たった1滴の血液を採取するだけで、そこのマイクロRNA(miRNA)の発現異常をみることで、心疾患やアルツハイマー型認知症だけでなく、がんの有無をチェックしようというがん検診があります。
まだ実現には至っていませんが、今回はそんなマイクロRNAでどんながんがわかるのか?価格はいくらくらいなのかについてまとめてみました。
マイクロRNAってなに?
がん細胞はエクソソームという小胞を血液などに放出しています。その中に含まれるあらかじめわかっているがん細胞特有のマイクロRNAの発現異常を探しにいくという手法です。
従来の腫瘍マーカーとは全く異なり、より信頼度は高いようです(90%程度の確率?)。
というのは、腫瘍マーカーの場合は、例えば肺がんの腫瘍マーカーの一つであるCEAは喫煙で上がったりしますし、前立腺がんの腫瘍マーカーのPSAはがんではない前立腺肥大や前立腺炎でも上がることがあります。
現在、大腸がんや乳がんで研究が進んでいますが、今後さらに実用化されるがんの種類は増えていきます。
マイクロRNAでわかるがんには何がある?
マイクロRNAで今後わかるようになるであろうとされているがんは以下の通り13種類です。
- 脳腫瘍の一つである、神経膠腫
- 消化管がん:食道がん、胃がん、大腸がん
- 肺がん
- 乳がん
- 腹部臓器がん:肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、膀胱がん
- 生殖器のがん:卵巣がん、前立腺がん
- その他:肉腫
胃がんは減りつつありますが、大腸がんや肺がん、女性の場合乳がんなどはまだまだたくさんの人がそれが原因でなくなっていますし、実現化すれば非常に有効ながん検診となりそうです。
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マイクロRNAによるがん検診の値段は?
将来的には2万円前後になると言われています。
現在40種類程度の腫瘍マーカーがあり、これらも同じく採血で検査するのですが、仮に40種類調べようとすると、その分検査が増え料金もかさみます。
このマイクロRNAのがん検診が良い点は1滴の血液ですべてわかるということですね。料金も腫瘍マーカーに比べると割安です。
マイクロRNAを受ければ、他のがん検診はいらなくなるのでは?
FDG PET(ペット)が検査として出てきたときも同じようなことを考えた人がいましたが、残念ながら、いかなるがん検診も単独ではなく組み合わせで受けることに意味があります。
各検査得意不得意がありますし、マイクロRNAにしても検出できないがんもあります。また精度も100%ではありません。
その人その人の、年齢や性別、リスク因子に合わせたがん検診がに必要なのは、マイクロRNAが実用化されても同じことです。
また、仮にマイクロRNAで何かのがんが疑われるという結果が出た場合は、その部分にフォーカスを当ててさらなる画像検査などが必要になります。
最後に
今回は今話題のマイクロRNAについて取り上げてみました。
実現化が待ち遠しいですね。がん検診にはさまざまなものがありますが、大事なのは単体ではなく、総合的に受けるということです。ただし、大腸カメラなど負担が大きい検査もありますので、その回数が少しでも減るようならば、よりがん検診の敷居が低くなり、早期発見早期治療が増えて行くと思われます。