ある日突然麻痺が起こる。
前日まで元気に運動をしていたのに・・・。
そういった急に起こる病気で、周期性四肢麻痺というものがあります。
金縛りと思っていたものが、実はこの周期性四肢麻痺だったということも・・・。
難病指定されているものなのですが、どうして起こるのか?気になりますよね。
そこで今回は、周期性四肢麻痺(読み方は「しゅうきせいししまひ」英語表記で「periodic paralysis」)について
- 原因
- 症状
- 診断
- 治療法
をご説明いたします。
周期性四肢麻痺とは?
発作的に四肢麻痺(四肢や体幹の骨格筋に脱力)が起こり、それが数時間〜数日間続き、自然に回復する疾患です。
病名には周期性とついていますが、発作は不規則に起こります。
- 遺伝性(一次性)周期性四肢麻痺・・・あるタンパク質の遺伝子異常により起こる
- 二次性周期性四肢麻痺・・・他のホルモン異常などの原因により、筋肉のあるタンパク質に二次的に影響を及ぼして起こる
とがあります。
周期性四肢麻痺の原因は?
周期性四肢麻痺の原因は、遺伝性(家族性)周期性四肢麻痺と二次性周期性四肢麻痺とで異なります。。
- 血清カリウム値の異常
- 遺伝
- 激しい運動
- 暴飲暴食
- 寒さ
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺異常
- 電解質異常
- バセドウ病
上記以外に、誘因として、激しい運動や暴飲暴食をした翌日に起こることがあります。
暴飲暴食としては、過度な飲酒や炭水化物・塩分・糖質の多い食事などが関係します。
また、高カリウム血症の場合は、急な冷え込みによる寒さで体温が低下することで起こったり、深夜から早朝にかけて起こることが多いのも特徴です。
甲状腺機能亢進症に伴った低カリウム性周期四肢麻痺で、バセドウ病も原因としてありますが、内分泌疾患である甲状腺異常や電解質異常が原因です。
周期性四肢麻痺の症状とは?
周期性四肢麻痺の症状は、四肢脱力発作が特徴です。
- 脱力
- 筋痛
- 発汗
- 頭痛
- 悪心
- 熱感
- 朝起き上がれない
- 歩行不能
金縛りと間違ってしまうこともあるこの症状、ある朝突然発作的に起こり、意識はあるのに体が動かないという状態になります。
しかも、この症状は片側でなく、両側に起こります。
好発年齢は、小児から30代男性に多く、症状は数時間~数日で回復します。
数時間などという短時間の場合、金縛りにあったと感じてる人が、実は周期性四肢麻痺だったということもありえます。
この症状、前兆がなく、突然起こるというのが怖さでもあります。
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周期性四肢麻痺の診断は?
この周期性四肢麻痺は、繰り返すのが特徴なので、きちんと検査をして診断・治療を行うことが大切です。
発作時の血清カリウム値を調べることで診断可能ですが、この発作を検査時に誘発させる必要があります。
- 飽食試験
- インスリン・糖分を点滴
- カリウム液投与
また、甲状腺の検査をするのも1つの方法です。
組織の一部を採取する筋生検や遺伝子検査で確定診断を行うこともあります。
周期性四肢麻痺の治療法は?
低カリウムが原因の場合は、カリウムを高くすることが必要で、高カリウムの場合には、カリウムを低くする必要があります。
カリウム値を正常にすることが大切で、内服治療が行われ、発作を予防することにつながります。
また、同時に激しい運動や低温に気をつけることで予防することもできますし、食事の見直しも大切です。
- 低カリウムの場合は、カリウムの経口投与
- 高カリウムの場合は、発作時にブドウ糖接種やインスリンやカルチコール注射
が効果的です。
甲状腺機能亢進症の場合には、そちらの専門的治療が有効です。
しかし、遺伝性のものは完治が難しく、難病指定される理由でもあります。
発作が起きた時の対処法としての治療となりますが、多くの場合筋力低下を残さずに回復し、成長に応じ発作の回数は減少してきます。
参考文献:
病気がみえる vol.7:脳・神経 P314・315
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P349・350
参考サイト:難病情報センター 遺伝性周期性四肢麻痺
最後に
- 周期性四肢麻痺は発作的に四肢の脱力麻痺等が起こる疾患
- 血清カリウム値の異常が原因
- 遺伝や甲状腺異常なども原因となる
- 暴飲暴食や激しい運動が誘因となる
- 発作時の血清カリウム値を調べて診断する
- カリウム値を正常に保つことが治療になる
- 発作時に対処法を行う方法もある
親のどちらかが周期性四肢麻痺の場合、子供にも遺伝する可能性があります。
2分の1という確率で現れるため、幼少期は子供と一緒に寝て、両親が注意してあげることも必要です。