急性陰囊症は、陰嚢あるいは陰嚢内容の急激な腫脹及び疼痛・発赤を呈する疾患と定義されています。

わかりやすく言えば、キンタマ袋が腫れて、赤くなって痛くなる病気だということです。

これには、複数の原因があり、中には、緊急を要する病気もあります。

治療が遅れると精巣を切除しなくてはならなくなる病気もあります。

今回はそんな急性陰嚢症に含まれる病気とその対応策についてまとめました。


急性陰囊症とは?

繰り返しになりますが、急性陰囊症とは、陰囊が急に

  • 痛くなる。
  • 腫れる。
  • 赤くなる。

といった症状を引き起こすもので、幾つかの病気がその原因となります。

急性陰囊症の原因は?

  • 精巣捻転症
  • 急性精巣上体炎
  • 精巣・精巣上体垂捻転
  • 精巣梗塞
  • 外傷による血腫・精巣破裂
  • 精巣腫瘍
  • 鼠径ヘルニア嵌頓

といった病気が原因となります。主には、最初の3つが重要です。

中でも、精巣捻転は精巣が捻れる(ねじれる)病気で、捻れると血流が途絶え壊死に陥り、最悪精巣を摘出しなくてはならなくなるので、早期診断、早期治療が重要となります。

Testicular torsion

精巣捻転についてはこちらに詳しくまとめました。→【MRI画像あり】精巣捻転症とは?原因や症状、診断、治療まとめ!

医師
陰嚢が腫れてすごく痛いけど、我慢した!では遅くなる可能性があります。

速やかに医療機関を受診しましょう。

精巣捻転と急性精巣上体炎の違いは?

Epididymitis figure

急性陰嚢症を起こし、頻度が高い精巣捻転急性精巣上体炎ともに同じような症状を起こします。

精巣捻転は前述したように、治療が遅れると精巣が壊死して摘出しなくてはならなくなることもあるため、両者の鑑別が重要です。

なお精巣上体炎についてはこちらに詳しくまとめました。→【MRI画像あり】精巣上体炎の原因や症状、治療法を徹底解説!

ではどうやって区別するのか?幾つかポイントがあります。

  • 発症年齢
  • 発症転機
  • 局所の症状
  • 随伴症状
  • 身体所見
  • 検査

一つ一つ見ていきましょう。

発症年齢

精巣捻転は、新生児期と思春期にピークがあると言われます。つまり大の大人には起こり難いということです。

一方で、急性精巣上体炎は、このような好発年齢がなくどの年代にも起こりえます。

発症転機

精巣捻転は、睡眠中に起こりやすいと言われています。

一方で、急性精巣上体炎は、いつ起こりやすいということはありません。

局所の症状

精巣捻転は、突発的に急に痛くなります。捻れると痛みが出るためですね。

一方で、急性精巣上体炎による痛みは緩徐に起こります。だんだん痛くなるということです。

随伴症状

精巣捻転は、陰囊の痛みに伴いしばしば、腹痛や嘔気嘔吐を伴うことがあります。ただし、熱が出ることはあまりありません。

一方で、急性精巣上体炎は、腹痛のような随伴症状が起こることはあまりありませんが、が出ることはしばしばあります。こちらは感染だからです。

身体所見(理学所見)

Prehn’s sign(プレーン徴候)と言って、精巣を挙上すると痛みが軽減する場合は、精巣上体炎を疑うとされます。つまり、キンタマ袋を持ち上げて痛みが治まるのが精巣上体炎で、治らないのが精巣捻転だというサインです。

検査

検査は、医療機関でしか行うことはできません。

  • 採血検査
  • エコー検査
  • MRI検査

といった検査を行い、総合的に診断していきます。特にエコー検査や最後の手段としてMRI検査が行われることもあります。これらの画像検査では、精巣捻転の診断に重要で、捻れることによる血流の低下を見るのがポイントになります。

最後に

陰囊に痛み・腫れ・発赤が出た場合は、急性陰嚢症であり、複数の病気の可能性があります。

中でも、精巣捻転という怖い病気が隠れている可能性があります。

必ず医療機関を受診するようにしましょう。

何科を受診すればいいですか?
医師
専門科は泌尿器科になります。



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