女性の場合、毎月の生理の異変でさまざまな疾患に気づくことがありますが、今回は、子宮筋腫の症状についてのお話です。
とくに、子宮筋腫は30代〜40代の女性に好発する疾患となっています。1)
子宮筋腫は、症状がない場合もありますが、症状がひどいと貧血にまでなり、強い痛みなどから日常生活に支障をきたすことがある疾患です。
しかし、女性にとって婦人科の壁はなかなか高く、一歩踏み出す勇気がなく、症状を放置してしまっている場合も多いと思います。
今回は、
- 子宮筋腫の症状
- おりものの増加も関係があるのか
- 子宮筋腫の種類と症状の関係について
- 子宮筋腫をセルフチェック!
- 子宮筋腫の原因
これらについてわかりやすく説明していきますね。
子宮筋腫の症状は?おりものの増加も関係ある?
最近おりものも増加しているのですが関係がありますか?
子宮筋腫の症状について詳しく説明しますね。
子宮筋腫の主な症状は以下です。1)2)
- おりものの増加
- 過多月経
- 過長月経
- 鉄欠乏性貧血
- 月経困難症
- 圧迫症状
- 不妊
子宮筋腫の症状の大半は、無症状であることが多く、サイズが小さくて症状がない場合は3〜6ヶ月ごとの定期的な経過観察でよい場合もあります。3)
無症状の場合は、気付いた時点で筋腫が大きくなりすぎていたり、茎捻転になると急激な腹痛が起きる急性腹症をきたすこともあります。
では、これらの子宮筋腫の症状についてそれぞれわかりやすく解説いたしますね。2)
おりものの増加
筋腫が子宮内膜にできている場合、おりものが増加することもあります。
正常なおりものは、適度な粘り気があり、空気に触れると黄色っぽくなるものです。4)
子宮筋腫の場合、おりものに血が混じったり茶色っぽい色をしていることもあります。
(子宮筋腫ではない場合でも量が増えたり血液が混じることがあります。)
不正出血
生理ではない時に出血があることを不正出血といいます。
おりものと同様に筋腫が子宮内膜にできている場合に、不正出血が起こることがあります。
過多月経
過多月経とは、生理期間中に140ml以上の出血があることです。
実際には、出血量を計ることは難しいため、過多月経を反映する指標は鉄欠乏性貧血(ヘモグロビンの低下・血清Feの低下)となります。
過長月経
過長月経とは、生理が8日以上続くことです。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は、子宮筋腫の場合、過多月経で出血量が多い場合に起こります。
月経困難症
月経困難症の症状には、下腹部痛・腰痛・腹部膨満感・悪心・頭痛がありますが、子宮筋腫の場合、月経時の下腹部痛や腰痛・腹部膨満感が起こります。
圧迫症状
巨大な筋層内筋腫や漿膜下筋腫の場合、周辺の臓器を圧迫することがあります。
それぞれ圧迫される臓器によって症状が違いますので、それぞれについてみてみましょう。5)
不妊
筋腫によって受精卵の着床が障害されると、不妊症の原因となることもあります。6)
子宮筋腫があっても、妊娠できることもありますが、リスクのある場合があります。
では、子宮筋腫の種類とその症状について詳しくみてみましょう。
子宮筋腫の種類と症状の関係
子宮筋腫には
- 粘膜下筋腫
- 筋層内筋腫
- しょう膜(漿膜)下筋腫
これらの3種類があり、その種類によって症状が違います。
粘膜下筋腫 | 筋層内筋腫 | 漿膜下筋腫 | ||
5〜10% | 約70% | 10〜20% | ||
子宮内膜直下に発生し、子宮腔内に向けて発育 | 筋腫が子宮筋層内に発生する | 筋腫が子宮漿膜直下に発生する | ||
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有茎性粘膜下筋腫の場合
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有茎性漿膜下筋腫の場合
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粘膜下筋腫の場合は、筋腫が子宮を圧迫することで、症状が強く出やすくなり、さらに不正出血やおりものの増加などの症状が出やすくなります。
有茎性粘膜下筋腫と有茎性漿膜下筋腫は、筋腫が茎のようなもので子宮に繋がっている状態のものです。
有茎性粘膜下筋腫の場合は、筋腫を子宮から排除しようとして陣痛のような下腹部痛が起こり、子宮口から膣腔内に突出してしまう筋腫分娩となることもあります。
その場合は、持続性の出血が起こります。
漿膜下筋腫とは、子宮の外側にある漿膜にできるものですが、有茎性漿膜下筋腫の場合は、茎の部分がねじれてしまう茎捻転になってしまうことがあります。
その場合、急激な腹痛が起こる急性腹症やショック状態に陥ることがあります。
子宮筋腫の赤色変性でも急性腹症に・・・詳しくはこちら→子宮筋腫の赤色変性とは?突然の腹痛の症状の原因となる?
では、種類と症状についてわかったところで、次は子宮筋腫の症状からチェックしてみましょう。
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症状から子宮筋腫をセルフチェック!
子宮筋腫の症状は上記で説明しましたが、もっと具体的な症状からセルフチェックしてみましょう。
- 生理の出血量が多い
- 生理の出血時にレバー状のかたまりが出る
- 生理痛がひどい(下腹部痛・腰痛)
- 生理期間が8日以上
- 生理時の貧血(めまい・動悸・息切れ・立ちくらみなど)
- 下腹部の膨満感
- 下腹部にこぶのようなしこりを感じる
- 排尿トラブル(頻尿・尿漏れ・尿が出にくい)
- おりものの量が増えたり血が混じることがある
- 避妊していないがなかなか妊娠できない
上記のような症状がある場合は、一度婦人科を受診しましょう。8)
子宮筋腫の原因って何?
子宮筋腫の原因がわかれば、予防することもできそうなものですが、今のところ、原因や発生過程についての詳細は解明されていません。1)
子宮筋腫は、おもに、子宮筋層内の平滑筋成分から発生し、ホルモンと結合するホルモンレセプターを持っています。
そのため、女性ホルモン(エストロゲン)の働きによって、ホルモンと結合することで増殖しますので、性成熟期(30〜40代)に好発する疾患です。
また、ホルモンの分泌が減る閉経期をすぎると退縮することが多くなります。
参考)
1)婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック P196
2)病気がみえるvol9 婦人科・乳腺外科 P134
3)婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック P197
4)女性の健康ハンドブック 石川県・石川県医師会 P11
5)病気がみえるvol9 婦人科・乳腺外科 P135
6)病気がみえるvol9 婦人科・乳腺外科 P237
7)病気がみえるvol9 婦人科・乳腺外科 P133-135
8)厚生労働省 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 子宮筋腫チェック
最後に
では、今回の内容をおさらいしてみましょう。
- 子宮筋腫の主な症状は
- おりものの増加
- 不正出血
- 過多月経
- 過長月経
- 鉄欠乏性貧血
- 月経困難症
- 圧迫症状
- 不妊
- 子宮筋腫には3種類ある
- 子宮筋腫の種類によって症状が異なる
- 子宮筋腫をセルフチェックして異常がある場合は早めに受診を
- 子宮筋腫の原因の詳細は解明されていない
いかがでしたでしょうか?
子宮筋腫は良性といっても、放置すると筋腫が拡大したり、不妊につながる可能性があります。
さまざまな支障が出る場合もありますので、生理痛などの症状を我慢せず、一度婦人科を受診しましょう。