
生体において、血液中の電解質は常に一定のバランスを保ち、我々人間が生きていく上での生理的な動きに不可欠な役割を担っています。
しかし、この電解質がそもそもどんなものなのか?
どれくらいだと正常なのか?
わからないことも多いですよね。
そこで今回は、この電解質(英語表記で「Electrolytes」)について
- 基準値
- 検査をする意味
- 異常の原因
- 注意点
などを詳しく解説したいと思います。
電解質とは?
電解質とは、水に溶ける物質の中で塩化ナトリウム(NaCl→Na++Cl–)のように、電荷をもったイオンとして解離するものをいいます。
別な呼び方では、ミネラルや無機質ともいい、
- 血液
- 細胞内
- 骨
- 筋肉
など、様々なところに含まれているのです。

電解質の働きは?
- 代謝を助ける
- 筋肉や神経の反応を維持する
- 体液の浸透圧を維持
- pHを維持
- 体内環境を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)の維持
などという働きをしているのです。

電解質の基準値は?
正常値の体液総量は体重のおよそ60%で、その内訳は、細胞内液40%・外液20%です。
この電解質の基準値を見る際は、ナトリウム(Na)・カリウム(K)・クロール(Cl)の数値を見ます。1)
- ナトリウム(Na)・・・138〜145mmol/L
- カリウム(K)・・・3.6〜4.8mmol/L
- クロール(Cl)・・・101〜108mmol/L
※日本の共用基準範囲(JCCLS)。以前は135〜147mEq/Lなどの値も使われていました。施設によって少しちがいます(mmol/LとmEq/Lは、この3つでは同じ数字になります)。

異常値
検査の結果、上記の正常値の
- 上限数値を超える
- 下限数値を下回る
で、共に異常の可能性があり、他の検査結果や症状とあわせて医師が判断します。
高くても低くても何らかの異常が考えられるというわけです。
そもそも電解質を検査する意味とは?
成人の場合、体の約60〜65%は水分で、電解質は体液として体の中にあります。
それには、細胞の成分となる細胞内液(約40〜45%)、及び組織間の液となる細胞外液(組織内液15%・血漿5%)があります。2)

体液の中では、電解質と非電解質が溶け合って存在していますが、これが変調を来たすと体は不調となり、
- 脱水症状
- 浮腫
- アシドーシス(酸性症)
- アルカローシス(塩基性症)
などになります。
また、電解質には、陽イオンと陰イオンがあり、
- 陽イオンには→ナトリウム(Na+)・カルシウム(Ca2+)・カリウム(K+)・マグネシウム(Mg2+)など
- 陰イオンには→クロール(Cl–)・重炭酸(HCO3–)・リン酸(PO
43−)・硫酸塩(SO42-)など
があります。
この2つの陽と陰のイオンは一定のバランスを保ちながら体の中に存在していますが、色々な病気になると、バランスが崩れることもあります。
そのようなことから、これらの体液の総量、陽・陰イオンの数値を知ることで、体の健康状態を知る事が可能となります。
異常な場合の原因として、考えらえる病気は?
- ナトリウム異常の場合
- カリウム異常の場合
- クロール異常の場合
それぞれについて、考えられる病気を挙げていきます。
ナトリウムが異常な場合
高値となっている場合、
- 脱水症
- 糖尿病(浸透圧利尿)
- 尿崩症
- 原発性アルドステロン症
- クッシング症候群
- ナトリウム過剰摂取
- 副腎皮質ホルモン過剰
低値となっている場合、
などが考えられます。
カリウムが異常な場合
高値な場合、
- 急性腎不全
- アディソン病
- 抗アルドステロン薬服用
- 副腎皮質機能不全
- 血管内溶血
- 保存血の大量輸血
- カリウム過剰摂取
低値の場合、
- 嘔吐
- 下痢
- 下剤や浣腸の乱用
- 腎尿細管障害
- 代謝性アルカローシス
- 利尿薬服用
- カリウム摂取不足
などが原因で異常になっていることが考えられます。
クロールが異常な場合
高値となっている場合、
- 脱水症
- 尿細管性アシドーシス
- 呼吸性アルカローシス
低値となっている場合、
- 嘔吐
- 利尿薬服用
- 急性腎不全
- 代謝性アルカローシス
- 呼吸性アシドーシス
などが考えられます。

電解質の検査で注意すべき点は?

血清カリウムは、採血後に時間がたったり溶血したりすると、実際より高く出ることがあります。また、検査によっては食事の影響を受けることもあるため、施設の指示(早朝の空腹時など)に従って採血を受ける事が大切です。
ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)
腎機能の指標の尿素窒素(BUN)の基準値は、尿素窒素(BUN)の基準値は8~20mg/dL|高い・低い原因と受診の目安で解説しています。
血液中の蛋白質を調べる総蛋白の基準値は、総蛋白(TP)の基準値は?高い・低いとどんな病気の可能性がある?で解説しています。
参考文献:
よくわかる検査数値の基本としくみP82・83
今日の臨床検査 2011ー2012 P156〜172 1)159・60 2)156
最新 健康診断と検査がすべてわかる本P55・56
最後に
電解質について、ポイントをまとめます。
- 水に溶ける物質の中で塩化ナトリウムのように、電荷をもったイオンとして解離するもの
- 電解質は、ミネラルや無機質ともいう
- ナトリウムの基準値・・・138〜145mmol/L
- カリウムの基準値・・・3.6〜4.8mmol/L
- クロールの基準値・・・101〜108mmol/L
- 体液の総量、陽・陰イオンの数値を知ることで、体の健康状態を知る事が可能
- 施設の指示に従って採血を受ける事が大切
電解質の異常の原因はさまざまで、軽いものから緊急に治療が必要なものまであります。異常を指摘されたら医療機関を受診して原因を調べ、程度が強い場合には入院して治療を行うこともあります。
通常、電解質イオンの濃度のバランスは簡単に崩れるものではありませんが、程度が強いと命に関わる危険性もありますので、医師の指示に従って治療を受けることが大切となります。





