脳梗塞とは、脳へ血液を送る動脈血管が詰まってしまうため脳に酸素などが送られなくり、脳細胞が障害を受ける病気です。
この脳梗塞の前兆として、ろれつが回らなくなりうまく喋れない、めまいや立ちくらみが起こる、目の焦点が合わないなどが起こることがあります。
もしこの様な症状が見られた際は速やかに病院に行く事が大切です。
しかし、病院は何科に行けばいいのでしょうか?
また、検査法はどの様なものでしょうか?
そこで今回は、
- 脳梗塞の検査は何科で受ければいいのか
- 脳梗塞の検査方法、MRI検査はするのか
- 脳梗塞の種類
- 脳梗塞の治療に掛かる費用
以上についてまとめました。
脳梗塞の検査は何科で受ければいい?
脳梗塞を発症したかもしれない!
そんな時は、
- 神経内科
- 脳神経外科
- 脳卒中科
を受診するようにしてください。
脳卒中科は、脳卒中診療を行う科のことです。
もしお近くにこれらの科を掲げている病院やクリニックがなければ、まずはお近くの内科や外科などを受診し紹介ということも可能です。
もし緊急性のある場合には、救急車を要請したほうが良い場合もあります。
主に神経内科と脳神経外科を中心に両科が協力して、救命救急センターを窓口とし、急性期の脳卒中患者さんを24時間体制で受け入れています。
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脳梗塞の検査方法は? MRI検査はするの?
脳梗塞が発症した場合、以下の検査を行ないます。
- 問診、その他
- 一般臨床検査
- 神経学的な診察
- 臨床病型診断
さらに頭部のCT検査、MRI検査といった画像診断が重要になります。
脳梗塞は、脳の血管が詰まりますので、発症から時間が経つほどに梗塞範囲が大きくなってしまいます。
脳が正常に働くためには、十分に血液が流れていることが必要ですので、一刻も早く検査をして、血液の流れをよくする事が大変重要です。
問診、その他
高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙、飲酒、心房細動の有無などをチェック。
一般臨床検査
血液検査、動脈血ガス分析、心電図、胸部X線検査を行う。
神経学的な診察
手足の動きや目の反応・反射などを調べ、脳神経や中枢神経系に異常があるかの有無を確認する検査。
担当した医師により行われる神経診察です。
そして、脳梗塞の疑いが高ければ速やかに頭部CTが実施されます。
(この際にMRI装置がある施設の場合は、MRIが先に撮影されることもあります。)
CT
頭部をX線撮影し、それをコンピューターで処理し、頭蓋骨内の様子を5mm~1cm間隔の輪切りにした2次元画像で映し出す検査です。
MRIに比べて以下の特徴があります。
- 簡便に短時間でできる。
- 脳出血の診断に強い!
- CT装置を置いている病院が多い。
MRIの装置はないけれど、CT装置は置いてあるというクリニックや病院は非常に多くあります。
また簡便に短時間でできるため、日本では多くの施設で、MRIよりも頭部CTをまず撮影されます。
CTは今回のテーマである脳梗塞の診断に弱い点です。
MRI
磁気共鳴診断装置といい、磁気を利用して、体内の水素原子の量と、水素原子の存在の仕方を画像化する検査法です。
MRIでは拡散強調像(DWI)という撮影方法を使うことによって、CTでは映せない小さな脳梗塞や脳幹部の病変を捉えることが可能です。
CTと比べて以下の特徴があります。
- 脳梗塞の診断に強い!
- 時間がかかって簡便とは言えない。
- ペースメーカーがある人など受けられない人がいる。
- そもそもMRI装置を置いていない施設もたくさんある。
ですので、MRIがある施設でもまずCTを撮影して、脳出血を除外。
必要に応じてMRIを撮影するというケースが多いです。
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臨床病型診断
脳梗塞と確定された場合、脳梗塞の種類が以下のいずれであるかの臨床病型診断が行なわれます。
- ラクナ梗塞
- アテローム血栓性脳梗塞
- 心原性脳塞栓症
最終的な治療の進め方はこの段階の診断に基づいて下されますので、ここでの検査も可能な限り迅速に進める必要があります。
脳梗塞の種類
脳梗塞の種類は、血管の太さや血管の詰まり方によって以下の3つの種類に分けられます。
- ラクナ梗塞
- アテローム血栓性脳梗塞
- 心原性脳塞栓症
症状やその程度は害を受けた脳の場所と範囲により違いがあります。
ラクナ梗塞
ラクナ梗塞とは、脳の中の細い血管が狭くなり詰まる状態のものです。
小さな梗塞ですので、発症して間もない場合はCTで指摘するのは困難な場合があります。
一方MRIの拡散強調像(DWI)では小さな梗塞であっても発見することができます。
梗塞自体はとても小さいのですが、手足の動きに大事な箇所が侵された場合は、手足の麻痺が重症化することがあります。
このタイプは日本人に一番多い脳梗塞で、主に高血圧によって起こります。
ラクナ梗塞について動画でチェックする。
詳しい記事はこちら→【保存版】ラクナ梗塞とは?症状、画像診断、治療をわかりやすく!
アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化(アテローム硬化)で血管が狭くなってしまった太い血管に血栓ができ、血管が詰まるタイプの脳梗塞です。
動脈硬化を促進させてしまう高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病が原因となります。
症状は徐々に進み、一時的に麻痺や言語障害が出ることもありますが、その後改善する場合もあります。
アテローム血栓性脳梗塞について動画でチェックする。
詳しい記事はこちら→【保存版】アテローム血栓性脳梗塞とは?症状、治療や看護のまとめ!
心原性脳梗栓症
心臓に生じた血栓が血流にのり脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰まらせてしまうものです。
最も多い原因としては、不整脈の1つである心房細動があります。
いきなり血管が詰まるため症状は突然に起こり、また太い脳血管が詰まることが多いので症状も重症化しやすいです。
心原性脳梗栓症について動画でチェックする。
詳しい記事はこちら→【保存版】心原性脳梗塞とは?症状、画像診断、治療法のまとめ!
脳梗塞の治療の費用は?
脳梗塞と言っても、手術の有無、また障害の程度、入院期間などにより費用は大きく異なります。
比較的障害や症状が軽く、後遺症がほとんどなく早期に退院できる場合は1~2週間程度の入院が一般的です。
しかし、平均的な入院期間は3~4ヶ月となります。
後遺症などが残っていても、それ以上の長期入院は現在の医療制度上では勧められておらず、一度退院し、その後にリハビリに通うのが一般的です。
リハビリをしながら、継続的に通院し、再発予防に定期的に検査を受けたり服薬を続けていくことが必要になります。
費用の目安
脳梗塞で入院した場合に1日あたりの治療費は平均して1日23,000円程度、3割負担であれば6,900円くらいが目安です。
健康保険に加入していても、脳梗塞の治療費総額は平均約2,500,000円程となり、たとえ3割負担でも脳梗塞の治療で約750,000円程というかなりの高額になってしまいます。
そのためにある制度が、高額療養費制度です。
2017年3月現在でのデータです。
高額療養費制度
この高額療養費とは、同一月に負担した医療費の自己負担額が一定以上の額になったとき、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻されるという制度のことです。
本来の治療費の自己負担部分に対して、患者さんの所得に応じて負担額に制限がかかるというものです。
治療費以外の費用
脳梗塞は再発率も高く、生活習慣自体を大きく変えていかなければいけない病気でもあります。
また、治療費以外に以下の費用も考えておく必要があります。
- リハビリに定期的に通う必要がある場合にかかる交通費
- 車椅子での生活になった場合には家のリフォームの費用など
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まとめ
- 脳梗塞の検査は脳神経外科、脳卒中科、脳神経内科を受診する。
- MRIがある施設でもまずCTを撮影し、脳出血を除外、必要に応じてMRIを撮影するというケースが多い。
- 脳梗塞のタイプには、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞がある。
- 脳梗塞の費用は、手術の有無、また障害の程度、入院期間などにより大きく異なる。
脳梗塞は命に関わり、1分1秒に左右される病気です。
治療を一刻も早く行なう事でその後の後遺症の程度に影響がでてきます。
ですから、脳梗塞の前兆があれば速やかに脳神経外科、脳卒中科、脳神経内科を受診するようにしてください。