
胃がん検査の一つに、胃バリウム検査があります。
バリウムというと、ドロッとした液を飲まなくてはいけないため、やったことがない方でも、「苦手」というイメージをお持ちの人が多いのではないでしょうか?
しかし、健康診断や人間ドックの項目に入っていることが多い検査です。
バリウムのまずさばかりが注目されて、何のために行う検査で、どうしてこの検査が必要なのかピンと来ない方も多いですよね?
今回はそんな方のために、胃バリウム検査について
- どんなものなのか
- わかること
- 検査方法
などを、初めての方にもわかりやすいように、説明したいと思います。
- 胃バリウム検査の正式名称は「上部消化管造影検査」で、バリウムを飲んでX線で食道・胃・十二指腸の形や粘膜の凹凸を調べます。
- 胃がん、食道がん、胃潰瘍、胃ポリープ、十二指腸潰瘍、胃炎などの発見に役立ちます。
- 日本の胃がん検診では、胃X線検査と胃内視鏡検査のどちらも、対策型検診の方法として認められています(Yashima 2022)。
- 検査後は、バリウムを早く出すために下剤を飲み、水分を多めにとります。便が出ない、腹痛・腹部の張りがあるときは受診してください。
- 「要精密検査」と言われたら、多くは胃カメラ(胃内視鏡)で詳しく調べます。
胃バリウム検査とは?
胃バリウム検査の正式な名称は「上部消化管造影検査」で、食道・胃・十二指腸の形や影、病変をチェックするための検査で、バリウムを飲んでその様子をX線写真で写し出します。

この検査に用いるX線をそのまま胃や腸に使用すると、筋肉とやわらかい組織を中心に出来ている胃や腸を透過してしまい、X線を通さない為です。
バリウムを食道・胃・十二指腸の壁に薄く貼り付かせてX線で撮影することで、がんやポリープなどの隆起や潰瘍などの凹みが浮き上がってきます。

また、バリウム(造影剤)が口から入り、リアルタイムで食道・胃・十二指腸へと流れ込む様子(食物を口から含んだ時と同じ流れとなる)を映し出される画像で観察し、狭窄部分がないか(狭くなっていないか)などをチェック出来ます。
診察台で体を左右に回転させ、流し込まれたバリウムを粘膜に付着させていく事で粘膜の凹凸をチェックし病気の有無が確認できるのです。
逆にいえば、バリウムをきちんと飲まないと(飲むバリウムの量が足りない場合)、胃壁に十分にバリウムがつかずに、検査が正しく行われない原因にもなります。

胃がんや胃潰瘍の検査目的で行われる場合は、『二重造影法』が用いられます。
二重造影法では、粘膜に付着したバリウムは白く、空気(発泡剤で発生したガスなど)は黒く写るため、消化管粘膜の細かな部分まではっきりとしたコントラストで写し出すことが可能となっています。
胃バリウム検査でわかることは?

胃バリウム検査は、胃がんや食道がんを、発見するために行われる検査ですが、それ以外にも上記のような病気がわかります。
胃X線検査は、胃がんによる死亡を減らす効果を示した検診方法として、日本で長く行われてきました。2014年の胃がん検診ガイドライン改訂で、胃内視鏡検査も対策型検診に加わっています(Yashima 2022)。なお、近年の胃がん死亡の減少には、ピロリ菌感染の減少も影響していると考えられています(Yashima 2022)。
その他、胃酸過多や食生活の乱れなどにより、胃の粘膜の表面が少し荒れた様な状態になってしまう慢性胃炎もわかります。
繰り返し起こる胃炎や胃潰瘍は、ヘリコバクターピロリ菌が関わっている可能性が疑われますので、とくに症状がある方は早めに検査され治療することが大事です。
関連記事)

胃がん検診を含む各がん検診の推奨される方法は、がん検診ガイドラインでの各がん検診の推奨される方法は?で確認できます。
バリウム検査の流れは?
- ブスコパン®︎を筋肉注射
- 発泡剤とバリウムが手渡される
- 少量の水で発泡剤を飲む(バリウムを飲んだ後、何枚か撮影した後で、発泡剤を飲むやり方もあります。)
- バリウムを飲む
- げっぷを我慢
- 透視台に上がる
- 指示に従い、体位を変え、息を止めて撮影
まず、前処置として、ブスコパン®を筋肉注射しますが、これは胃や十二指腸の蠕動を止めるためです。
ただし、この薬を使えない人(前立腺肥大・緑内障・不整脈・薬物アレルギーなど)には、別の薬(グルカゴン®)を使用したり、糖尿病もある方は薬なしで望む場合もあります。
詳しくはこちら→バリウム検査前の注射まとめ!副作用は?拒否してもいいの?
飲むバリウムの量や検査の時間は、施設や体格によって異なります。スムーズにバリウムを飲めさえすれば、基本的に短時間で終わる検査です。

バリウム検査のあとに気をつけること
バリウムが腸に長くとどまると、水分が吸収されて硬くなり、出にくくなります。このため、検査後は水分を多めにとり、渡された下剤を指示どおり飲むことが勧められています(国立がん研究センター 放射線技術部)。下剤を飲まずにバリウムが腸にたまると、腸閉塞などの危険があるとされます。
- 検査後は、水やお茶を多めに飲む
- 下剤を飲み、バリウムを早く出す(便が白っぽくなります)
- 翌日になっても便が出ない、お腹が張る、腹痛があるときは医療機関へ
また、むせやすい方、飲み込む力が弱い方、水分制限のある方、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、事前に申し出てください。気になる症状や結果があれば、医療機関へご相談ください。
検査後に便が出ないときの対処は、バリウム検査後に便が出ない!いつまでに出ればいい?出ない場合の対処法まとめでまとめています。
出ない状態が続いたときに起こりうることは、バリウムが出ないとどうなる?何日で受診すべき?手術になることはある?で解説しています。
胃バリウム検査のよくある疑問
Q. バリウム検査で「要精密検査」と言われました。
バリウム検査は病変の疑いを見つける検査のため、疑いがあると胃カメラで詳しく調べます。がんがあるという意味ではありませんが、放置せず、早めに受診してください。
Q. 胃カメラとバリウムは、どちらが優れていますか?
どちらも胃がん検診の方法として認められています(Yashima 2022)。それぞれ特徴が異なるため、比較は胃カメラとバリウムのどっちを受ければいい?比較もご覧ください。
Q. 検査の前日・当日に注意することは?
前日の食事や飲酒、当日の絶食の指示は施設によって異なります。バリウム検査 前日の食事は?お酒とタバコは?もご覧ください。
参考文献:
よくわかる検査数値の基本としくみP128・129
病気の検査がよくわかる医学百科P142・143
検査のすべてP70・71
新版 検査と数値を知る事典P120
Yashima K, et al. Gastric Cancer Screening in Japan: A Narrative Review. J Clin Med 2022(PubMed)
国立がん研究センター 放射線技術部「消化管検査」(検査後の水分摂取について)
最後に
- 胃バリウム検査の正式な名称は「上部消化管造影検査」
- 胃バリウム検査は、食道・胃・十二指腸の形や影、病変をチェックするための検査
- 検査後は水分をとり、下剤でバリウムを早く出す
- 胃がんや食道がんを発見するために行われる検査
- 胃や十二指腸の蠕動を止め、発泡剤とバリウムを飲み、X線で撮影する
同じく、食道・胃・十二指腸を調べる方法として、胃カメラ(胃内視鏡)検査があります。
こちらは口または鼻から、カメラの管を通すことによって、実際に消化管内部を撮影して見ることが可能です。
どうしてもバリウムに抵抗がある場合、健康診断や人間ドックでは、こちらの胃カメラに変更できることもあります。
詳しくはこちら→
どうしても苦手意識をお持ちの場合、受診する医療機関に前もって相談しておくとよいでしょう。





