MRI検査とは、強い磁石と電波を使用し、体内の状態を断面像として撮影する検査です。
この検査をする事で、脳や腰、膝などの病巣を発見することが可能であり、また、色々な病気の早期発見や診断にも有効とされます。
では、MRI検査にかかる時間はどれくらいなのでしょうか?
また、MRI検査でわかることは?
そこで今回は、
- MRI検査にかかる時間、脳・腰・膝・子宮(骨盤)・肝臓の場合
- MRI検査でわかること、脳・腰・膝・子宮(骨盤)・肝臓の場合
以上についてまとめました。
MRI検査にかかる時間は?
MRI検査にかかる時間は、検査する部位・内容・病変の位置などで変わります。
また、MRI検査には単純と造影という2タイプの撮影方法があり、その違いは以下の通りです。
- 造影:腫瘍をより見やすくするために造影剤を投与して行う検査
- 単純:造影剤を用いない検査
造影剤を使用する場合、検査時間が少し延びますが、大幅に変わるということはほとんどありません。
一般的な病院では検査時間を30分ほどに設定しているところが多いですが、これはMRI装置の質などにもよりますので、事前にご利用になる医療機関で確認して下さい。
脳・腰・膝のMRI検査の場合
検査にかかる時間は約20~30分ほど
基本的に概ねMRI装置に入ってからの時間は20分ちょっとくらいです。
- 何種類の撮像法(シークエンス)で撮影するのか
- 造影剤を使うのか
などによって時間は前後します。
腰や膝に限らず、頚椎、胸椎、肩関節、手関節、足関節と言った整形外科領域の撮影も概ね同じ時間がかかります。
子宮(骨盤)・肝臓のMRI検査の場合
検査にかかる時間は約30~40分ほど
施設などにもよりますが、
- 子宮(骨盤)のMRI
- EOBプリモビスト造影剤を用いる肝臓のMRI
の検査の場合は、他の検査に比べてやや時間がかかる傾向にあります。
特に肝臓のEOBプリモビスト造影剤を用いる場合は、肝細胞相と言って造影剤を入れてから15-20分後に撮影する相がありますので、時間がかかります。
以上からお分かりのように部位によって多少の時間の違いはありますが、30分や1時間など違うわけではありません。
MRI検査の検査以外でかかる時間は?
MRI装置に入ってから検査を受ける時間の他に、
- 着替える時間
- 検査の待ち時間
- 造影剤を用いる場合は、注射する時間(血管のルートを確保するのにかかる時間)
などがかかります。
これらは施設にもよりますので、気になる方は受けられる施設に聞いてみてください。
MRI検査でわかることは?
脳のMRI検査の場合
脳MRIは、以下のような頭部の病変の手がかりを調べる検査です。
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血など
頭部MRAと並んで脳ドックで必ず行われる検査となります。
MRIがCTに比べて優れている点は以下の通りです。
- MRI検査では骨の影響を受けないため、鮮明な画像を得る事が可能。
- 小さな脳梗塞や脳幹部の病変なども明確にとらえられる。
- 病変部の位置や状態、病巣の進展範囲の判定が可能。
- X線による被曝の心配がなく安心して検査を受ける事ができる。
脳梗塞や脳出血の症状が発生したとき、まず頭部CT検査を行なうことが多いのですが、脳梗塞の場合、CTで脳の変化が明確に確認できるまでには発病後2~3日を必要とします。
これに対してMRI検査では、発病してから数時間後には変化が確認でき、脳梗塞の早期診断には大変有用な検査とされます。
関連記事)
脳MRIで発見できる主な疾患
無症候性脳梗塞
これは、まったく脳梗塞の症状はないのに、検査で偶然に見つかる脳梗塞のことです。
この病気の特徴は以下の通りです。
- 高血圧や糖尿病、高脂血症など危険因子を持つ人に起こりやすい。
- 症状のある脳梗塞になる確率が高い。
- 脳機能が少し低下し始めている人が多いこともわかっており、将来の認知症の原因となる可能性がある。
無症候性脳梗塞と診断された際は危険因子の治療が最も重要となりますので、医師によく相談してください。
詳しくはこちら→脳梗塞で症状がないことってあるの?無症候性脳梗塞とは?
未破裂脳動脈瘤
原因のほとんどが動脈瘤の破裂によるもので、この動脈瘤とは血管にできた風船のようなこぶで、もともと壁が薄い分岐部にできやすいとされます。
年齢を重ねるごとに膨らみはじめ、破裂するまでは何の症状もありませんが(サイズが大きくなり神経を圧排して症状をきたすことはあります)、多くの場合は、40~50歳代になって、ある日突然破裂することがあります。
その他の疾患
- 無症状の脳腫瘍
- 脳動静脈奇形
- 慢性くも膜下血腫
- 脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)など
腰のMRI検査の場合
腰のMRI検査では、特に、
- 椎間板軟骨
- 脊髄
- 神経根
などを描出することが出来ます。
これらはレントゲンでは見えないところです。
レントゲンのみの診断でぎっくり腰などと判断され、その後1週間以上も状況が改善しない場合などに有用とされます。
X線検査は骨や骨腫瘍などの硬くて精密な組織の撮影に優れていますが、MRI検査では椎間板などの軟骨や靭帯、筋肉、神経といった柔らかい組織を鮮明に映すことが可能です。
- 椎間板がどの程度薄くなっているか
- 神経がどの程度圧迫されているか
- ヘルニアがどの程度飛び出しているか
- 腰椎や関節に炎症が起きているか
- 軟性の腫瘍があるか筋肉や靭帯が損傷しているか
膝のMRI検査の場合
X線検査では確認できない関節内の炎症や、軟骨組織の様子も確認できるため用いられます。
しかし、骨自体は映らない(周囲の臓器や器官との対比で形状は分かる)ため、骨の状態を詳しく調べるのには向いていません。
- 関節軟骨のすり減り具合
- 半月板や靭帯の損傷の有無やその程度
- 神経の状態など
子宮(骨盤)のMRI検査の場合
通常超音波検査で卵巣に子宮内膜症が認められた場合、より詳しく調べるためにMRI検査を行います。
- 子宮や卵巣の様子についても詳しく知ることができ、また癒着の状況・病変の状態や位置が確認ができる。
- 腫瘍の内部の液体の様子も調べることができるため、卵巣がんの鑑別も可能。
また、X線を使用しない検査なので、放射線被曝の心配がなく、妊娠中の女性や若い女性も安心して受けることができます。
ただし、造影剤を使う場合は注意が必要です。
詳しくはこちら→授乳中の人が造影MRIを受けた場合の影響は?
関連記事)
まとめ
- MRI検査にかかる時間は、部位・内容・病変の位置により変わる。
- 一般的な病院では検査時間を30分ほどに設定しているところが多い。
- 脳のMRI検査は、脳梗塞の早期診断には大変有用である。
- 腰のMRI検査では椎間板などの軟骨や靭帯、筋肉、神経といった柔らかい組織を鮮明に映すことが可能である。
- 膝のMRI検査では、関節内の炎症や、軟骨組織の様子も確認できる。
- 子宮のMRI検査では、卵巣がんの鑑別も可能である。
MRI検査にかかる時間の目安がお分かりいただけたと思います。
今回お伝えしたように、MRI検査でわかることもありますが、病状によっては他の検査法(CTやエコーなど)が優れている場合もありますので、まずは医師の診断と判断を仰ぐようにして下さい。
その上で、MRI検査を受け、早期発見、早期の治療開始を心掛けるようにして下さい。