
お腹の痛み、それも右下あたりですと、「盲腸(虫垂炎)かも?」と思われる方は多いのではないでしょうか。
それ程、盲腸の名は一般的に知られていますが、そもそもどの様な病気なのか、詳しい症状などを知らない方は多いようです。
そこで、今回は盲腸(虫垂炎)の症状の特徴やセルフチェックの仕方などをまとめました。
- 典型的な経過は、みぞおち〜おへそ周りの痛みが、やがて右下腹部へ移る痛みです。吐き気・嘔吐、食欲低下、軽い発熱を伴うことがあります。
- ジャンプや、かかとを床に落とす動作で右下腹部に響く、押して離すときに強く痛む、といったことも手がかりになります。
- ただし、これらは診断を確定するものではありません。痛みが移動しない人もいて、ひとつの症状や所見だけで虫垂炎を除外することはできません(Long 2025)。
- 診断は、医師の診察、血液検査、超音波検査やCTなどで行います(Long 2025)。
- 疑わしいときは、自己判断せずに早めに受診してください。放置すると虫垂が破れて腹膜炎になることがあります。
- 痛みが強い、歩くと響く、熱が上がる、動けないといった場合は、救急受診も考えてください。
その痛み、もしかして盲腸(虫垂炎)かも!? 初期症状とは?
お腹の右下腹部をさすりながら「もしかして盲腸かも?」と思われた事のある方も多いのではないでしょうか。
しかし、盲腸(虫垂炎)の初期症状は本当はどうなのでしょうか?
実は盲腸(虫垂炎)は痛みが移動することで有名です。右下腹部痛とともに、移動する痛みは虫垂炎を疑う手がかりのひとつです(Long 2025)。
(移動しない場合もあります。)
まず、みぞおちの辺りに痛み(心窩部痛(しんかぶつう)と言います)を感じ始めることが多いです。
個人差もあり、人によっては、お臍の周りに痛みを感じる人もいます。
その後、時間の経過とともに、徐々に痛みが下腹部に移動して行きます。
そして、最終的に右下腹部で激しい痛みがはじまります。
痛みは進行すると強くなり、夜も眠れないほどになることがあります。
その他にも
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱(微熱のこともあります)
- 食欲不振
などの症状が出ることもあります。

盲腸(虫垂炎)のセルフチェック方法
盲腸なのか、それともただの腹痛なのか、ある程度はセルフチェックする方法がありますので、参考にしてください。
上記の症状以外に、以下の事をチェックしてください。
- ジャンプをすると右下腹部に痛みを感じる。
- 両足のかかとを上げてつま先立ちになり、浮かしていたかかとを、床に下ろします(踵落とし試験といい、虫垂炎の診察に使われる方法のひとつです)(Markle 1985)。その際、右下腹部に響くような痛みを感じる。
- 仰向けに寝て、お腹の力を抜いたリラックスした状態で、右下腹部の痛みが酷い場所を指で押した後に急に離し、押しても痛く、離した後がもっと痛い場合(この場合は腹膜刺激症状といって、お腹の中の炎症が腹膜に及んでいる可能性を示唆します)。
ただし、あくまで盲腸(虫垂炎)は医師による診察と画像診断によりなされるものですので、目安のひとつとしてチェックいただき、おかしい場合は安易に自己診断・自己判断せずに速やかに病院に行ってください。チェックに当てはまらなくても、虫垂炎でないとは言えません。ひとつの症状や所見だけで虫垂炎を除外することはできないとされています(Long 2025)。自宅で痛みの様子を見続けず、早めに受診してください。
虫垂炎の画像診断についてはこちらにまとめました。→急性虫垂炎のCT所見のポイント!
ちなみに盲腸(虫垂炎)が疑わしい場合に受診する科は、外科(消化器外科)、消化器内科、内科などです。夜間や休日、痛みが強いときは救急外来を受診してください。すべての虫垂炎の患者さんで外科医の診察を受けることが勧められています(Long 2025)。
よくある胃腸炎とは異なり、手術による治療がなされることがあるのが虫垂炎です。

お腹が痛いときの市販の痛み止めの注意点は、腹痛に市販の痛み止めは使ってよい?ブスコパン・ロキソニンの注意点と受診の目安で解説しています。
そもそも盲腸(虫垂炎)とはどんな病気?放っておくとどうなるの?
一般には「盲腸」あるいは「盲腸炎」と言われますが、正式名は「急性虫垂炎」となります。
盲腸(急性虫垂炎)は、虫垂と呼ばれる大腸の端に化膿性の炎症が起こる病気です。

急性虫垂炎自体についてはこちらに詳しくまとめました。→急性虫垂炎のまとめ
治療せずにそのまま放置しておくと炎症で発生した膿や腸液が外側に漏れ出します。
これを消化管穿孔(せんこう)と言います。
さらに漏れ出た膿がお腹の中(腹腔内)に広がり腹膜炎(ふくまくえん)を起こしてしまいます。
さらに、腹膜炎が進行すると、菌から排出される毒素が血液を通して身体に回る敗血症を引き起こしてしまい、ショック症状から最悪の場合には死に至ってしまう事もある様です。
虫垂炎の悪化で起こる消化管穿孔については、消化管穿孔とは?突然の激しい腹痛の原因・CT診断・治療を画像で解説で解説しています。
盲腸(虫垂炎)の治療法は?治療費はどれくらいかかるの?
虫垂炎を認めた場合は、手術となることが多いですが、状態によっては抗菌薬で治療を始めることもあります。抗菌薬だけで治療する方法は、選ばれた患者さんで安全に行える可能性が示されていますが、再発することもあるため、医師とよく相談して決めます(Long 2025)。
しかし、病状が進行していたり、虫垂炎が破裂していた場合などは、早急な切除手術が必要となります。
盲腸の治療費はどの位かかるのかも気になるところですね。
費用は医療機関や入院日数、保険の自己負担割合などで大きく変わります。以下は過去の目安であり、実際の金額は受診した医療機関に確認してください。
- 入院費・治療費は健康保険適用で約6万円から12万円ほどです。
- 開腹手術は2万円ほどですが、入院する為に入院費が加わります。
- 又、腹腔鏡手術は15万円から20万円ほどと、かなり高額のようです。
盲腸(虫垂炎)のよくある疑問
Q. セルフチェックで痛くなければ、虫垂炎ではないですか?
A. いいえ。ひとつの症状や所見だけで虫垂炎を除外することはできません(Long 2025)。右下腹部の痛みが続く、強くなる、熱が出るなどの場合は受診してください。
Q. どんな検査をしますか?
A. 診察、血液検査、超音波検査やCTなどです。妊娠中の方には、超音波やMRIが勧められています(Long 2025)。
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 外科(消化器外科)、消化器内科、内科などです。痛みが強いときは救急外来へ。
Q. 放っておくとどうなりますか?
A. 虫垂が破れて腹膜炎になることがあります。進行すると、敗血症などの重い状態になることもあるため、早めの受診が大切です。
最後に
盲腸(虫垂炎)はよく耳にする病気ですので、何となく軽い病気だと思われている方も多いようです。
しかし、よくあるいわゆる胃腸炎と同じように考えてばいけません。
放置しておくと病状が進み、恐ろしい結果に繋がる可能性もあるのです。
セルフチェックや症状で少しでも疑わしい点がある場合には、速やかに病院へ行かれて下さいね。
参考文献:Long B et al. Emergency medicine updates: Acute appendicitis in the adult patient. Am J Emerg Med 2025 PubMed
参考文献:Di Saverio S et al. Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines. World J Emerg Surg 2020 PubMed
参考文献:Markle GB. Heel-drop jarring test for appendicitis. Arch Surg 1985 PubMed





