女性の卵巣の病気の一つにチョコレート嚢胞があります。
治療法の一つに手術療法があります。
しかし、どんな手術なのか、費用はいくらぐらいかかるのか?術後はどうなるのか?
考えたらキリがありませんね。
そこで今回はそんな不安を少しでも解消するため、チョコレート嚢胞の手術についてまとめてみました。
詳しい内容はコチラです。
- チョコレート嚢胞の手術とは
- チョコレート嚢胞手術の費用
- 術後は自然妊娠できる?
以上です。
それでははじめます。
チョコレート嚢胞の手術とは?
チョコレートのう胞の治療には、
などがありその人の状況により治療法が選択されます。
チョコレート嚢胞の手術は、以下の種類があります。
- 腹腔鏡下手術(ふっくうきょうかしゅじゅつ)
- 開腹手術(かいふくしゅじゅつ)
挙児を希望される場合には、腹腔鏡下手術がしばしば行われます。
しかし、そうでない場合も現在では腹腔鏡下手術がゴールドスタンダードとされています。
腹腔鏡下手術
腹腔鏡と呼ばれる内視鏡で手術します。
お腹に小さな穴を開け、内視鏡を挿入して行います。
腹腔鏡を用いて行われる手術で何を切除するかは、挙児を希望するかや閉経後などにより異なります。
と選択されます1)。
のう胞を摘出せずに、のう胞の内容物を吸引し、のう胞の壁を凝固する内容吸引・のう胞壁凝固法もあります。
しかし、のう胞を摘出した方が、痛みの改善、術後の妊娠率は高く、術後の再発率も低いとされており、のう胞摘出術が推奨されています1)。
再発の可能性としては 「のう胞吸引>のう胞摘出術>患側卵巣切除>両側卵巣切除 」となります。
チョコレートのう胞以外に骨盤病変を認めた場合
下の画像は20歳代女性のMRI画像(T2強調像矢状断像=横から見た図)チョコレートのう胞及び深部病変(英語でDIE:deep infiltrating endometriosis)です。
直腸とチョコレートのう胞に癒着所見があります。
入院期間は?
腹腔鏡下手術の入院期間はおよそ前日入院を合わせて5日~7日ほどが多いようです。
ただ摘出した病理組織の結果によっても変化することがあります。
開腹手術
チョコレート嚢胞は少しでも残っていると再発の可能性があり、また卵巣癌を合併する可能性もあります。
そのため嚢胞が大きい場合や高齢の場合は開腹手術によって摘出することもあります。
開腹手術には以下のような術式があります。
- 子宮全摘出
- 子宮付属器摘出術
子宮全摘出
子供を希望しない場合には、子宮全摘に加えて、両側付属器切除術が選択されることもあります2)。
子宮付属器摘出術
こちらは子宮全体を摘出するのではなく、病変のある片側の卵巣と卵管だけを摘出する方法です2)。
卵巣だけを摘出する方法もあります。
なおこれらの手術は、腹腔鏡下手術で行われることもあります。
入院期間は?
開腹手術の場合は腹腔鏡下手術よりも回復に時間がかかるので入院期間は長めになります。
およそ7日~10日ほどになることが多いようです。
チョコレート嚢胞の手術の費用は?
気になる手術費用ですがこれは術式や入院日数によっても変わってきます。
チョコレート嚢胞手術は保険が適用されますので自己負担額は15万円~20万円ほどになることが多いようです。
また高額医療費の払い戻しを受けることも出来ます。
具体的な金額は年収によっても変化します。
- 区分ア(標準報酬月額83万円以上)・・・252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
- 区分イ(標準報酬月額53万~79万円)・・・167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
- 区分ウ(標準報酬月額28万~50万円)・・・80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
- 区分エ(標準報酬月額26万円以下)・・・ 57,600円
- 区分オ(保険者が市区町村民税の非課税者等)・・・ 35,400円
チョコレート嚢胞の手術後は自然妊娠できる?
子宮や両側の卵巣を全摘出しなければ、自然妊娠は可能です。
基本的に、妊娠を望んでいる場合は保存手術を行います。
挙児希望の場合はもし自然妊娠が難しかったとしても、体外受精という選択肢もあります。
また、チョコレート嚢胞の手術をすることで卵子の数が減少する可能性もあるため、手術の前に採卵して凍結しておくという選択肢もあります。
参考文献:
1)産科と婦人科 第81巻・増刊号 P245-255
2)病気がみえる vol.9:婦人科・乳腺外科 P127-128
まとめ
- チョコレート嚢胞の手術は腹腔鏡下手術と開腹手術があるが、現在のゴールドスタンダードは腹腔鏡下手術
- 手術の費用は病院や術式によっても違いがあるがだいたい15万~20万円ぐらい
- 高額医療費の払い戻しが受けられる場合もある
- 手術後の自然妊娠は可能である
いかがでしたか?
今回はチョコレート嚢胞手術についてのお話しでした。
子供を希望するのか否か、また嚢胞の大きさなどによっても術式は変化します。
ご自分の状況に合った治療方法を行うことが肝心です。
チョコレート嚢胞は子宮全摘出すれば根治するとかいてありますが、本当ですか?
私は、子宮全摘出し、右卵巣を1㎝温存し2年経ちましたが、右卵巣にチョコ再発しました。子宮全摘出しても、内膜の細胞がどこかに残っていれば、再発するのではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、根治という言葉が適切ではありませんでしたので修正しました。
おっしゃる通り、内膜の細胞は腹腔内に残っていれば再発することがあります。
また、異所性に発生することもあります。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。