時代劇等でよく耳にする「梅毒」という病気をご存知ですか?
梅毒とは、トレポネーマ・パリダムと呼ばれる病原微生物によって起こる病気です。
その歴史を振り返ると、ペニシリン(抗生物質)が世の中に出回る戦後まで完治できない性病で、多くの人が命を落としてきました。
しかし、患者の数は激減しましたが、現在でも潜在的な感染者はかなりいるのが現状です。
今回は、近年の感染者数の増加により注目される梅毒(英語表記で「syphilis」)について
- 検査値
- 症状
- 感染経路
- 注意点
などをまとめました。
梅毒とは?
梅毒の病原体は、トレポネーマ・パリダムというもので、性感染症の一つとなります。
らせん状の形をした細菌(スピロヘータ)の一種で、梅毒はその中のトレポネーマ属(トレポネーマ・パリダム)によって起こります。

- 梅毒の感染の可能性がある場合
- 内視鏡検査・手術・輸血などの際に患者や医療従事者が感染しないため
- 妊婦
などの場合に検査されますが、とくに母子感染の危険性も高いとされ、妊婦にこの梅毒検査は欠かせないとされます。
梅毒は結核と共に一昔前の病気と思われがちですが、近年その患者数は増えてきており、侮ることはできません。
梅毒の検査値は?
検査にあたっては病原体そのもの、またはその成分を抗原として用いる方法(TP)、脂質を抗原物質として用いる方法(STS)がありますが、実際の診療では、両者(RPRと梅毒トレポネーマ抗体)を組み合わせて判断します(梅毒診療ガイド 日本性感染症学会 2023)。
基本的には、
- 検査の結果抗体がないときは陰性(-)と表示され、正常
- 抗体のあるときは陽性(+)と表示され、異常
となります。

ただし、梅毒以外(例えば種痘後のウイルス性肺炎・肝硬変・各種の膠原病)でも疑陽性や陽性とでたら、梅毒トレポネーマ抗体など別の検査を組み合わせて確かめますので、陽性=梅毒と決めつけるのは早計です。
- 梅毒定性(ガラス板法・RPR・TPHA)
- 梅毒定量(ガラス板法・RPR・RPR(LA)・TPHA・TPLA)
- FTA-ABS(FA)
などがあります。
梅毒定性
- ガラス板法
- RPR
- TPHA
すべて陰性だと問題なし。
梅毒定量
- ガラス板法→1倍未満だと陰性
- RPR→1倍未満だと陰性
- RPR(LA)→0.9RU以下は陰性・1.0RU以上だと陽性
- TPHA→80倍未満だと陰性
- TPLA→9.9TU以下だと陰性・10.0〜19.9TUだと保留・20.0TU以上だと陽性
FTA-ABS
FA→陰性だと問題なし。

HIVなどほかの感染症が人間ドックでわかるかは、人間ドックの血液検査でHIVの感染もわかる?で解説しています。
梅毒の症状は?
梅毒の症状は、おもに第1期から第3期に分けられ、治療をせずに放置すると、年月の経過と共に進行していく特徴があり・・・

- 第1期梅毒=性交によって感染すると、初期症状として、約3週間後に感染した部位(陰部など)にしこり(初期硬結・硬性下疳)ができる
- 第2期梅毒=数か月ほど経つと、体中に発疹・リンパ節腫脹など(バラ疹・梅毒性丘疹・扁平コンジローマ・乾癬など)
- 第3期梅毒=感染から年余を経て、ゴム腫や心血管症状(大動脈など)があらわれる
- 神経梅毒(脳や脊髄などの中枢神経の障害)は、どの時期にも起こりうる
そして、治療せずに放置すると、重い臓器障害をきたすこともあります。
また、妊娠中に感染すると、赤ちゃんに影響を及ぼす(先天梅毒)こともあります。

梅毒の感染経路は?
性的接触による感染が主となりますが、母子感染による先天梅毒もあります。
以前は、輸血によって感染することもありましたが、現在は献血時の検査により、そのような危険はほとんどありません。
梅毒検査の検査で注意すべき点は?
梅毒に感染していなければ陰性(-)となりますが、一般に感染してからしばらく(目安として数週間)たたないと、陽性にはなりません。
そのため、感染がそれより直近のときは陰性となる可能性もありますので、もう一度感染から4週間以上が経過した時期に、再検査する必要があります。
また、梅毒を放置すると病状が進み命を落とす危険もありますので、懸念のあるときは積極的に検査を受け、早期発見・治療をなさってください。
結婚前に受ける男性のブライダルチェックの検査内容は、男性のブライダルチェックとは?検査内容・費用の目安・受けられる場所で解説しています。
参考文献:
今日の臨床検査 2011ー2012 P379・380
よくわかる検査数値の基本としくみP154・155
最新検査のすべてP68
新版検査と数値を知る事典P280・281
最新 病気の検査がよくわかる医学百科P292
最後に
- 梅毒の病原体は、トレポネーマ・パリダムというもので、性感染症の一つ
- 陰性ならば問題なし、陽性ならば梅毒の可能性を考え、さらなる検査が必要
- 症状はおもに第1期〜第3期に分けられ、治療しないと月日の経過と共に進行
- 性感染が主
- 一度陰性となっても、一ヶ月ほど経過した後に再び検査し、陽性となることも
明らかに自覚症状がある場合は、速やかに医療機関に行く事が大切ですが、その際はパートナーの感染率も高いので、2人同時の検査や治療をする必要があります。
また、梅毒に感染し病変部分があるとHIVなどにも感染しやすくなりますので、梅毒に感染した場合は、HIV検査もあわせて受けるようにされて下さい。





