血液検査の項目のひとつに、LAPというものがあります。
そこで今回は、このLAP(英語表記で「leucine aminopeptidase」読み方は「ロイシンアミノペプチターゼ」その略語でLAP(読み方はそのまま「エルエーピー」))について
- どんな検査なのか
- 基準値
- わかる病気
- 注意点
などについてまとめました。
血液検査のLAPとは?
LAPは、ロイシン(必須アミノ酸)などのタンパク質を分解する働がある酵素の一種で、色々な臓器や組織にありますが(のちほど説明します)、とくに胆汁の中に多く存在し肝臓の異常を見つける検査において重要な指標となっています。
LAP・ALP ・γ-GTPの3つは胆道系酵素と呼ばれ、肝臓や胆道の病気で上昇する重要な酵素です。
LAPを検査するのはなぜ?
LAPは、
- 肝臓
- 膵臓
- 胆道
- 腎臓
- 心臓
- 脳
- 小腸
- 子宮
- 精巣
など多くの臓器の細胞に含まれているものですが、血液中に増えるのは主に肝臓や胆道などに異常がある場合です。
そこで、血液を採取してLAPが血液中に漏れていないかを確認することで、肝臓や胆道になんらかの異常がないか調べ、病気を診断することが可能となります。
とくに肝臓障害などで胆汁のうっ滞が起こると、胆汁が逆流してLAPが血液中に流れ込み、血液中の濃度が上がります。
LAPの基準値は?高い・低いと異常?
LAPの基準値は・・・80〜160 U/L
です1)(L−ロイシル-DBHA気質法)。
数値が低い場合は、とくに問題はないとされますが、高い場合は問題となります。
なお測定法はいくつかありますので、測定法と数字の単位に気をつける必要があります。
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LAPが異常(高値)のときに考えらえる病気は?
などが考えられます。
ただし、このLAPだけの値を見てこれらの病気と診断されることはありません。
肝臓の酵素や、ALP ・γ-GTPといった他の胆道系酵素、腫瘍マーカー、画像検査などを組み合わせて病気を診断していきます。
関連記事) 肝臓の検査の方法は?何科に行けばいい?
LAPの検査で注意すべき点は?
女性は、妊娠後期に上昇することがあります。
1歳未満の子供では高値を示しますが、それ以降は成長とともに安定してきます。
その他、飲酒などアルコールの摂取が多いと、γ-GTPと平行して上昇する事もあります。
LAPは肝臓以外にも多くの臓器に存在していますので、この数値が高いだけでは肝臓の病気と特定することは不可能です。
また、LAP・ALP ・γ-GTPの3つは胆道系酵素と呼ばれ、これらは一緒に上昇する傾向にあります。
ALPはクル病など骨の病気でも上昇しますが、LAPは骨の異常では上昇しませんので、LAPとALPが一緒に上昇していれば肝臓・胆道系の病気、ALPだけが上昇していれば骨の病気であると推察することが可能となります2)。
参考文献:
1)今日の臨床結果2011 2012P192・193
2)検査結果なんでも早わかり事典P114
改訂新版 検査と数値を知る事典P124
最新 病気の検査がよくわかる医学百科P94・95
最後に
LAPについて、ポイントをまとめます。
- LAPは、ロイシン(必須アミノ酸)などのタンパク質を分解する働きがある酵素の一種
- 肝臓や胆道などに異常がある場合高値となるため、重要な指標となる
- LAPの基準値は、80〜160 U/L
- 低い場合は問題ないが、高い場合はなんらかの原因が考えられる
- 1歳未満の子供や妊娠後期では高値となる
LAPの数値がやや高い程度で、他の肝機能検査で異常が見られないな場合は、とくに治療は行なわれませんが、再検査をして経過観察となります。