「がん検診として用いられるPET検査は被曝量が少ないから安心!安全。」と言われることがありますが、PET-CT検査となると少し話は別です。
PET検査とPET-CT検査は別だということです。
PET-CT検査=PET検査+CT検査ということです。
ですので、PET-CT検査の場合、PET検査による被曝に加えて、CT検査による被曝も加わります。
そして現在国内のPET装置の8割がPET-CT装置です。
今回はPET-CT検査の被曝量についてまとめてみました。
PET-CT検査で被曝量が増える理由は?
PET検査による被曝量は?にも記載したようにPET検査だけだと、異常な集積があっても、それがどこに相当するのかわからない(わかりにくい)ことがあります。
PETの画像はこのような全体像の写真ででてくるからです。
そこで体の輪切りスライスで撮影したCTとPETの画像を合わせて診断をするのPET-CTです。
こちらは単なるCTの画像。
これに、PETの画像を融合(fusion)させると、このようになります。
色がついて、一気にわかりやすくなりますよね。
実際、診断能も一気に上がりますので、PET-CT検査ががん検診でも一般的に撮影されます。
上のようにPET検査+CT検査→PET-CT検査というわけです。
そして最初に述べたように、国内のPET装置のうち、8割がPET-CT装置なのです。
(ただし、PET-CT装置であってもPETのみを撮影することは可能です。)
PET-CT検査の被曝量は?
上で、説明したように、診断能に優れたPET-CTの画像を得ようとすると、PET検査とCT検査を融合させる必要があります。
そして、この各々が被曝する検査です。
以前に比べると減ってきたとはいえ、とくにこのCTが被曝量が高いんですね。
PET-CT検査ではPET検査による内部被曝(約3.5mSv(ミリシーベルト))とCT検査による外部被曝(数mSv~十数mSv)1)を合わせ、
- おおよそ10-25mSv程度の被曝量
を受けるということになります。
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被曝をとるか?がんの発見をとるか?
被曝してでも、がんが見つかるならば、検査を受けた方がよい(メリットが大きい)ということになります。
ところが、がんが見つかる可能性が極めて低い群に対して、PET-CTを行うのは逆に、被曝によるがんのリスクを高めるとさえいわれます。
とくに、健康でリスクの少ない若い人にPET-CTで人間ドックをやるのはこちらに相当します。
PET-CT 検査の場合、男性 50歳代、女性は50~60歳代以上で、PET-CT検査を受けるメリットが、デメリットを上回ると報告2)されています。
ちなみに、CT検査を行わないPET単体の検査では男性 40 歳代、女性 30 歳代以上で、PET検査を受けるメリットが、デメリットを上回ると報告2)されています。
逆にいれば、これ以下の年齢の人は、デメリットの方が大きい(ので受けない方がいい)ともいえます。
つまり、健康でリスクのない若い人は、とくにPET-CT検査を受ける必要はないということですね。
健康でリスクのない若い人が、毎年PET-CT検査を受けるのは被曝の観点からデメリットの方が大きいということです。
ただし、喫煙者であるといったリスク因子のある人は受けた方がよいと言われます。
自分の年齢とリスク因子を考えた上で、受けるようにしましょう。
最後に
PET-CT検査は、一度で全身のがん検診ができる上に、CT検査と融合することにより診断能を上げることができる素晴らしい検査です。
ところが、PET検査もCT検査も被曝がありますので、検査を受ける際には、常に被曝によるデメリットを考慮しなくてはなりません。
今回は、
- どれくらい被曝するのか?
- 何歳くらいからメリットがデメリットを上回るのか。
についてまとめました。
参考になれば幸いです。
参考サイト:
1)日本メジフィジックス PET検査のご案内
2)FDG-PET がん検診における放射線被曝の実態とリスク・ベネフィット解析