腰痛の原因の一つとして、椎間関節炎(ついかんかんせつえん)という病気があります。
頻度としては高くないですが、その分見落とされる可能性もある病気です。
そこで、今回はこの椎間関節炎について症状から、実際のMRI画像を見ながら見てみましょう。
化膿性椎間関節炎とは?
椎間関節とは、上の実際のMRIにあるように、上下の椎体の
- 下関節突起
- 上関節突起
が形成する関節のことです。ここおよび周囲軟部組織に細菌感染が起こり、炎症が起こることで 化膿性椎間関節炎となります。
ただし、細菌感染を起こした化膿性椎間関節炎でなく慢性的な背椎の変性性疾患について、椎間関節に起こる変化を椎間関節炎と分類することがあります。
- 椎間板ヘルニア
- 脊椎症
- 椎間関節炎
- 脊柱管狭窄症(後靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、椎間関節疾患)
画像は腰椎MRI正常解剖画像診断ツールより引用。
椎間関節炎の症状は?好発年齢は?
- 急性の発熱
- 急性の腰痛
をきたします。症状からは脊椎炎との区別が困難と言われます。
椎間関節は頚椎、胸椎、腰椎にありますが、椎間関節炎は97%が腰椎に発生し、単椎体であることが多いのが特徴です。
原因菌としては、黄色ぶどう球菌が多く、25%に硬膜外膿傷を伴うとされます。
好発年齢は50-60代が多いとされますが、若年者にも起こることがあります。
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椎間関節炎のMRI画像診断の特徴は?
STIRや脂肪抑制T2強調像で椎間関節やその周囲軟部組織に異常な高信号を認めます。また椎間関節に液貯留を思わせるようなT2強調像での高信号領域を認めることもあります。
造影剤において、異常な高信号領域が造影効果を認めます。
症例 60歳代男性 発熱、腰痛
椎間関節炎の注意すべき合併症は?治療は?
炎症が周囲に波及することにより、周囲軟部組織に膿瘍(のうよう)を形成することがあります。
膿瘍が形成された場合は、抗生物質が膿瘍に届かないことがあり、ドレナージ術などの処置が必要になることがあります。
最後に
椎間関節炎、なかなか聞きなれない言葉ですが、解剖学的な場所と特徴を見ていきました。
椎間板炎や椎体炎に比べると、MRIの矢状断像での病巣の描出がわかりにくいですが、解剖をきちんと理解すればよくわかります。なお、椎間板炎や椎体炎に合併して椎間関節炎が起こることもあり、この場合は見落としはまだ少ないでしょう。