人間ドックでも行われる上部消化管内視鏡検査。
どんな検査?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「胃カメラ」というとピンとくると思います。
ただ、その上部消化管内視鏡検査はなんのために行い、どういう所見からどう判定するかなど、素人からするとわからない部分も多いですよね?
そこで今回は、上部消化管内視鏡検査(英語表記で「Gastrofiberscope」略語で「GFS」)について
- 目的
- 所見の判定
- 事後管理
などを解説したいと思います。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)とは?
細長い(直径10mm程度)管の先にカメラがついたものを、鼻もしくは口から挿入し、食道・胃・十二指腸の内腔を確認するための検査を上部消化管内視鏡検査といいます。
(鼻から挿入する場合は口からのものより細い管になります)
手順としては・・・
- 消泡剤を投与(胃粘膜表面を見やすくするため)
- 咽頭を麻酔(塩酸リドカイン)
- 鎮痙薬(ブスコパン®︎)を投与(胃の蠕動運動や唾液、胃酸分泌を抑えるため)
- 診察台に上がり、横向きに寝る
- 咽頭の麻酔を追加
- 必要に応じて鎮静薬を投与(ジアゼパム(セルシン®︎、ホリゾン®︎)、ミダゾラム(ドルミカム®︎)など)
- 検査開始(鼻もしくは口から胃カメラを挿入)
という流れになります。
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上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行う目的は?
基本的には、早期癌を発見するために行う検査です。
実際に食道や胃、十二指腸の内部をカメラで鮮明に見ることができるため、X線検査(胃バリウム検査)と比較して診断精度が高くなります。
そして、施行する医師が、実際のリアルタイムの映像を見ながら、
- 炎症
- 出血
- ポリープ
- 潰瘍
- 癌(がん)
などがないかを調べる目的で行われます。
また、異常が見つかった場合、内視鏡に器具を入れてその問題の部分の組織を切り取り、組織検査に回します。
それ以外にも、小さなポリープなどや早期癌ならば、内視鏡で切除してしまうことも可能です。
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上部消化管内視鏡検査所見(胃カメラ)の判定とは?
まず、問題があった所見の部位が、判定結果に記載されます。
- 食道ならば、上部・中部・下部・食道胃粘膜接合部
- 胃ならば、穹窿部・噴門部・体上部・体中部・体下部・胃角部・前庭部そしてさらに、大弯・小弯・前壁・後壁
- 十二指腸ならば、球部・下行脚・乳頭部
に分けられ記載され、そして、咽頭部・下咽頭・口腔にも異常が見つかれば部位と所見を記載されます。
A〜Eのアルファベット表記で結果が記されます。
- A・・・異常なし
- B・・・軽度異常
- C・・・要経過観察・要再検査・生活指導
- D・・・要医療(D1:要治療・D2:要精検)
- E・・・治療中
また、悪性疾患が疑われる際は、記載の仕方に配慮され、隆起性病変・陥没性病変・潰瘍性病変・びらん性病変などと表記されます。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の結果から、事後管理はどうする?
Aは異常ありませんが、Bの場合は、経過観察となることが多いため、自ら意識し定期的に検査を受けるようにしましょう。
C判定と出た場合、検査を受けた医療機関から、適切な医療機関を紹介されます。
放置すると病気が進行してしまうこともありますので、早めの受診をオススメします。
Dの場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
とくに、悪性所見が疑われる場合には、さらに詳しくわかる生検までするのが望ましいとされています。
Eの場合は、現在治療中ということなので、そのまま通院を続けましょう。
参考文献:
人間ドック健診の実際P79〜85
よくわかる検査数値の基本としくみP208・209
パッと引けてしっかり使える 消化器看護ポケット事典[第2版] P194・195
最新 健康診断と検査がすべてわかる本P178〜179
最後に
- 食道・胃・十二指腸を対象とし、鼻や口からカメラを通し内部を観察する検査である
- 実際に鮮明な画像で見ることにより、異常を発見しやすい
- 上部消化管内視鏡は、検査だけでなく、組織を採取したり、小さなポリープを切除することも可能
- 問題があった部位別に、A〜Eと判定される
結果を受けたら、医療機関の指示に従うようにしましょう。
せっかく検査を受けたのにも関わらず、再検査を先延ばしにしていると、検査をした意味がありませんからね。