突然死の原因となる心臓疾患、中でも急性冠症候群と言われる不安定狭心症や心筋梗塞は、心臓を栄養する血管である冠動脈の狭窄から閉塞によって起こる病気です。
心臓ドックを受けて、冠動脈が細い、つまり狭窄があると言われた場合、心筋梗塞になって死んでしまうのではないかと、不安になる方もおられると思います。
今回は、冠動脈に狭窄があると言われた場合、治療が必要なのか?さらに検査をする必要があるのか?についてまとめたいと思います。
冠動脈狭窄の有無の前に症状があるかが重要
症状がある場合、心臓ドックではなくて、循環器内科という専門科を受診する必要があります。運動した時に胸が痛くなるという症状などがある場合、狭心症といって心臓の血管(冠動脈)が細く狭窄している可能性があります。
冠動脈が細くなっていると心臓への栄養が行き届きにくくなりますから、より酸素が必要となる運動時に胸痛などの症状で現れることになります。
症状があって、なおかつ冠動脈が細いと言われた。
この場合も、本当に心臓に血液が行き届いていない虚血があるのかを調べる必要があります。
細い=治療がすぐに必要!とは限らないのです。細くても心臓には十分な血液が行き届いていることもしばしばあるからです。
細くても、血管を広げたりする再灌流治療が必要かどうかは、実際に心臓が虚血になっているということを証明する必要があります。その方法は、
- 血管造影で調べる。
- 核医学検査で調べる。
- MRI検査で調べる。
という方法があります。
血管造影で調べる。
血管造影はいわゆる、心臓カテーテル検査で、CAGなどと呼ばれる検査です。透視下で、手の動脈からカテーテルを入れて、心臓を映し出します。冠動脈の狭窄を見つけた場合、狭窄前後の圧変化を測定します。これをFFR:fractional flow reserveといいます。
とされています。
血管内にカテーテルを入れますので、侵襲的な検査に分類されます。
核医学検査で調べる。
心筋血流SPECTと言われる検査です。核医学の薬剤を注射して、画像検査します。
とされています。
MRI検査で調べる。
MRI検査で心臓を調べます。こちらは薬剤を負荷して、造影剤を注射して、MRI装置で検査します。核医学検査と同様に、
とされています。
MRI検査のすぐれた点は、虚血の診断能は核医学検査よりも優れているという点です。PET検査と同等と言われていますが、さらに遅延造影MRIと比較することで、虚血か梗塞かを鑑別できる点は、PET検査よりも優れています。
核医学検査とMRI検査は、注射はしますが、カテーテル検査のように侵襲的な検査ではありません。
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最後に
今回は、冠動脈が細いと言われた場合に、治療が必要となる場合はどのような時かについて説明しました。細い=治療が必要というわけではないということが重要です。
また症状の有無も非常に重要で、症状がある場合は、特に注意が必要です。