医療機器等安全情報)。
このうちショックというものに、アレルギーによるアナフィラキシーショックが含まれています。
- 蕁麻疹(じんましん)
- 顔面蒼白
- 呼吸困難
- チアノーゼ
- 手足の冷感
- 顔が赤くなる
- 顔面の浮腫
- 咽頭浮腫
- 意識消失
- 血圧低下
これらの症状が出たら、すぐに受診しましょう。
呼吸困難やチアノーゼ、意識消失など、場合によっては命に関わることもありますので、もし病院の外におられる場合は、救急車を呼ばなければなりません。
アレルギー体質、アトピーや喘息体質の方は注意!
バリウムの添付文書には、医薬品への過敏症、喘息、アトピー性皮膚炎などの過敏症を起こしやすい体質の方は、ショック・アナフィラキシーの現れる恐れがあると書かれています。
アレルギー体質の方はバリウム検査を受ける時は、よく考えて受けましょう。
また、受ける際には、過去にアレルギーを起こしたことがある旨を伝えることが大切です。
過去にバリウムでアレルギーを起こしたことのある方は胃カメラでの内視鏡検査がオススメです。
カメラで直接胃の内部を見ることができるので、バリウムは必要ありませんし、バリウムよりも詳しく見ることができるというのもメリットです。
そんな場合は、胃カメラも検討してみてくださいね。
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バリウムアレルギーの治療法は?
実際アレルギーが出てしまった場合の治療ですが、基本的に他のアレルギー反応が出たときの治療と同様です。
症状がくしゃみなど軽微な場合は様子を見られることもあります。
- 蕁麻疹やかゆみ・むくみなどの皮膚症状の場合→抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー+H2ブロッカー)の注射
- 呼吸困難の場合→気管支拡張薬や場合によっては、アドレナリンの筋肉注射
- 遅発性のアレルギーを予防する目的→ステロイドの点滴
が施行されます。
アレルギーの中で最も恐ろしいのは喉頭(のど)に浮腫が起こり、呼吸ができなくなることです。
そのような場合に有効なのが、アドレナリンの筋肉注射です。
バリウムのアレルギー反応は、基本的にバリウム検査の途中や直後に起こることが多いため、検査をした医療機関で治療されるのが通常です。
症状が軽い場合は、注射や点滴が行われずに、内服の抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。
ただし、帰宅後に症状が出てきた場合は、もう一度その検査を受けた医療機関や、お近くの医療機関を受診するようにしましょう。
アレルギー反応は遅れて出てくることもありますので、注意が必要です。
参考:バリコンミール添付文書
厚生労働省 医薬品医療機器等安全情報
まとめ
最後に今回のお話をまとめます。
- バリウムでのアレルギー症状は
- 蕁麻疹
- 浮腫
- 呼吸困難
- 意識消失
- 血圧低下などがある
- 症状が出たらすぐに受診する
- アレルギーが起こりやすい人は問診の時に医師に伝える
- 心配な場合は、胃カメラでの内視鏡がオススメ
- バリウムアレルギーの治療法は症状によって抗ヒスタミン薬・気管支拡張薬・ステロイドなどを使用する
バリウムは体にとっては異物になりますので何らかの不調が起こるのは仕方がないことなのかもしれません。
もしアレルギーが心配なら胃カメラ検査もありますのでそちらを利用する方法もあります。
検査を受ける時は細心の注意を払い、副作用やアレルギーの症状に気をつけるようにしましょう。