CA15-3・BCA225の基準値は?高いときの原因と乳がん腫瘍マーカーの役割

腫瘍マーカーの中で、乳がんのために行うものとして、CA15-3やBCA225があります。

このCA15-3やBCA225とはどのようなものか、

  • 基準値
  • 異常な場合
  • 注意点

について解説しました。

参考にされてください。

CA15-3が高いって言われた。乳がん?

腫瘍マーカーは、がんがなくても少し上がることがあります。数値だけでは判断せず、画像検査とあわせて考えますよ。

先に結論

  • CA15-3・BCA225は、乳がんの治療効果の確認や再発のチェックに使われる腫瘍マーカーです。
  • 基準値の目安はCA15-3が27U/mL以下、BCA225が160U/mL以下です。施設や測定キットで多少異なるため、検査結果票の基準範囲を優先してください。
  • 早期の乳がんでは上がらないことが多く、がんを早く見つけるための検査には向きません(Duffy 2006)。
  • 高くても乳がんとは限りません。卵巣・子宮の病気、肝硬変、妊娠後期などでも上がることがあります。
  • 高いと言われたら、画像検査も含めて主治医に相談しましょう。

 

CA15-3・BCA225とは?

医師
 それぞれに分けてご説明します。

ca15-3

CA15-3とは?

読み方はそのまま、シーエー15−3となります。

乳がん再発の早期発見に有用とされ、術前値が陰性でも術後再発して陽性になることもあります。

治療効果判定と、治療後の臨床経過のモニタリングに有用とされています。

治療奏効例でも、治療初期に値が一過性に上昇することがありますので、治療無効と判定しないように注意する必要があります。

原発性乳がんの病期Ⅰ・Ⅱにおける陽性率は低く、スクリーニングや早期発見のための検査としての意義は低いですが、陽性の場合は進行乳がんを疑います。

CEA(がん胎児性抗原)に比べ臓器特異性が高く、再発例での陽性率も高く、CEAと組み合わせると、より診断率を向上させることが出来ます。

より詳しく

CA15-3はヒト乳脂肪球膜の糖タンパクに対するモノクローナル抗体115D8と、乳がん肝転移細胞を抗原として作製されたモノクローナル抗体DF3によって認識される乳がん関連ムチン抗原です。

BCA225

読み方はそのまま、ビーシーエー225となります。

他の悪性疾患や乳腺良性疾患での陽性率は低く、乳がんに対して特異性が比較的高いとされます。

原発性乳がんでの陽性率はCA15-3とほぼ同様で、スクリーニングや早期発見の検査としては意義が低いとされますが、乳がん手術後のモニタリングや治療効果の判定に有用とされています。

より詳しく

BCA225は、ヒト乳がん細胞株T47Dの培養上清を免疫原として作製された、2種のモノクローナル抗体CU18とCU46が認識するタンパクで、CA15-3の認識する抗原に類似したムチン型の糖タンパクです。

CA15-3とBCA225の基準値と特徴の比較表

CA15-3・BCA225の基準値は?

  • CA15-3の基準値の目安は27U/mL以下
  • BCA225の基準値の目安は160U/mL以下

がよく使われる目安です。基準値は施設や測定キットによって多少異なりますので、実際の判定は検査結果票に書かれた基準範囲に従ってください。

基準値を超えて上昇が見られる場合は、病気が隠れていないかを調べる必要があります。ただし、数値だけでがんかどうかは決められません。

どのくらいの人で高くなる?

国内の報告では、進行・再発乳がんと、早期を含む原発乳がんで、陽性になる割合が大きく異なります。

対象 CA15-3 BCA225
進行・再発乳がん(98例、Iwase 1995) 68.4% 43.9%
原発乳がん(IV期を除く22例、Konishi 1993) 13.6% 13.6%

原発乳がんでの陽性率は、乳腺の良性疾患(線維嚢胞症や良性腫瘍)での陽性率と変わらなかったと報告されています(Konishi 1993)。調べた人数が少ない古い報告ですが、早期発見には向かないとする本文の説明と合う結果です。

CA15-3・BCA225が異常をきたす病気は?

乳がんの腫瘍マーカーとして有用ですが、それ以外にもCA15-3やBCA225が上昇すると、以下のような病気が考えられます。

医師
それぞれご説明します。

CA15-3

  • 乳がん
  • 卵巣がん
  • 子宮体がん
  • 子宮頸がん
  • 乳腺炎
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
  • 卵巣のう胞
  • 膵がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 肝がん
  • 肝硬変

などがあります。

原発乳がんでCA15-3が増加している場合は、進行乳がんを疑い、さらなる詳しい検査をします。

陽性率は局所やリンパ節では低く、肺・肝・骨転移などでは高いので遠隔転移を疑って検査されます。

手術などの治療後の乳がんで、異常値を示した場合には再発を疑います。

乳がん以外の悪性腫瘍では、卵巣がん・子宮体がん・子宮頸がん・膵がん・腎がん・胃がん・大腸がん・肝がんで陽性となり、これらの陽性例は進行がんで遠隔転移症例に多いとされます。

健康な女性や乳腺良性疾患では陽性率が低く、子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍・肝硬変に少数の陽性例がみられます。

BCA225

  • 乳がん
  • 卵巣がん
  • 乳腺炎
  • 子宮体がん
  • 子宮筋腫
  • 肝臓がん
  • 肺がん
  • 大腸がん
  • 胃がん

まず、進行・再発乳がんを疑います。

陽性率は低いものの、肝臓がん・子宮体がん・卵巣がん・肺がん・大腸がん・胃がんなどの悪性腫瘍、子宮筋腫、妊娠後期で陽性例を認めます。

CA15-3・BCA225の注意点は?

血液の採り方や保存の方法は、施設や測定キットごとの手順に従って行われます。
また、どちらも妊娠後期に異常値を示すことがあるため、病気と妊娠によるものとの鑑別が重要です。

CA15-3とBCA225はどちらもムチン型の糖タンパクで、一般の日本人を調べた報告でも数値が連動しやすいことが示されています(Ri 2009)。そのため、2つを同時に測っても、まったく別の情報が得られるとは限りません。

医師の説明を聞く50代女性のイラスト

乳がん検診で使われる画像検査のひとつ、乳腺エコーについては、乳腺エコーとは?わかることは?マンモグラフィとの違いは?で解説しています。

マンモグラフィの検査方法や料金は、マンモグラフィは痛いって本当?検査方法や料金について解説で解説しています。

よくある質問

Q. 健診のオプションでCA15-3を測れば、乳がんを見つけられますか?

早期の乳がんでは陽性になる割合が低く、乳腺の良性疾患でも上がることがあるため、乳がんを早く見つける目的には向きません(Konishi 1993、Duffy 2006)。乳がん検診は、マンモグラフィや超音波などの画像検査を受けてください。

Q. 基準値より少し高いだけでも心配ですか?

がんがなくても少し高くなることがあります。まず時期をおいて測り直し、数値の動きと画像検査の結果をあわせて、主治医が判断します。

Q. 乳がんの治療中・治療後は、どう使われますか?

術後の経過観察や、進行・再発乳がんで治療の効果を確かめるときに使われます。治療のはじめに一時的に上がることもあるため、数値の変化だけで効果を判断しないよう説明されます。進行した乳がんの治療を、通常の画像検査では評価しにくいときに数値の動きを手がかりにする、という使い方が主な役割とされています(Duffy 2006)。

気になる症状や検査結果があれば、医療機関に相談してください。

ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)

参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P484・485
参考文献:新 検査のすべてがわかる本P115・116
Duffy MJ. Serum tumor markers in breast cancer: are they of clinical value? Clin Chem 2006 PubMed
Iwase H, et al. Evaluation of serum tumor markers in patients with advanced or recurrent breast cancer. Breast Cancer Res Treat 1995 PubMed
Konishi K, et al. [Clinical usefulness of tumor markers in breast cancer]. Rinsho Byori 1993 PubMed
Ri G, et al. Serum levels of CA15-3, KL-6 and BCA225 are positively correlated with each other in the general population. Anticancer Res 2009 PubMed

最後に

乳がんでは腫瘍マーカーの数値を調べることにより、手術後の取り残しの有無、抗がん剤や放射線治療の効果、再発の兆候などの大体の目安として判断する事が可能となります。

しかし、腫瘍マーカーが高い数値を示した際も、がんの疑いがあるに過ぎませんので確定するには画像検査などを平行して行う必要があります。

また他の腫瘍マーカーと同様に基本的に早期のがんを見つけにいくための、スクリーニング検査としては適していませんので、他の検査との併用が重要です。