PET検査で大腸がんはわかる?進行がんや転移は見えやすく、早期がん・ポリープは見逃されやすい

大腸がんは日本のがんによる死亡原因の上位で、かかる人は40歳代から増えていきます(国立がん研究センター がん情報サービス)。進行すると、肝臓や肺などさまざまな臓器に転移することがあります。

そんな大腸がんはPET検査でどの程度わかるのでしょうか?

今回は、PET検査における大腸がん診療についてまとめました。

先に結論

  • PET-CT検査は、大きく進行した大腸がんや、リンパ節・肝臓への転移、術後の再発の評価に役立ちます。
  • 一方、健診でポリープや早期の大腸がんを見つける目的には向いていません。健診でPET-CTと大腸内視鏡を比べた研究では、内視鏡で見つかった進行した腫瘍のうちPET-CTでも見つかったのは約16%(6/38)でした(Huang ら 2013)。
  • PETで大腸がんが疑われても確定診断には内視鏡での生検が必要です。
  • 国が勧める大腸がん検診は、便潜血検査(2日法)を40歳から年1回です。陽性なら大腸内視鏡検査などの精密検査を受けます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
  • 糖尿病薬のメトホルミン、下剤の使用、最近の内視鏡検査や生検は、PETの結果に影響するため、検査前に伝えておきましょう。

PET検査で、大腸がんもわかるの?

ある程度の大きさがあれば見つかることもありますが、早期の大腸がんは見のがされやすいです。便潜血検査や大腸カメラは別に受けましょう。

PET検査で大腸がんは見つけやすい?

ある程度の大きさがある大腸がんは、PETで強く光って見えやすいことが多く、すでに診断された大腸がんの広がりを調べるときに役立ちます。

ただし、健診で早期の大腸がんやポリープを見つける力は高くありません。健診でPET-CTと大腸内視鏡を同時期に受けた1,109人の研究では、内視鏡で見つかった進行した腫瘍(がん、1cm以上の腺腫など)38個のうち、PET-CTでも見つかったのは6個(約16%)で、特に1.5cm以下の病変では見逃されやすいと報告されています(Huang ら 2013)。

つまり、検査には得意な場面と苦手な場面があり、PET-CTは大腸の早期発見には不得意だということです。

ef384ec7adf00c35693b8b1af6db2dfd_s

 

自宅でできる便潜血検査の体験談は、【実録】大腸がん検査キットで自宅で検便!amazonで購入!で紹介しています。

国が勧めるがん検診の方法は、がん検診ガイドラインでの各がん検診の推奨される方法は?で確認できます。

大腸がんの転移にも強い!

20120326162939

さらに、PET-CTは、大腸がんのリンパ節転移、肝転移、術後の再発の評価に役立つとされています。再発した大腸がんを調べた27研究のまとめでは、肝転移の診断の感度は0.97、特異度は0.98でした(Zhang ら 2009)。

とくに術後再発については、手術をするとどうしてもその瘢痕などと区別がつかないことが他の画像検査ではあるのですが、PETではそういったことがなく、がん細胞がいれば集積される=光るので、それで判断することができます。

これを「腫瘍のviabilityが評価できる」といい、大腸がんだけでなく、悪性リンパ腫などにおいても、PETは非常に有用とされています。

PET-CTによる大腸がんの見え方を場面別に示した表

大腸がんの実際のPET画像は?

実際に典型的な画像を見てみましょう。症例は、70 歳代の女性。腹痛を主訴に来院し精査しました。この場合は症状があって検査をしているので、人間ドックではありませんね。その時のPET検査が下の画像です。

PET colon ca

 

矢印をつけたところが、大腸がんです。すごく集積が強くてわかりやすいですよね。その他の部位に集積を認めている=黒いところは、いずれも生理的な集積で正常です。膀胱、腎臓、心臓、唾液腺、大脳に主に集積されています。

次に、リンパ節転移の画像を見てみましょう。こちらはCT画像と融合しており、PET-CTの画像です。

Lymph meta colon Ca

骨盤内の左側に丸くて光っているものがありますよね。これがリンパ節転移を示唆する所見です。このようにCT画像と融合できるので、どこが光っているのかがわかりやすいですね。

大腸に集積すれば大腸がん?

Woman (4)

残念ながら、PETをとれば大腸がんが完璧にわかる、というわけではありません。サイズが小さいものはわからないこともありますし、さらに実は、小腸や大腸といった消化管には生理的に集積をすることがあります。その場合、大腸がんと区別ができないことがあるんですね。

施設によっては、そういった場合に、少し時間を空けてから再度撮影します。これを遅延像といいます。生理的な集積ならば、時間をおけば移動するのに対して、大腸がんならば移動しないので、それで見極める事もあるのです。

あとは、腸管に沿った長い分布であれば、消化管の生理的な集積だと判断することもあります。

一方、悪性らしい所見は、上の画像のように、限局性に集積を認めているということですね。また遅延像でも場所を変えずに同じように集積します。

PETで大腸がんと確定診断できる?

a9e727e2f94841b7e22d120c78c83096_s

他の臓器とどうように、PET検査で大腸がんが疑わしい場合でも、確定診断にはなりません。やはり確定診断には、内視鏡により生検をして組織を評価することが必要になります。

大腸の模型を使って説明を受ける男性のイラスト

便潜血検査が陽性だったときの流れは、便潜血陽性と言われたら?大腸がんの可能性と大腸カメラが必要な理由で解説しています。

他にPETによる大腸がん診断で注意するべきことは?

904ba58941d76b67552499e52b14d2ef_s
糖尿病の治療薬の一つである、ビグアナイド系の薬(メトホルミン)を内服していると、腸管、とくに大腸への集積が強くなり、がんがないのにあたかもがんがあるように見えてしまう(偽陽性)ことがあります(Gontier ら 2008)。検査の24〜48時間前から内服を中止すると腸管の集積が減ったとする報告もあります(Hamidizadeh ら 2018)。内服を中止するかどうかは、自己判断せず、検査を受ける施設の指示に従ってください。

また、検査前後で下剤が使用されていた場合には、生理的集積が増強したり、以前に内視鏡的切除や生検が行なわれていた場合には局所的に異常な集積を認めることがあります。

ですので、これらに該当する場合は、問診の際にきちんと伝えないと、がんじゃないのにがんかもしれないと診断されてしまう原因となってしまいます。

PET検査で大腸に集積があったら?

健診のPETで大腸に集積があると言われました。すぐに大腸がんということですか?
そうとは限りません。腸は生理的にも光ることがあります。ただ、限局した集積がある場合は、大腸内視鏡検査で確認することが勧められます。PET-CTで偶然に大腸の限局した集積が見つかった患者さんを調べた報告では、内視鏡で約25%に悪性腫瘍、約40%に前がん病変が見つかりました(Treglia ら 2012)。

Q. PET検診を受けていれば、便潜血検査は受けなくてよいですか?
A. いいえ。便潜血検査は大腸がん検診として推奨されています。PETは早期の大腸がんを見逃すことがあるため、代わりにはなりません。

気になる症状や検査結果があれば、医療機関へ相談してください。

参考文献

  • 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」 https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html
  • Huang SW, et al. A comparison of positron emission tomography and colonoscopy for the detection of advanced colorectal neoplasms in subjects undergoing a health check-up. PLoS One 2013. PubMed
  • Zhang C, et al. Diagnostic value of FDG-PET in recurrent colorectal carcinoma: a meta-analysis. Int J Cancer 2009. PubMed
  • Gontier E, et al. High and typical 18F-FDG bowel uptake in patients treated with metformin. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2008. PubMed
  • Hamidizadeh R, et al. Metformin Discontinuation prior to FDG PET/CT: A Randomized Controlled Study to Compare 24- and 48-hour Bowel Activity. Radiology 2018. PubMed
  • Treglia G, et al. Clinical significance of incidental focal colorectal (18)F-fluorodeoxyglucose uptake: our experience and a review of the literature. Colorectal Dis 2012. PubMed