人間ドックを受けようと思っても、「女性は何を追加すればよいのか」「あれもこれもつけると高くなりそう」と迷う人は多い。
結論からいうと、女性が人間ドックで特に意識したいのは、国が推奨している乳がん検診(40歳以上、2年に1回のマンモグラフィ)と、子宮頸がん検診(20歳以上、2年に1回の細胞診)である。骨密度検査は、国の骨粗鬆症検診で40歳から5歳ごとの女性が対象になっている。そのほかの婦人科オプションは、国の検診項目にはないものが多いため、症状や家族歴を踏まえて医師と相談して決めるのがよい。
この記事では、国が示している乳がん・子宮頸がん検診の対象年齢と間隔、骨密度検査、婦人科オプションの考え方、申し込む前に確認したい点を整理する。費用の目安は施設によって大きく異なるため、ここでは扱わない。
- 乳がん検診は40歳以上、2年に1回のマンモグラフィが国の推奨である。
- 子宮頸がん検診は20歳以上、2年に1回の細胞診が基本である(HPV検査単独法は30歳以上、5年に1回)。
- 骨粗鬆症検診は、40歳から5歳ごとの女性が国の対象である。
- 国の検診にない検査は、利益と不利益を知ったうえで、医師と相談して選ぶ。
国が推奨している女性の検診
がん検診は、国(厚生労働省)の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」で、対象年齢と間隔が決められている。人間ドックでも、これを基準に考えるとわかりやすい。

ここでいう「対象年齢」は、市町村が行う検診(対策型検診)の考え方である。人間ドックは自費で受ける任意の検診だが、国の指針は、受ける検査や間隔を決めるうえでの目安になる。
国が推奨するがん検診の考え方は、がん検診ガイドラインでの各がん検診の推奨される方法は?で解説しています。
乳がん検診:40歳以上、2年に1回のマンモグラフィ
国立がん研究センターは、乳がんについて、40歳から2年に1度、定期的にマンモグラフィを受けるよう案内している。厚生労働省の指針でも、対象は40歳以上の女性で、検診項目は質問とマンモグラフィ(乳房エックス線検査)とされている(厚生労働省 2025)。
押さえておきたい点は次のとおりである。
- 視触診や乳房超音波は、検診としては推奨されていない。乳がんで亡くなることを防ぐ科学的根拠が不十分とされ、マンモグラフィと超音波を同時に受けることも、現時点では推奨されていない(国立がん研究センター)
- 40歳代はマンモグラフィの撮影方向が増える。40歳以上50歳未満では、2方向の撮影を行うと指針に定められている
- 被ばく量は少ない。1回の撮影で乳房が受ける放射線量は0.05〜0.15ミリシーベルトで、一般の人が1年間に自然に受ける量(約2.4ミリシーベルト)よりはるかに低い。40歳から2年ごとの受診であれば、被ばくによる健康被害はほとんどないとされる(国立がん研究センター)
- 妊娠の可能性は事前に伝える。指針では、質問の際に妊娠の可能性などを聴取するよう定められている
30歳代の女性は国の乳がん検診の対象にはなっていないが、乳がんにかかる人は30歳代後半から増えるため、日ごろから乳房の変化に気を配る「ブレスト・アウェアネス」が大切とされている。しこりなどに気づいたときは、検診ではなく、乳腺外科などを受診してほしい。マンモグラフィの詳しい内容はマンモグラフィの記事にまとめている。
乳腺エコーでわかることとマンモグラフィとの違いは、乳腺エコーとは?わかることは?マンモグラフィとの違いは?で解説しています。
子宮頸がん検診:20歳以上、2年に1回
子宮頸がん検診は、20歳以上の女性が対象で、子宮頸部の細胞診は原則として2年に1回行う(厚生労働省 2025)。検診項目は、問診、視診、子宮頸部の細胞診、内診である。
国立がん研究センターによると、子宮頸がんは20歳代後半から増えはじめ、20歳代と30歳代の女性では最も罹患する人が多いがんである。性交渉が1度でもあれば検診を受ける必要があり、性交渉がない期間が続いていても発病のリスクはあるため、検診が必要とされている。
HPV検査単独法は、2024年4月から、国の要件を満たす一部の自治体で実施できるようになった。対象は30歳以上の女性で、検査の結果が陰性であれば5年に1回の受診が目安とされる。陽性の場合は、同じ検体で細胞診を行い、結果によっては1年後に追跡検査を受ける。人間ドックでどちらの方法を選べるかは施設によって異なる。
また、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)では、子宮頸部細胞診はベセスダ分類で判定し、NILMが基準範囲とされている。検体は医師が採取したもののみとし、自己採取は認めないとされている(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。検診の受け方や流れは子宮頸がん検診の記事で詳しく説明している。
骨密度検査:40歳から5歳ごと
骨密度検査は、骨粗鬆症の早期発見のための検査である。国内では、健康増進法に基づく骨粗鬆症検診として、市町村が40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の女性を対象に、問診と骨量測定を行っている(藤原 2019)。
海外では、米国予防医療専門委員会(USPSTF)が2025年に、次のように勧告している(Nicholson 2025)。
- 65歳以上の女性には、骨折予防のために骨粗鬆症の検査を勧める(B推奨)
- 65歳未満の閉経後の女性では、骨折の危険が高いと評価された人に勧める(B推奨)
- 男性については、利益と不利益のバランスを判断するには証拠が不十分である
国内の検診は5歳刻みの女性が対象で、海外の勧告は年齢と骨折の危険度で分かれている。人間ドックに骨密度検査を入れるかどうかは、年齢や閉経の時期、骨折したことがあるかなどを踏まえて、医師と相談して検討するとよい。検査の方法や結果の見方は骨密度検査の記事で説明している。
婦人科オプションの考え方
人間ドックの申し込み画面には、「婦人科オプション」として、子宮頸がん検診のほかに、さまざまな検査が並んでいることがある。国の指針で定められている婦人科の検診は、子宮頸がん検診のみである。それ以外の検査は、国が検診として推奨しているものではない。
オプションを選ぶときは、次の点を考えてほしい。
- 何を調べる検査なのか、検診として推奨されているのか。推奨されていない検査は、見つかる病気の種類や限界を、事前に確認する
- 利益と不利益。国立がん研究センターは、子宮頸がん検診について、本来2〜5年に1回で効果のある検診を毎年受けても効果は上がらず、偽陽性などの不利益が増える可能性があると説明している
- 症状や家族歴があるか。不正出血、強い月経痛、下腹部の違和感、乳がん・卵巣がんの家族歴などがある場合は、検診ではなく婦人科での診察を考える
人間ドックは、症状がない人の健康チェックである。症状がある場合は、人間ドックを待たず、婦人科を受診してほしい。

40代のオプションの選び方と受診頻度は、40代の人間ドックのオプションは?胃・大腸・乳がん・子宮頸がんの選び方と受診頻度で解説しています。
申し込む前に確認したいこと
- 前回の検診の時期。乳がん・子宮頸がん(細胞診)は2年に1回が基本なので、自治体の検診と重ならないようにする
- 生理の時期。予定日が生理と重なりそうなときの扱いは施設によって異なるため、日程を決める前に確認する
- 妊娠の可能性、授乳中かどうか。乳がん検診の質問でも妊娠の可能性を聴取するとされているので、予約時に伝える
- 診察や撮影を担当するスタッフの希望。希望がある場合は、予約時に相談する
- 当日の服装。マンモグラフィや婦人科診察では脱ぎ着が多くなる。服装は人間ドックの女性の服装の記事を参考にしてほしい

よくある疑問(Q&A)
Q1. 20歳代の女性は、人間ドックで何を受けるとよいですか?
A. 国が推奨する検診としては、20歳以上の子宮頸がん検診(2年に1回)が該当する。乳がん検診は40歳以上が対象である。
Q2. 毎年、乳がん検診を受けたほうが安心ですか?
A. 国の指針では、乳がん検診は原則として2年に1回である。気になる症状があるときは、検診を待たずに医療機関を受診する。
Q3. 子宮頸がん検診は、ワクチンを打っていれば不要ですか?
A. 不要ではない。国立がん研究センターは、HPVワクチンで一部のHPV感染を防げるが、すでに感染したHPVは排除できず、性交渉が1度でもあれば定期的に検診を受けることが大事だと説明している。
気になる症状や結果があれば、医療機関に相談してほしい。
参考文献
- 厚生労働省. がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和7年12月24日一部改正). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001757420.pdf
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 乳がん検診. https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/breast.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 子宮頸がん検診. https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/cervix_uteri.html
- 藤原佐枝子ら. 骨粗鬆症検診を実施している自治体の実地調査. 厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書, 2019. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192031/201909030A_upload/201909030A0005.pdf
- Nicholson WK, et al. Screening for Osteoporosis to Prevent Fractures: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. JAMA. 2025. PubMed 39808425
- 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分 2026年4月1日改定. https://www.ningen-dock.jp/ningendock/wp-content/uploads/2026/02/2026hanteikijun.pdf





