brain

脳には様々な部位に分かれ、それぞれ分類や働きが異なりますが、生命維持・人間としての人格・全身運動を司る重要な部位です。

その中で、大脳半球の中心に位置する間脳とは一体どういう部位で、どういう働きをするのでしょうか?

今回は、間脳(英語表記でDiencephalon)について

  • 構造
  • 働き
  • 症状

をイラストや図を用いてわかりやすくご説明したいと思います。


間脳とは?

間脳は、大脳半球の中心かつ、大脳と中脳をつなぐ位置(間)にある灰白質の塊で第三脳室を囲む部分です。

そして間脳は、視床上部・視床・視床下部からなるそれらの総称でもあります。

diencephalon

医師
図で見ると、このようになっています。

diencephalon

視床下部の下には下垂体があり、下垂体はホルモン分泌をコントロールしています。

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間脳の働きは?

医師
上記でご説明した、構造別にそれぞれの機能をお話ししていきます。

視床上部

epithalamus

手綱(たづな)・松果体(しょうかたい)からなる視床上部は、嗅覚に関する働きや脳幹との連絡機能を持ちます。

また、メラトニンの合成・分泌により、体内時計を調整する働きをします。

視床

thalamus

  • 感覚情報の中枢
  • 運動機能調節の補助

全身の感覚や目で見る視覚や耳で聞く聴覚など、臭覚以外の全ての感覚情報を集める中枢核が存在します。

つまりは、感覚入力知覚刺激情報をこの視床で認識し、大脳皮質、大脳基底核に伝達する働きがあります。

視床下部

hypothalamus

  • 自律神経の中枢
  • 内分泌系の中枢
  • 本能行動の中枢

視床下部は、多くの神経核が存在し、人間が生きていくうえで非常に重要な(生命活動)自律神経の最高中枢となっていて、分かりやすく言うと、

  • 内臓の制御
  • 血圧の制御
  • 心拍数の制御
  • 摂食行動や飲水行動
  • 浸透圧の調節
  • 睡眠
  • 性行動
  • 子宮収縮
  • 乳腺分泌
  • 体温調整
  • 情動行動の調節
  • ホルモン分泌

などを行っています。

下垂体

glandula-pituitaria

  • 内分泌機能

視床下部ホルモンの刺激を受けて、内分泌器官でたくさんのホルモンを分泌します。

それによって、効率よく血液の流れに乗って全身に運ばれることとなります。

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下垂体から分泌されるホルモンは以下のようなものがあります。
  • 成長ホルモン
  • 副腎皮質刺激ホルモン
  • 甲状腺刺激ホルモン
  • プロラクチン
  • 黄体形成ホルモン
  • 卵胞刺激ホルモン
  • メラニン細胞刺激ホルモン
  • オキシトシン
  • バソプレッシンまたは抗利尿ホルモン

 

それにより

  • 成長促進
  • 代謝
  • 乳腺の発育(乳汁産生・分泌)
  • 生殖器発達(二次成長・精子産生・月経)

など、全身から骨、乳腺や性器などに作用します。

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間脳が障害を受けた場合に起こる症状

間脳は、全身に影響を与えるで重要な機能を司る部位です。

障害によっても異なりますが、人間らしさや通常の生命活動を行う上で、様々な障害が現れることになります。

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例えば、以下のような症状があります。
  • 肥満
  • 摂食障害
  • 低ナトリウム血漿や高ナトリウム血漿
  • 激痩せ
  • 体温調節障害
  • 発汗異常
  • 情動の障害
  • 認知機能障害
  • 睡眠障害
  • 感情機能の破壊
  • 性欲の抑制と亢進

下垂体を全部摘出してしまった場合は高頻度に肥満となります。

また、視床下部の障害摂食障害や低ナトリウム血漿(ナトリウムの値が130mEq/l以下)や高ナトリウム血漿(150mEq/l以上)になります。

そして、間脳症候群ではひどい痩せかたをしたり、体温調節が出来なくなるとアイスバックが手放せなる生活を送ることになったり、その他様々な症状が現れます。

間脳症候群とは?(diencephalic syndrom)

間脳症候群とはラッセル症候群とも呼ばれることがあり、間脳に存在する主に脳腫瘍(脳腫瘍の中でも胚腫(Germinoma)が最も有名)により、

  • 著明な痩せ(体重減少)
  • 嘔吐
  • 視神経萎縮
  • 蒼白
  • 多幸症・快活
  • 活動過多
  • 高血圧
  • 低血糖

の組み合わせが症状として起こることを言います。

最後に

  • 間脳は、第三脳室を囲む灰白質の塊
  • 視床上部・視床・視床下部の3つの部位から構成されている
  • 視床は、臭覚以外の全ての感覚情報を集める中枢核
  • 視床下部は、人間が生きていくうえで非常に重要な(生命活動)自律神経の最高中枢となっている
  • 下垂体は、内分泌機能により、たくさんのホルモンを分泌している
  • 間脳が障害されると、様々な感覚が制御不能となったり、ホルモン分泌機能にも影響が出る

 

今回ご紹介した症状はほんの一部で、細かく言うと、もっと様々な症状が起こりうる可能性があります。

また、脳は一部が障害を受けただけで、他の部位との連携がうまくいかなくなり、それによって起こる症状も様々で、生命の危機を伴うことも多々あります。

特に、間脳は多くのホルモンを分泌する部位でもあります。

それが障害されると、感情表現まで阻害され、人格が変わったかのように見られることも・・・。




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