プロトロンビン時間(PT:prothrombin timeとは、血液中にあって止血作用を担う凝固因子の働きを調べる検査の一つで、出血してから肝臓でプロトロンビン(止血作用において中核的な役割を果たしている)と呼ばれる因子が作られるまでの時間を測定する検査のことです。

検査をするために採血をして測定します。

今回はこのプロトロンビン時間(PT)について

  • プロトロンビン時間(PT)を測定することでわかること。
  • プロトロンビン時間(PT)が高い(延長)場合、低い(短縮)している場合に考えられること。

を中心にまとめました。


プロトロンビン時間(PT)ってなんで検査するの?

プロトロンビン時間は、止血作用を担う血液中の凝固因子の働きを調べる検査の1つです

凝固因子(ぎょうこいんし)とは、血液を凝固させる、つまり固める作用を持つ因子です。

 

凝固因子の2つの経路

少し難しいですが、凝固因子には内因系外因系と呼ばれる2つの経路が関与しています。

プロトロンビン時間はこのうち、外因系の検査として用いられます。

一方で、内因系の検査には、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が用いられます。

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この2つの値の組み合わせにより欠乏が疑われる凝固因子を推測することができます。

 

 

プロトロンビン時間を測定することで、以下のことがわかります。
  • 肝機能
  • 急性肝炎の時の重症度の判定
  • 抗凝固剤の使用適量を調べるための指標
  • 血液が固まりにくい病気の検査

肝機能

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プロトロンビン時間(PT)は、血液凝固因子と呼ばれる血液を固める作用のあるタンパク質に関した検査値です。

現在少なくとも12種類の血液凝固因子が分かっていますが、そのほとんどは肝臓で作られています。

肝機能が低下すると、血液中の血液凝固因子が減ってしまい、血液が固まるのに時間がかかることになります。

そのため、肝機能検査の一つとしても測定されます。

プロトロンビンは血液凝固因子の第II因子で、トロンボプラスチンという物質を加えると固まります。

ですので、血漿にトロンボプラスチンを加え、固まるまでの時間を測定したものが、プロトロンビン時間(PT)です。

急性肝炎の時の重症度の判定

プロトロンビンの減少はアルブミンよりも早く起こるので、急性肝炎時の重症度の判定にも有効とされます。

急性肝炎についてはこちら。

抗凝固剤の使用適量を調べるための指標

また、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症が起こった場合や、心臓の手術の時には、抗凝固剤を用いますが、過剰に投与すると血液が固まらなくなる危険があります。

ですので、抗凝固剤の使用適量を調べるための指標としても用いられます。

その評価には、後で解説をするプロトロンビン時間 国際標準比(PT-INR)を指標とします。

血液が固まりにくい病気の検査

他には、血友病などの血液が固まりにくい病気の検査としても使われています。

プロトロンビン時間(PT)の正常値(基準値)と異常値は?

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PTの正常値と異常値についてはこちらを参考にしてください。

プロトロンビン時間(PT)の正常値(基準値)は?

血液が凝固するまでの時間が、10~13秒なら正常値です。

このプロトロンビン時間の測定値の表示には、この凝固時間の他に

  • プロトロンビン活性値(%):正常値は70-140%
  • プロトロンビン比(検体凝固時間/対照凝固時間):正常値は0.9-1.1
  • プロトロンビン時間 国際標準比(PT-INR):正常は1.0

などがあります。

プロトロンビン活性値(%)

プロトロンビン活性値(%)は肝機能を評価するChild-Pugh分類で評価する1項目に含まれています。

プロトロンビン時間 国際標準比(PT-INR)

プロトロンビン時間 国際標準比(PT-INR)は、ワルファリン(ワーファリン®)という血液を固まりにくくする抗凝固薬のコントロールに用いられます。

ワーファリン内服時にはこのプロトロンビン時間 国際標準比(PT-INR)が2~3の間でコントロールされることが多いです。

※PT-INRはprothrombin time-international normalized ratioの略です。

プロトロンビン時間(PT)の異常値は?

血液が凝固するまでの時間が、13秒以上あるいは10秒未満なら異常値であり、この場合前者をプロトロンビン時間が延長している、後者をプロトロンビン時間が短縮していると表現されます。

異常のときに考えらえる病気は?

血液が凝固するまでの時間が長すぎても(プロトロンビン時間が延長(高値))、短すぎても(プロトロンビン時間が短縮(低値))異常とみなされます。

そのときに考えられる病気について以下にそれぞれ挙げていきます。

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プロトロンビン時間(PT)値が延長(高い)している場合

  • 先天性凝固因子欠乏症や異常症など。
  • ビタミンK欠乏症
  • 肝障害:劇症肝炎急性肝炎、肝硬変、胆道閉塞症など。
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
  • 多発性骨髄腫
  • 線溶亢進
  • 尿毒症
  • 大量出血
  • 薬剤投与(ワルファリンカリウム、ヘパリン、抗生剤などの服用など。)

これらの原因が考えられます。

プロトロンビン時間が延長している場合は、

  • 血液が止まりにくいなどの出血傾向
  • 肝障害がある場合は倦怠感、黄疸、意識障害、食欲不振

などの症状が出ることがあります。

プロトロンビン時間(PT)が短縮(低い)を示す場合

  • 凝固因子などの製剤を投与している
  • 血栓症
  • 生理的変動
  • 妊娠

これらの原因が考えられます。

プロトロンビン時間が短縮している場合は一般的には症状はありません。

プロトロンビン時間(PT)の検査で注意すべき点は?

プロトロンビン時間(PT)の検査は、困難な点が多く、数値の変動が比較的多い検査で、一回の検査結果だけで異常とは判断できませんので、再検査の必要があります。

また、心臓病などの血栓症予防として抗凝固剤を服用していると、凝固時間が延長しますから検査の前にその事を伝えるようにして下さい。

最後に

プロトロンビン時間の検査とは…

  • 血液凝固因子と呼ばれる血液を固める作用のあるタンパク質に関した検査
  • 血液が凝固するまでの時間の正常値は10~13秒
  • 正常値以下でも、以上でも異常値となる
  • ただしPTの検査の数値は変動が多く、一度の検査だけでは正確に値が出ない場合がある
  • 抗凝固剤を服用している場合は検査前に伝えること

 

検査の結果、異常がみられる場合は、活性化部分トロンボプラスチン時間など、他の血液凝固に関する検査を受けます。

肝硬変などの肝臓病の場合には、他の肝機能検査の結果と照らし合わせて診断し、治療を進めて行きます。

ビタミンK欠乏症は危険を伴いますから早急に入院し、その原因を明確にする必要があります。

また、心臓や脳の病気の抗凝固剤が異常値の原因でしたら、心配されなくても大丈夫です。




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