心臓の画像検査として近年注目を集めている心臓MRI検査ですが、今回は心臓MRIで具体的にどのような撮像法で撮影をするのか、それにどのような意味があるのか、撮像のプロトコールについてまとめました。
心臓MRI撮影のプロトコールは?
主な撮像法は以下の通りです。
- シネMRI
- T2強調像
- Perfusion
- 遅延造影
- 冠動脈MRA
- 位相コントラスト法
シネMRI
心臓の動きを見ることができる撮像方法です。動画のように後で見ることができます。これにより心臓の形態および機能評価を行います。
具体的には体積計測法(Simpson法)で心尖部〜心基部の短軸像をトレースして、その面積×スライス厚を加算します。
解析項目には、拡張末期容積(EDV)、収縮末期容積(ESV)、駆出率(EF)、心筋重量、壁肥厚率、心室容積曲線などがあります。
心筋虚血や梗塞があれば、その部位の動きが悪くなりますので、その評価ができます。また心筋が肥厚していないかなどを評価できます。
シネMRIの実際の動きはこちら↓
T2強調像
急性期心筋梗塞がある場合や、心筋炎、サルコイドーシスの活動期など炎症がある場合、T2強調像では心筋内の浮腫性変化として描出され、異常な高信号として捉えることができます。
心筋梗塞があるとき、それが新しいのか古いものなのかの判別にもこのT2強調像は使えます。新しいものだと高信号になりますが、古い梗塞はなりません。
負荷心筋Perfusion
冠動脈狭窄にともなう心筋血流予備能低下の描出により、虚血の診断をすることができます。
具体的にはガドリニウムというMRIの造影剤を急速注射して、造影剤の初回の循環動態から心筋血流を評価します。アデノシン、ATP、ジピリダモールといった薬剤で負荷を行います。
安静時の血流、負荷時の血流、血流予備能を見ることができます。
空間分解能が核医学よりも心臓MRIの方が上なので、シンチグラフィ(核医学)ではなかなか描出されない内膜下虚血や、多枝病変の検出に優れています。
症例 左回旋枝に有意狭窄あり。
これをみてわかるように負荷perfusionでは上のBの画像のように血流低下を指摘できますが、下のシンチグラフィでは指摘できません。
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遅延造影
梗塞や瘢痕の診断に用います。正常心筋は早期に造影されて洗い出し(wash out)されますが、線維化しているところは、遅延造影効果を認めることを利用します。
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冠動脈MRA
冠動脈の評価を行います。
位相コントラスト法
弁膜症などの流速測定に用います。