カテーテル関連血流感染とは、静脈に入ったカテーテルを経由して、血液が感染してしまう感染症です。院内で起こる感染症であり、医療関連感染症の一つとして重要で、カテ感染と略されて言われることもあります。
時として重症化し命に関わることがありますので、このカテーテル関連血流感染を早期に発見して、早期に治療することが重要です。
そこで今回は、カテーテル関連血流感染についてまとめました。
カテーテル関連血流感染(CRBSI)とは?
CRBSIとは何の略ですか?
カテーテル関連血流感染はCRBSIと略され、その字の通り、読み方はシーアールビーエスアイと呼ばれます。これは、catheter-related blood stream infectionの略です。
つまりカテーテルを介して血流に入った微生物が血液中で感染兆候を引き起こすことです。
カテ感染とは中心静脈カテーテル留置期間中に発熱、白血球増多、CRP上昇などの感染兆候があり、CVC抜去によって解熱、その他の臨床所見の改善が改善されるもの(静脈経腸栄養ガイドライン第3版)
と定義されています。
カテーテル関連血流感染の原因菌は?
- ブドウ球菌(MRSA含む)
- グラム陰性桿菌
- 緑膿菌
- セラチア
- アシネトバクター
- シトロバクター
- エンテロバクター
院内でかかるグラム陰性桿菌は頭文字をとってSPACEと呼ぶことでも知られています。すなわち
- Serratia(セラチア)
- P.aeruginosa(緑膿菌)
- Acinetobacter(アシネトバクター)
- Citrobacter(シトロバクター)
- Enterobacter(エンテロバクター)
の5つですね。
カテーテル関連血流感染(CRBSI)を疑うきっかけは?看護のポイントは?
カテーテル関連血流感染(CRBSI)のうち数%と言われていますが、炎症の所見が見られることがあります。中心静脈カテーテルが入っているところに炎症を疑う所見がないかをチェックします。
炎症を示唆する重要なポイントは以下の4点です。
- 発赤
- 熱感
- 腫脹
- 疼痛
これらがあればカテ感染をきたしている可能性がありますので、注意深くチェックしましょう。
カテーテル関連血流感染の診断方法は?
血流感染している=血液の中に細菌がいる=菌血症状態である。
ということを証明するには、血液の中に細菌がいることを確認する必要があり、血液を培養して細菌を同定する必要があります。ですので、診断には血液培養が必須となります。
カテ感染の診断基準は?
日本にはガイドラインがありませんので、海外のガイドラインは以下の通りです
- 末梢血培養と抜去したカテーテル先端培養において、同一菌が検出される。
- カテーテル血の培養が末梢血の培養よりも2時間以上早く陽性化する。
- (2つのカテーテルルーメンから血液を定量培養し、コロニー数に3倍以上の差がある。)
- (カテーテル血と末梢血の定量培養の結果、カテーテル血のコロニー数が3倍以上多い。)
(Clin Infect Dis.2009;49:1-45.)
これらのいずれか陽性の場合にカテ感染と診断できます。
カテーテル関連血流感染(CRBSI)の予防・対策で重要なことは?
カテーテル関連血流感染はカテーテルを入れないと起こらないものですので、必要のない中心静脈カテーテルがある場合などは速やかに抜いてしまうことが重要です。
中心静脈カテーテルに限らず、尿カテーテルについても同様です。入院したら、とりあえず尿カテーテルが入れられるケースもありますが、トイレに行く時の転倒予防などでは必要ないと考えるべきとされています。
また、点滴を扱う際には清潔に注意をすることが大事です。点滴の作り置きなどはNGです。
中心静脈カテーテルは入れる静脈により感染しやすさがある!
中心静脈カテーテルは主に
- 鎖骨下静脈
- 内頸静脈
- 大腿静脈
から入れられるケースが多いですが、最も感染しやすいのが会陰部の近くである大腿静脈で、次が、内頸静脈、そして最も感染しにくいのが鎖骨下静脈とされています。
ですので、よほどの理由がない限り大腿静脈からの中心静脈カテーテル挿入は避けるべきとされています。
また感染予防の面では鎖骨下静脈がベストですが、肺を刺してしまい、気胸のリスクがあったりと手技的には難しい面もありますので、内頸静脈で取られることが多いのが一般です。
医療関連感染症とは?略語の意味は?
- HAP/VAP(ハップ/バップ) 院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎
- CAUTI(カウチ) カテーテル関連尿路感染症
- SSI(エスエスアイ) 手術部位感染症
- CDI(シーディーアイ) クロストリジウムディフィシル感染症
最後に
病気を治すために病院に入院したのに、病院で感染症にかかったとなると本末転倒です。その代表がカテ感染です。カテ感染を予防するには当たり前ですが、必要のないカテーテルは抜去することが最も重要といわれています。