40歳代から増え始めて60歳代以上の高齢者に多いとされ、日本における大腸がんの死亡数は男性の3位、女性の1位と増え続けている大腸がん。

この30年間で5倍に増えており、男性の場合、12人に1人、女性の場合15人に1人が罹患する計算です。

近年ですと、北の湖理事長、今井雅之など著名人も命を落としたことが思い出されます。

そんな大腸がんですが、大腸内視鏡で生検を行い、

大腸がんであると判明した後のステージ分類はどのようにされるのか?

今回は、そんな疑問にお答えします。


大腸がんと判明した後のステージ分類の方法は?

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大腸内視鏡で大腸がんと判明した場合、生検した組織によって、

  • どの程度まで深く大腸がんが浸潤しているか

をある程度は知ることできます。

また内視鏡である程度のがんの位置はわかります。ただし、手術をするとなった場合、ある程度では困るので、手術する側としては、確実にがんの場所を記録としてほしいということにあります。

そこで行われるのが注腸造影検査(大腸バリウム検査)です。

注腸造影検査とは?

この検査を行うことにより、

  • がんの詳しい場所
  • がんの深さ

を知ることができます。

大腸カメラが苦手だという人や、大腸カメラが難しい人には、大腸がんのスクリーニング検査として行われることもあります。

がんの存在する局所の情報がわかるということですね。がんがどこか転移していないかを調べる方法にはどのようなものありますか?
医師
遠隔転移の検索には以下の方法が用いられます。

がんの広がり、遠隔転移の検査方法は?

  • 腫瘍マーカー検査
  • 胸部・腹部のCT検査
  • 必要に応じてMRI、腹部エコー、FDG-PETなど
医師
一つ一つ見ていきましょう。
腫瘍マーカー検査とは?

血液検査で行うことできます。

大腸がんの場合、CEAが有名ですが、この値などがどのような値を示しているかをチェックします。異常高値を示している場合は遠隔転移している可能性がより高くなるからです。

参考記事)腫瘍マーカーのCEAが高値!どんな癌?正常値は?

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胸部・腹部CT検査とは?

主に全身のスクリーニング検査として用いられます。特に、肺や肝臓に転移がないかを中心に、リンパ節や副腎転移なども詳細に評価することだ可能です。

また、大腸がんは小さいものはCTではわからないことが多いのですが、

  • 本当にCTでわからない程度なのか、
  • 周囲の臓器への浸潤の有無はどうか、
  • 周囲のリンパ節が腫れていないか、
  • がん性腹膜炎を疑うような所見はないか

などを知ることができます。通常、遠隔転移の検索には造影剤を用いた造影CTが行われます。

MRI、腹部エコー、FDG-PET検査は?

大腸がんの場合、大腸の壁を通り抜けて浸潤して大腸よりも外に腫瘍が顔を出していないか、周囲のリンパ節は腫れていないかなどを見るためにMRIを撮影されることがあります。

また、肝臓など腹部臓器を評価するためにエコーが行われることも多いです。

FDG-PETは、全身検索目的で行われる場合も有ります、この場合は、保険適応にならないため注意が必要です。

関連記事)PET検査で大腸がんはわかる?

医師
このように局所の状態、遠隔転移の有無をチェックして、総合的にステージ分類を行っていきます。

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大腸がんの治療の選択は?

そして、これらによりステージ分類された後は、ステージに合った治療方針を立てます。具体的には、

  • 内視鏡治療:ステージ0-1
  • 手術:ステージ1-2-3
  • 化学療法・放射線治療:ステージ3-4

といった治療方法があります。内視鏡治療で終わるなら、内視鏡が良いと思われる方もおられると思いますが、あくまで内視鏡治療で治療できるがんは早期のものだけなので注意が必要です。

関連記事)大腸がんの5年生存率は?

関連記事)大腸癌の検査、大腸カメラのギモン5選!

最後に

大腸がんと診断がついた後には治療方針決定のためにステージ分類を行います。今回はこのステージ分類で行われる検査を主にまとめました。

検査は大変なものもありますが、検査それぞれに目的がありますので、どれか1つだけというわけにはいきません。正しくステージ分類を行い、適切な治療を受けるためにも非常に重要です。

 




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