胃カメラで萎縮性胃炎と言われたら?ピロリ菌との関係・胃がんリスクと検査の間隔

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)の結果に「萎縮性胃炎」「萎縮あり(C-2)」などと書かれていると、胃がんになるのではないか、と不安になる人は多い。

結論からいうと、萎縮性胃炎の多くはピロリ菌の長い感染でできた胃の粘膜の変化で、萎縮が広いほど胃がんのリスクは高くなる。しかし、萎縮があるだけで胃がんと診断されたわけではなく、ピロリ菌の検査と、定期的な胃カメラで見守ることが大切である。

この記事では、萎縮性胃炎とは何か、木村・竹本分類の読み方、ピロリ菌との関係、除菌後も胃カメラが必要な理由、検査を受ける間隔と受診先を整理する。

胃カメラで「O-2の萎縮性胃炎」と言われました。もう胃がんなんでしょうか?

萎縮性胃炎があることと、胃がんがあることは別です。ただ、O型の萎縮は広い範囲に萎縮が進んでいる状態なので、胃がんのリスクが高い人として、ピロリ菌の確認と定期的な胃カメラが大切になります。消化器内科で相談してくださいね。
この記事のポイント

  • 萎縮性胃炎は、ピロリ菌の感染などで胃の粘膜がうすくなった状態である。
  • 木村・竹本分類では、萎縮の範囲をC-0〜C-3(閉鎖型)とO-1〜O-3(開放型)に分け、O型ほどリスクが高い。
  • ピロリ菌に感染していれば、除菌がすすめられる。ただし、除菌後も胃がんのリスクは残る。
  • 受診先は消化器内科。検診としては、50歳以上で2〜3年ごとの胃内視鏡が目安とされる。

萎縮性胃炎とは

胃の内側の粘膜は、ふだんは厚みがあり、胃酸や胃液をつくっている。萎縮性胃炎は、この粘膜が長い間の炎症でうすくなり、胃液をつくる力が落ちた状態をいう。日本では、原因の多くがピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染と考えられている。

ピロリ菌に長く感染していると、萎縮は少しずつ広がっていく。内視鏡でこの範囲を見て、広がりの程度を記号で示すのが、木村・竹本分類である。胃カメラの結果に「C-1」「O-2」などと書かれているのは、この分類にもとづく記載である。

なお、胃カメラの結果には、萎縮のほかに「腸上皮化生」「びらん」「ポリープ」などが書かれることもある。胃カメラの検査そのものについては上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)とは?目的や所見の判定についてを参照してほしい。

胃カメラと胃の位置の図

木村・竹本分類の見方

木村・竹本分類による胃粘膜萎縮の程度(C型・O型)

木村・竹本分類は、内視鏡で見た萎縮の広がりを、次のように分ける。

  • C-0:萎縮がない
  • 閉鎖型(C型):C-1・C-2・C-3:萎縮の広がりが比較的せまい。数字が大きいほど広い
  • 開放型(O型):O-1・O-2・O-3:C型より萎縮が広い範囲に及んでいる。数字が大きいほど広い

研究では、萎縮の程度を「なし〜軽度(C-0・C-1)」「中等度(C-2・C-3)」「高度(O-1・O-2・O-3)」の3つにまとめることがある(Miwata 2015)。まとめ方は研究によって少し異なる。

萎縮が広いほど、胃がんになるリスクは高い。2020年に発表された系統的レビュー(14件の研究のメタ解析)では、内視鏡で高度の萎縮がある人は、そうでない人と比べて胃の腫瘍ができるリスクが約3.9倍(リスク比3.89)であった。また、O型の萎縮がある人は、C型の人よりも胃がんのリスクが高く、リスク比は8.02であった(Xiao 2021)。この論文は、高度またはO型の萎縮がある人は、慎重に経過を見ていくべきだと結論づけている。

ピロリ菌との関係と胃がんのリスク

日本で行われた約1,500人の追跡研究(Uemura 2001)では、平均7.8年の観察で、ピロリ菌に感染していた1,246人のうち36人(2.9%)に胃がんができた。一方、感染していなかった280人からは、胃がんは1人も見つからなかった。感染している人の中でも、高度の萎縮、胃の体部を中心とした胃炎、腸上皮化生がある人は、とくに胃がんのリスクが高かった。

つまり、萎縮性胃炎は「ピロリ菌の感染が長く続いた」という目印であり、胃がんの危険度を知る手がかりになる。ピロリ菌についてはピロリ菌とは?症状や検査、除菌方法についてで詳しく説明している。

ピロリ菌を除菌すれば、胃がんの心配はなくなりますか?

除菌でリスクは下がりますが、ゼロにはなりません。とくに萎縮が進んでいた人は、除菌後も胃がんができることがあります。除菌に成功したあとも、定期的に胃カメラを受けてくださいね。

ピロリ菌の検査と除菌

胃カメラで萎縮性胃炎と言われたら、まずピロリ菌に感染しているか、または過去に感染したことがあるかを確かめる。日本ヘリコバクター学会の2016年改訂ガイドラインでは、ピロリ感染症は除菌の適応とされており、日本では2013年からピロリ菌感染胃炎の除菌治療が健康保険の対象になっている(Kato 2019)。診断方法には、血清ペプシノゲン検査、内視鏡検査、X線検査なども加えられた。

除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗菌薬を、1週間のんで行う。薬の種類や量は、医師が決める。治療後は、除菌できたかを確認する検査を受ける。

除菌の効果を示した日本の研究(Fukase 2008)では、早期胃がんを内視鏡で切除した患者544人を、除菌する群としない群に分けて3年間みたところ、胃の別の場所に新しくできた胃がんは、除菌群で9人、対照群で24人と、除菌群で少なかった(ハザード比0.339)。除菌には、胃がんの予防につながる効果がある。

除菌後も胃がんのリスクは残る

ただし、除菌しても胃がんのリスクがゼロになるわけではない。日本の内視鏡クリニックで除菌後に定期的な胃カメラを受けた1,232人の報告(Toyoshima 2017)では、胃がんの累積発生率は2年で1.0%、5年で2.6%、10年で6.8%であった。発見された胃がんは、すべて粘膜内にとどまる、20mm未満の早期がんであった。リスクが高かったのは、年齢が高い人と、内視鏡での萎縮が強い人であった。

早期に見つけて内視鏡で治療できるように、除菌に成功した人も、定期的に胃カメラを受けることが大切である。

胃カメラを受ける間隔と受診の目安(何科)

胃がん検診としての胃内視鏡検査は、国立がん研究センターの「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン(2014年度版)」で、対策型検診・任意型検診として推奨されている。検診の対象は50歳以上が望ましく、間隔は2〜3年とすることが可能とされている。

萎縮性胃炎と言われた人は、胃がんのリスクが高い人にあたる。実際の間隔は、萎縮の程度、年齢、ピロリ菌の状態、除菌したかどうか、ポリープや腸上皮化生など他の所見の有無で変わるので、胃カメラを行った医師に確認してほしい。

受診先は、消化器内科である。次のような場合は、早めに相談してほしい。

  • 胃カメラで高度の萎縮(O型)を指摘された
  • ピロリ菌の検査をまだ受けていない
  • 除菌後で、数年以上胃カメラを受けていない
  • 胃の痛み、もたれ、食欲が落ちる、体重が減る、黒い便が出るなどの症状がある

胃カメラで胃の組織を採取(生検)したと言われた場合は、胃カメラで生検ありと言われたら?念のための意味・結果日数・注意点を解説が参考になる。胃ポリープが見つかった場合は胃ポリープとは?種類別の原因・癌化のリスク・治療と経過観察をイラストで解説を参照してほしい。

自分でできること

  • ピロリ菌の検査を受ける:感染の有無がわかれば、次の対応が決まる
  • 除菌後も、決められた間隔で胃カメラを受ける
  • 胃カメラの結果用紙を保管し、次に受ける医療機関に見せる:萎縮の程度の変化を比べられる
  • 症状があれば、検診を待たずに受診する

よくある疑問

Q1. 除菌すれば、萎縮性胃炎は治る?
A. 日本の83人の報告(Toyoshima 2020)では、除菌に成功して平均256日後の胃カメラで、胃粘膜の赤みやひだの腫れは改善したが、萎縮と腸上皮化生の内視鏡スコアは変わらなかった。除菌後も胃がんのリスクは残るため、胃カメラで経過を見る必要がある。

Q2. 除菌したら、胃カメラは受けなくてよい?
A. 受け続けることが大切である。除菌後に胃カメラで経過を見た日本の報告では、10年で6.8%に胃がんが見つかっている(Toyoshima 2017)。

Q3. 血液検査(ペプシノゲンやピロリ抗体)だけでは足りない?
A. 国立がん研究センターのガイドラインでは、ペプシノゲン検査やピロリ抗体検査は、死亡率を減らす効果を示す証拠が足りず、対策型検診としての実施は推奨されていない(推奨グレードI)。胃がんの検診としては、胃内視鏡検査(推奨グレードB)が基本である。

参考文献

  • Xiao S, et al. Endoscopic grading of gastric atrophy on risk assessment of gastric neoplasia: A systematic review and meta-analysis. J Gastroenterol Hepatol 2021. PubMed 32656803
  • Miwata T, et al. Interobserver and intraobserver agreement for gastric mucosa atrophy. BMC Gastroenterol 2015. PubMed 26239636
  • Uemura N, et al. Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med 2001. PubMed 11556297
  • Fukase K, et al. Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer. Lancet 2008. PubMed 18675689
  • Toyoshima O, et al. Endoscopic gastric atrophy is strongly associated with gastric cancer development after Helicobacter pylori eradication. Surg Endosc 2017. PubMed 27604367
  • Toyoshima O, et al. Helicobacter pylori eradication improved the Kyoto classification score on endoscopy. JGH Open 2020. PubMed 33102763
  • Kato M, et al. Guidelines for the management of Helicobacter pylori infection in Japan: 2016 Revised Edition. Helicobacter 2019. PubMed 31111585
  • 国立がん研究センター. 有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン 2014年度版. https://canscreen.ncc.go.jp/guideline/iganguide2014_150421.pdf
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。気になる症状や結果があれば、医療機関に相談してください。