AST(GOT)とは、人間ドックや健康診断で肝臓病の有無を調べるときに行なわれる血液検査です。
GOTの正式名は、グルタミン酸オキサル酢酸トランスアミナーゼといいますが、この名称は、AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーセという名称に変更されつつあります。
今回は、AST(GOT)について
- 基準値と異常値
- 異常な場合
- 注意点
をご説明したいと思います。
AST(GOT)の正常値と異常値は?
この正常値(基準値)は施設間や試薬によって一概には言えませんが、およそ上限は35-45IU/Lです。
つまりこれ以下であれば正常範囲といえます。
また、GOT(AST)は、現在壊れている肝細胞はどの程度かを表していますが、肝臓は再生可能な臓器のため、細胞が壊れた量だけ再生できれば機能は低下しません。
そのため、検査値が多少基準値を超えた場合でも総合的な評価で「異常なし」であれば、心配には及びません。
そもそもAST(GOT)とは?
正式には、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ検査、略してAST(GOT)検査と呼ばれるものです。
これはGPT(ALT)と共にトランスアミナーゼと呼ばれるアミノ酸の造成を促す酵素です。
それはアミノ酸からアミノ基を奪い取り、他の物質と結合させて新たなアミノ酸を作り出す作用をもっています。
AST(GOT)、ALT(GPT)を合わせて肝酵素としばしば呼ばれます。
ALT(GPT)について詳しくはこちら→【血液検査】ALT(GPT)の基準値とは?異常ならどんな病気?
GOT(AST)は肝臓に特異的ではない。
GPT(ALT)は比較的、肝臓に特異的な検査なのですが、実は、このAST(GOT)は、心臓に最も多く含まれ、次に肝臓、骨格筋などにも含まれます。
ですので、肝臓の病気だけはなく、心臓の病気などでも上昇することがあります。
それどころか、急性心筋梗塞のマーカーとして、AST(GOT)が用いられているくらいです。
ですので、AST(GOT)が上昇=肝臓の病気とはいえないということです。
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AST(GOT)が異常のときに考えらえる病気は?
このGOT(AST)が上昇した時には、
- 肝臓疾患
- 心臓・骨格筋疾患
- 血液疾患
- その他の疾患
の可能性があります。
肝疾患
などで上昇します。
心臓、骨格筋疾患
- 心筋梗塞
- デュシェンヌ型筋ジストロフィー
- 多発性筋炎
などで上昇します。
血液疾患
- 溶血性貧血
などで上昇します。
その他の疾患
などで上昇します。
GOT(AST)の検査で注意すべき点は?
検査の前日に飲酒すると、数値は跳ね上がります。
日常的にお酒を飲む方は、正常値の10%増程度なら心配ありませんが、それ以上だと異常ありと判定されます。
また、激しい運動により高値を示すことがあるので、検査の2日前からは激しい運動は控えるようにされて下さい。
参考書籍:検査結果なんでも早わかり事典P102・103
参考書籍:検査と数値を知る事典P121
参考書籍:きょうの健康 検査でわかることP46〜51
参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P185・186
最後に
慢性的に高いGOT(AST)の数値を下げていくには、
- 暴飲暴食
- 運動不足
- 睡眠不足
- ストレス過多
などの生活習慣を改善して、肝臓を疲れさせないようにすることが大切です。
また、肝炎を発症している場合は、月に1回程度の定期健診を要し、感染はしているが発症していない状態の方は年に1回の定期健診が必要となります。