子宮筋腫と診断されても、良性なんだから命に関わることってないんでしょ?と、軽く思われがちですよね。でも、放っておくと危険な場合もある子宮筋腫。
実は知人が、子宮筋腫を長年患っていたものの、まだ子供を産んでいなかったため、生理をコントロールする薬を服用することで、放置してきたんですが、お腹が固くなって、腹痛などの症状がひどくなった為、詳しい検査をすると、筋腫はハンドボール並みの大きさにまで拡大。子供を諦め、子宮摘出すると、それが筋腫ではなく、肉腫だったことが分かり、最悪な結果につながりました・・・。
今回は、そんなことにならないために、子宮筋腫の治療法、手術は筋腫がどれくらいの大きさになったらした方がいいのか?手術の種類などについてご説明したいと思います。
子宮筋腫の治療方法とは?
- 手術療法
- 薬物療法
- 子宮動脈塞栓療法
①手術療法
手術には、開腹手術や、内視鏡手術などの方法があります。また、手術には子宮を全部取る全摘術と、筋腫だけを取る核出術とがあります。GnRHアナログという薬を使って筋腫を少し小さくしてから手術をするという方法もあります。
②薬物療法
薬物を使う治療で、ホルモン剤を用います。また、閉経逃げ込み療法といって、女性ホルモンの分泌が治まると筋腫の成長も止まることから、閉経を待つという場合もあります。そうした場合にも薬を使用している間だけ、筋腫を小さくしたり症状悪化を防げるGnRHアナログを使用する場合もあります。
③子宮動脈塞栓療法
子宮筋腫を切らない治療法として、子宮動脈塞栓療法(UAE)やMRIガイド下集束超音波療法(FUS)といった治療法も一般的になってきました。
薬物療法のGnRHアナログとは?
人工の性腺刺激ホルモン放出ホルモンで、耳鼻科で用いられる点鼻薬のように鼻に薬を吹きかけて使います。1日3回決まった時間に使用し、薬を使用している間だけ、一時的にコントロールできるもので、子宮筋腫の成長を止めたり、筋腫を小さくする効果があります。
しかし、長期間使用すると、骨粗鬆症につながったり、更年期症状のような症状が出る場合がありますので、半年前後の短期間の使用がすすめられています。
私はこの薬を子宮内膜症の治療として半年間、生理を止めるために使用しました。
[adsense]
筋腫がどれくらいの大きさになったら手術は必要?
- 筋腫の大きさが握りこぶし(6~7cm)以上になったら
- 貧血が強い場合
- 圧迫症状(頻尿や便秘)
- 不妊や不育の治療として
- 悪性(子宮肉腫)が疑われる場合
子宮筋腫を患う患者さんは、出産前だったり、子供がまだ小さかったり、働き盛りだったりの30代~50代くらいまでの女性に多く、出来る限り手術をしたくないと言う方が多いため、手術の判断は慎重になります。しかし、以上のような症状が現れてる場合には、手術をすすめています。
関連記事)月経困難症とは?症状は?治療法は?
手術は子宮を取らなきゃいけないの?
- 開腹手術
- 膣式子宮全摘術
- 腹腔鏡下手術
- 子宮鏡下筋腫核手術
開腹手術
お腹を開く手術で、子宮全摘出する場合と、筋腫だけを取る筋腫核出術とがあります。筋腫が大きく、腹腔鏡での手術が難しい場合に行われます。ただ、手術執刀医にとっては大きくお腹を開くため、見やすく安全で確実に行うことができます。
膣式子宮全摘術
お腹を切らない手術で、経産婦の場合に行われることの多い手術で、膣から子宮を摘出する手術です。こぶし大くらいの大きさまでの筋腫の場合可能で、筋腫が大きすぎる場合は、開腹手術になることもあります。
腹腔鏡下手術
妊娠を望む場合や、傷痕を小さくできるだけ早く社会復帰をしたい場合に行われる手術で、全摘する場合と、核出の場合とありますが、どちらも医師の高度な技術が必要となります・
子宮鏡下筋腫核出術
子宮鏡を用いて行う手術で、お腹も子宮も傷つけず、子宮の内側から筋腫だけを削り取る手術です。但し、対象となるのは粘膜下筋腫になります。子宮にもお腹にもメスを入れないため、生理が始まればすぐに妊娠することも可能です。ただ、腹腔鏡以上に難しく、執刀できる医師が少ないのも現状です。
関連記事)子宮筋腫の赤色変性とは?突然の腹痛の症状の原因となる?
最後に
- 子宮筋腫の治療には、手術療法・薬物療法・子宮動脈塞栓療法という3つの方法がある
- 薬物療法のホルモン療法として、GnRHアナログという薬を、閉経逃げ込み療法としたり、手術する前に一時的に使用する場合もある
- 子宮筋腫の大きさが握りこぶし以上(6~7cm)になったら手術は必要
- 開腹手術・膣式子宮全摘術・腹腔鏡下術・子宮鏡下筋腫核出術という手術方法がある
入院期間を短く、傷を小さく済ませたい場合、腹腔鏡下術や子宮鏡下筋腫核出術がおすすめで、4日~1週間ほどで退院できます。また、膣式子宮全摘術は1週間前後、開腹手術は10日~2週間ほどの入院期間となります。